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『ゴーストシステム』 '02 フジテレビ・パルコ・ポニーキャニオン

原作・脚本・監督:長江俊和
出演:桜木睦子・玉木宏・柳沢真理亜・瑠川あつこ


 ウェブで配信されていた作品のディレクターズカット版。幽霊を実体化するシステム[ゴーストシステム]を取り巻く不思議なお話。

 行方不明になった親友から、樹海の画像メールが送られてきた。それを元に、主人公(桜木睦子)と行方不明になった少女の彼氏(玉木宏)が、樹海へと捜索に出掛ける。そして、その樹海には、廃虚があり、そこでは[ゴーストシステム]が稼動しており、死者達が実体化していた…。

 そもそも、なんで霊体を実体化しなければならないのか。何故、そんなシステムを作り出されたのか。それが大きな疑問である。ロメロの様に「宇宙からの怪光線による死者の復活」という理由付けであれば、死者vs人間の図式を分りやすく取られる事も出来るし、そんな非人為的要因であれば、全てを受け入れるしかないので、何もかもを納得しなくてはならなくなる。仮に人為的な要因であっても、「マッドサイエンティストによる研究の成果」であれば、その科学者ひとりに責任を負わせて納得出来る。
 この作品での死者復活は、[ゴーストシステム]という明らかなる人間の力によって為されるものである。従って、その開発には理由がある筈だ。例えば、死者を利用した軍隊の結成であるとか、最愛の妻を甦らせる為であるとか。或いは、単なる発狂であってもいいのかも知れない。
 その理由に注目して観ていた。そして、遂にシステムの開発者(瑠川あつこ)がその理由を述べる。「私達一族は、このシステムを開発する為に存在したの」。エッ!?
 なんと理由がないのだ。単なる宿命だったのだ。すげえ手抜き。いちばんの盛り上がりを完全に放棄している。こりゃあ許せない。

 霊体を実体化させて得する事なんか何もない。そんな事は解りきっている。でも、映画の世界でそれを何度もやり続けるのは、それをやる事で恐怖を産み出す事が出来るからである。観客の求める恐怖が霊体に宿っているからだ。この作品での霊体もそれが目的である事には違いないだろう。恐怖の為の霊体だ。脚本的に明確な理由付けがされていなくても、怖かったら成立する。
 しかし、この作品における霊体には、一切の恐怖が感じられない。それどころか、作品全体に恐怖を感じる事はない。視覚的な解り易い恐怖がない。
 怖くもなくて、理由付けもされていない霊体に、どうやって存在意義を見い出す事が出来ようか。絶対無理。この作品は成立していない。

「霊体=恐怖」という公式を何の証明も無しに、観客に強要する作品。観客はその公式が観たいのではなくて、その証明を観たいのだ。制作者がそこに気付いていないのだろう。物凄くレベルの低い作品だ。