| 『好色長襦袢 若妻の悶え』 '98 国映 監督:深町章 脚本:武田浩介 出演:葉月螢・篠原さゆり・相沢知美・熊谷孝文・杉本まこと 舞台は昭和二十二年。戦争によって“目”以外の殆どの機能が死んでしまった主人を介抱する妻が、かつての恋人と再開し…。というお話。 深町章の江戸川乱歩的エログロセンス云々かんぬんについては、一見してそうと解るもので、特にこれといって珍しい訳でもなく、かといって有り触れているものでもなく、ってな感じで、物凄く中途半端なもので、なんとも言及し難い。この手のモチーフは既にいろいろな人が性倒錯の上に表現を行っているので、「あ、この監督もコレが好きなのね」くらいの印象しかないのが正直なところ。 そんなこんなで大正〜昭和初期的エロスはどうでもいい感じに仕上がってしまい、この作品自体もかなりどうでもいいものかと思いきや、実はそんな事はない。もっともっと欲に満ちた表現に溢れた作品だった。 で、そのエロとは、そうクンニ。クンニリングスである。兎に角、この作品のカラミにおけるクンニの割合が大きい。カラミの全てにクンニが登場するのは勿論の事、インサート後の時間よりも明らかにクンニタイムの方が長い。また、クンニと同じくらいの手マンタイムもあるにはあるが、その手マンはやはり乳首攻めやキッスと平行して行われるものであって、真剣味にかけるものだった。クンニについては「もうそれだけに専念します!」ってな気合いがこもっており、殺気にも似た恐怖を感じる程であった。 カラミでクンニが登場するのは別に珍しい訳でもないし、寧ろ当然の事である。しかしながら、エロの見せ方としては、その対象が男性であるケースが多いので、カラんでる男優と観客をシンクロさせる意味も込めて、どちらかというとフェラチオの方が選択肢としては良心的であると思われる。でも、ここではフェラチオは等閑に、クンニばかりを強調する。これはおそらく、完全な監督の趣味であろう。監督が観客を無視しているとしか思えない。この一点において、この作品は物凄く作家性の強い、エゴイスティックな作品であり、それは観客に不信感を抱かせるに充分な程だ。全く自分勝手な作品だこと。 この作品でカラミを見せる3人の女優(葉月螢・篠原さゆり・相沢知美)は、監督の被害者である。クンニがしたくてたまらない監督の餌食になったのだ。可哀想に。 ちなみに、いちばん印象に残ったのは、クンニではなくて、回想シーンの中、セーラー服を着て走る葉月螢でした。過去の男とのあれやこれやを思い出し、妄想する人妻をやらせたら、葉月螢の右に出るものはいない。 |