| 『DOG FIGHT 野良犬たちの挽歌』 '00 東映 脚本・監督:室賀厚 出演:哀川翔・大沢樹生・浅田好未・菅田俊・小沢仁志・鶴見辰吾 誰が呼んだか知らないが、日本のタランティーノとまで呼ばれる室賀厚監督。しかし、僕はそう思わない。むしろ、室賀厚監督は日本のジョン・ウーではないか。 ジョン・ウーは、ハリウッド的な派手な銃撃戦と古くからの香港アクションムービーに多く見られる肉体を使った戦い、つまり、殴り合いを上手くミックスさせた。このような飽きさせないアクションと人間臭い登場人物がアメリカ人にとって新鮮であり、それ故にハリウッドでの成功が実現したのだろう。 一方、日本のアクション映画とは言うと、これらものに刀による戦いが加わる。時代劇然り、仁侠もの然り。しかし、その刀の持つエキゾチックな要素によって日本的なイメージを払拭する事は不可能であり、また、斬ったところで、すぐさま鮮血が飛び散る訳ではない、言わば、「ごっこ」の殺陣はハリウッド的アクションに比べるとあまりに映画的ではない。つまり、日本映画の持っていたアクションは、あくまで日本的なもので、それとして評価される事はあっても、グローバルスタンダードにまで押し上げられる事はなかった。 そんな日本のアクション映画界において、ハリウッド的な演出を取り入れ、世界レベルを標的とした作品が、あのTEAM OKUYAMA が製作した『SCORE』であろう。興行的にはそれほどの成功を収める事が出来なかったが、作品としては、なかなかの出来である。それよりもなによりも、熱意や意欲が伝わってくる。 その『SCORE』の監督室賀厚が日本映画界の大物として君臨する哀川翔と組んで作り上げたのがこの作品『DOG FIGHT 野良犬たちの挽歌』である。 この作品に描かれる人間臭い男達は、感情を投影するに十分だ。また、悪の表現の仕方も決してやり過ぎず、決して弱すぎず、そして、やはり、人間臭い。それは、『仁義なき戦い』における山守のような、憎めなさを齎す人間臭さではなく、何かを背負い、追い詰められる人間の持つ悲哀のようなものだ。一つを犠牲にして、一つを傷つける。一つを守る為に、一つを傷つける。選択肢のない生き方は他人を犠牲にしなくてはいけない。そんな哀しい男達が画面の中で暴れまくるのだ。 敵と味方の構図。鮮血飛び散るアクション。男と男の友情、裏切り、復讐。ジョン・ウー監督の『男たちの挽歌』や『FACE OFF』を思い出してしまったのだが、それは決して失礼な事ではないだろうと僕は思う。日本のアクション映画が次なるステップを踏み出したと言う事なのではないだろうか。 (しかし、副題が『野良犬たちの挽歌』というのは、あからさますぎる。『レザボアドッグズ』と『男たちの挽歌』。確かに、その通りかも…) |