| 『援助交際撲滅運動』 '01 キングレコード 脚本・撮影・監督:鈴木浩介 原作:山本英夫・こばやしてつや 出演:遠野小春・山口祥行・佐藤幹雄・関保奈美・真壁あやか・遠藤憲一 ストーリーはほぼ原作のまま、女優陣は素人同然。遠藤憲一の狂った演技のみによって押し切った感の強い作品だ。それでも十分に楽しめる作品になっているのは、原作の面白さ、エロさ、脚本の面白さ、そして、監督鈴木浩介の作家性が全くと言って良い程前に出てこないという、そのバランスの良さに起因するのではないだろうか。 漫画を映像化する場合、停止しているものに無理矢理動きを付けようとして失敗するケースが多々ある。『殺し屋 -1-』『ピンポン』などはその例だろう。既に動きの付いているものを、わざわざ解り易い形で動かそうとするから、失敗するのだ。無駄な演出は鼻に付く。 しかし、この作品においてはその様は失敗は一切ない。まず、原作では“モロ”が多かった為、現在の日本の規制の中では単純に映像化が出来ないという要素がある。つまり「動かす」という選択肢がそもそもない中での映像化であったのだ。従って、無駄な演出はない。そして、そこを補う要素として遠藤憲一のキャラクターがあった。それは「漫画の映像化」「停止していたキャラクターを動かす」という印象ではなく、原作とは全く別の特異な存在であり、このキャラクターによって、原作と映像の軋轢を感じる事はない。次元そのものが違っている為、その様な事は起こり得ないのだ。この点において、この漫画の映像化は成功している。 この作品の場合、原作の方が圧倒的に優位であり、それが逆に功を奏する結果となった。また、全くもって失礼な話だが、監督が鈴木浩介だったという要素も大きい。これが三池崇史で撮られていたのであれば、違うものを期待してしまう。しかし、鈴木浩介であったからこそ、この様なある意味“ぬるい”とも思われる映像化を楽しむ事が出来るのだ。遠藤憲一のアドリブ演技ばかりが目立っていてもそれで十分なのだ。 原作を読んでいる者にとっては何一つ驚きのないストーリー。だからこそ遠藤憲一が更に目立つ。遠藤憲一の狂った演技なんてものは、はっきり言って飛び道具であり、暴れ回る千葉真一と同じようなもので、監督の演出が介入する余地などない。普通の監督の作品であれば、遠藤憲一に枷を履かせる事によって演出をする。しかし、鈴木浩介はそれを放棄し、面白い作品に仕上げた。素晴らしき手抜き。 |