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『案山子 KAKASHI』 '01 EMG・プラネット・マイピック・ビームエンターテインメント

監督:鶴田法男
脚本:村上修・玉城悟・鶴田法男・三宅隆太
原作:伊藤潤二
出演:野波麻帆・柴咲コウ・グレース・イップ・りりィ・河原崎建三・松岡俊介


 伊藤潤二の原作を映画化しても面白いものは出来ない。これはもう事実である。悲しいかな面白い作品が一つもないのだから、認めるしかないのだ。『富江』シリーズのゴスっぽさが辛うじて独特な空気があるくらいで、その他の作品は観るも無惨な駄作ばかりだ。製作サイドだって解ってる筈なのに、何故まだ作る。

 この『案山子』は駄作揃いの伊藤潤二原作ものの中でも、かなりの駄作である。「だから、なに?」程度の物語を世界観だけで押し切ろうとして、完全に失敗した様な作品だ。勿論、その世界観は伊藤潤二作品の持つ独特なそれではなく、監督独自というか、映画的というか、まあ、そんな感じでかなり適当な世界観だ。「どうやって映像化して良いか解らないから、なんとなく田舎の雰囲気に任せましたよ」くらいのとんでもなく場当たり的なものである。物珍しさも無ければ、毒々しさも無いし、決して異空間でもない。お世辞にもホラーとして成立しているとは言えない。
 一応、お話としては、ゾンビものである。精確に言えば、ゾンビが案山子に置き換わった、“ゾンビ的”ものである。ところが、あのゾンビ特有のノロノロとした押し迫ってくるような切迫感、危機感が全く感じられない。案山子は積極的に人間を襲ってこないし、襲ってきたとしても案山子に殺される気がしない。そんなもので、観客に恐怖を与える事が出来るのか! 舐めんな!
 まあ、案山子がゾンビより怖くないのは確かに仕方ない事かも知れない。だって、案山子はゾンビの様な造形的恐怖を持ち合わせていないから。でも、この作品のはホラーなのだから、何らかの恐怖、例えば、自分(主人公)が案山子になってしまうかも知れない恐怖、などを描かなくてはならない筈だ。それくらいはやってくれないと納得出来ません。

 とにかく酷い。精神的に怖くない。視覚的に怖くない。グロテスクでもない。美しくもない。脚本もグダグダ。話もオチていない。つまり、褒める場所が全く見付からない。
 メインキングで強調される「超過密スケジュールの中で撮影された…」という言葉が悲しすぎる。そりゃ、言い訳もしたくなる訳だ。