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『DOG TAG』 '97 TJC

監督:小沢和義
脚本:小沢和義・芝良・寿希谷健一
出演:小沢和義・神崎恵・宮坂ひろし・江原修・正村英二・松山鷹志・小沢仁志


 小沢仁志・和義兄弟はVシネマ界には絶対に欠かせない存在である。Vシネマだけではなく、いろいろな映画やドラマにも出演しているので、名前は分からなくても顔を見れば、「ああ、この人か」と思っていただけるだろう。
 この小沢兄弟は出演だけではなく、監督・脚本・製作・原作などマルチな才能をいかんなく発揮してくれるのだが、その舞台が主にVシネマである為にあまり表に出てこないのが残念だ。でも、僕はビデオのパッケージにこの二人の名前を見付けると、ちょっとだけ興奮してしまう。その安心感は哀川翔や竹内力を遥かに凌ぐ、正に職人芸。Vシネ職人ブラザーズ。

 あの松竹の社長の座を追いやられた事で有名な、日本映画界の偉大なる素人奥山和由プロデュースのアクション大作『SCORE』のキャストを再び集めて作られたこの『DOG TAG』。今回は奥山氏の手を離れ、小沢和義(弟)自らメガホンを取った。(ちなみに、『SCORE2』は兄の小沢仁志が“OZAWA”名義で監督をした)
 あの小沢弟の初監督作品だ!と期待して観ると、がっかりさせられる事は間違いない。『SCORE』では確かに邦画としては珍しいアクションものであったが、それなりの予算を組まれていた為、決して失敗作ではなかった。しかし、この『DOG TAG』は映画ではなく、Vシネマである。大きな制作費を割く事も出来ないし、もちろん、ゴージャスな爆破シーンやSFXを駆使する事も出来ない。あくまで低予算で作られているVシネマだと言う事を念頭において観なければならない。
 そんな前提の下で観ると、とてもよく出来たアクション映画だ。一筋縄に行かないストーリーも、元傭兵で今は殺し屋と神父を兼業しているという主人公のとんでもない設定も十分に魅力的である。そして、またビックリする程に弱い主人公も、愛嬌があって好感が持てる。ハリウッドアクションものにありがちな、絶対的な強さを誇るヒーロー像を覆す、とても日本的な発想には共感を覚えてしまう。

 しかし、この作品、というか、小沢兄弟がなのかも知れないが、明らかにハリウッドに対する憧憬に溢れている。どう見ても日本人顔なのに、横文字の名前、中途半端な無国籍感(ロケ地はおそらく沖縄)。これは、例えばジョン・ウーが持っていたそれに近いものだろう。男の友情を軸とし、壮絶で過剰なガンアクションに彩られたその世界観はハリウッド的というよりも、むしろ、ハリウッド映画を更に純化させたものかも知れない。ジョン・ウーはその世界観をハリウッドから全世界へと発信する事に成功した。次は小沢兄弟の番だ。ハリウッドアクション映画にジャパニーズの息吹を吹き込め!