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『麗霆゛子 レディース MAX』 '96 ビデオチャチャンプ・セガ・エンタープライゼス・パル企画

監督:中田信一郎
脚本:山上梨香
原作:もとはしまさひで
出演:宮内玲奈・沢詩奈々子・天久美奈子・松田律子・倉田てつを・田口トモロヲ


 渡辺美奈代主演で始まった『麗霆゛子 <レディース!!!>』シリーズの三作目。MAXの看板映画というよりも、人気シリーズの一本、と考えた方が良い。ちなみに、二作目(タイトルはなんと『麗霆゛子 <レディース!!!> 総長最後の日』)には浜崎あゆみが出演している。
 次作の『レディース MAX Give me a Shake』こそ、MAXが主題歌も唄って、それなりにアイドル映画としての体裁が保たれているが、この『麗霆゛子 レディース MAX』では、たまたま主演がブレイク直前のMAXだったというだけで、決してアイドル映画と呼べる様なものではない。セックス描写もあるわ、ゲロも脱糞もあるわ(流石に、MAXの面々がする訳ではないが)で、言うなれば“健全な”ヤンキー映画である。MAXの悲哀が感じられて仕方がない。

 なんと言っても、冒頭のシーンが凄まじい。かなりの引きの画で映る浜辺。フレームインする一台の車。車から逃げ出す制服を着た少女。追い掛ける男。そして、殴る。ぶん殴る。少女をボコボコにする男。
 その少女が人気アイドルグループMAXに所属する天久美奈子(ミーナ)ってんだから、驚くしかない。超一流とまでは言わないにしても、まあ一流、悪くても最高の二流アイドルであるミーナがパンチラも気にせずにタコ殴りにされるのだ。全く信じられない。
 物語はそこから始まり、スラップスティックな一夜を描き出すのだが、残念な事に、ほぼ全てのエピソードが現実の域から飛び出す事がなく、山場という山場が一向に訪れない。大声を出し、激しく喧嘩をしていても、その設定があまりに日常的である為に、盛り上がりを感じる事が出来ないのだ。世界が余りに閉塞されていて、サークル内のいざこざをただ見せられている様な感覚だ。せめて、お涙頂戴的な解り易いエピソードの一つでもあれば、何となく物語が広がったのだろうけど。

 ただ、MAXのヤンキー演技は、意外と言っては失礼かも知れないが、結構な具合にハマっていた。スタンスがアイドル映画ではなく、ヤンキー映画である事がその一番の原因だろう。アイドル映画にありがちな生温さや無理矢理感は余りない。また、MAXの面々が見せるステゴロもなかなかの迫力で、「さすが空手の心得があるなぁ」と唸ってしまう。沖縄アクターズスクールはJACに匹敵するかも知れない。

 折角MAXが必要以上に頑張っちゃってるんだから、もうちょっとお話の部分に何かアクセントを付けて欲しかった。「メンバーの誰かがレイプされろ」とまでは言わないが、「ヤクザに拉致監禁」とか「リンチで逮捕」とか、それくらいのエピソードが欲しかった。

 でも、ノーヘル&2ケツ&信号無視を公道でやってのけたMAXの根性には完敗。