| 『真説・人間魚雷 極悪仁義』 '03 オフィスハタノ 監督:鶴見昂介 原案・脚本:武知鎮典・松島富士雄 出演:小沢仁志・大沢樹生・夏樹陽子・ジョー山中・大浦龍宇一・本宮泰風・曽根英樹・力也・遠藤憲一・小沢和義・曽根晴美 『極悪 人間魚雷ブルース』で哀川翔と加勢大周が演じたホモっ気たっぷりの殺し屋二人組を今回は小沢仁志と大沢樹生が演じる。二人のお母さん役は夏樹陽子で変わらず。 加勢大周→大沢樹生には、特に何も感じるところはないが、哀川翔→小沢仁志のキャスティングがいかにも現在のVシネマ界を象徴している様な気がしてならない。翔さんは悲しいかな、上にあがり過ぎてしまった。偉くなり過ぎてしまった。 で、今回は二人の人間魚雷の的にかけられるのは、ヤクザの親分、代議士、ゼネコンの社長という三悪のバカ息子三人衆(大浦龍宇一・本宮泰風・曽根英樹)。コンビニ感覚でレイプ殺人をしでかしたその三人に追い込みをかける。悪でもって悪を制しましょう、というお話。 残念ながら、特にコレと言って見どころのある作品ではない。小沢仁志の過剰系演技はいつも通りだし、それに対する大沢樹生のヤングっぷりもそれなりだし、三バカのキャラクターもそれなりだし、で、なかなか普通の作品だ。善くも悪くもVシネマ的であり、それは安心して楽しめるという意味でもあるが、それ以上ではないという意味でもある。出ている面子の豪華さも、ただ単に「Vシネマスター総出演」的な雰囲気になってしまっていて、それがほぼ一切作品にフィードバックされていない哀しみがある。『熱血!二代目商店街』みたいに、思いっきりセルフコメディーにでもしていれば、どうにか面白くもなっただろうにねえ…。 この作品が決定的に今一つになってしまった一番の原因は、多分物語の軸以外の部分が全然描かれていない点である。「悪をもって悪を制す」という物語は丁寧に描かれているのだが、そこに至る背景や人間魚雷の二人の物語はほぼ一切無視されている。何故二人がそういう裏社会に身を置き、裏稼業に手を染めているのか、何故そんなにまで強いのか、それらには一切触れられないのだ。それどころか、三バカを制裁する理由付けも殆どされていない。いきなりメインディッシュが出てきてそれを無理矢理食べさせられているかの様だ。メインディッシュを食べる目的(例えば、女を口説く為であるとか)を描いてくれないと、深みを感じる事は出来ない。 人間魚雷の二人には重く悲しい過去があり、それと普段のオプティミズムのギャップが暴力への正当性を与える。そういう事をなんとなく知っているからこそ、この作品を観られるのだが、それが一切ない場合は、この作品を観る事すらも許されない、そんな感覚を抱く。もうちょっと親切に描いて欲しかったものだ。折角、120分もあるんだから。 |