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『けんか空手 極真拳』 '75 東映東京

監督:山口和彦
脚本:鈴木則文・中島信昭
原作:梶原一騎・影丸譲也
出演:千葉真一・多岐川裕美・石橋雅史・成田三樹夫・千葉治郎・大山倍達


 大山倍達の自伝的劇画『空手バカ一代』を原作とするこの作品は、若かりし頃の大山倍達(勿論千葉ちゃんが演じる)を描いたものである。特別出演として、大山倍達本人がその名を列ねてはいるが、物語に登場する訳ではなく、タイトルバックに一瞬映るだけで、巨匠の面白演技を拝む事は出来ない。ちなみに、梶原一騎・真樹日佐夫兄弟も特別出演しているが、こちらの方も演技はしておらず、タイトルバックに一瞬映るだけ。

 大山倍達の自伝である筈のこの作品。でも、もしこの作品が完全なるノンフィクションであるのならば、大山倍達は死刑になってしかるべきである。レイプにマスマーダー。悪業の限りである。
 また、“極真会師範”という肩書きを持っている石橋雅史にサミング(目潰し)をさせるとはなんたる事か! しかも、千葉ちゃんとの一騎討ちの第一手目がサミング! 大山倍達、極真会がよくこんな演出を許したものだ。

 まあ、ぶっちゃけた話、大山倍達の自伝というよりも、東映のカラテ・ムーヴィーそのものであり、全編に渡って、いつも通りの千葉ちゃんと、いつも通りの荒唐無稽っぷりである。明らかに、空手の範疇を超えている千葉ちゃんの妙な型と呼吸法は健在だ。大山倍達の筈なのに、ブルース・リーがちらついてしまうのは、最早仕方がない事なのか。だって、千葉ちゃんだもん…。
 実際、一切の事実は含まれていない、と解釈しても差し支えないだろう(黒人ボクサーとのフィスト・トゥ・フィストや、牛殺しは実話らしいが)。やっぱり、千葉ちゃんだし、どう転んでも、弾け過ぎた映画になってしまう。実弟・千葉治郎(大山倍達の弟子役)との絡み(稽古のシーン)はなかなかほのぼのとしていて、いつもと違う千葉ちゃんを観る事が出来て嬉しかったが。
 
 この作品はビデオで観たのだが、なぜだかビスタやシネスコではなく、4:3のテレビサイズで、とても見辛かった。