| 『沖繩やくざ戦争』 '76 東映京都 監督:中島貞夫 脚本:高田宏治・神波史男 出演:松方弘樹・千葉真一・梅宮辰夫・渡瀬恒彦・新藤恵美・成田三樹夫・尾藤イサオ・地井武男・室田日出男 中島貞夫ワールド全開の凄絶なヤクザ映画。否、どちらかというと、戦争映画。とにかく、裏切りとか駆け引きとかよりも、殺す、殺す、殺す。権力闘争、縄張り争い、という問題よりも、命(タマ)の殺り合いに重点が置かれている。物凄い。 何が物凄いって、やっぱり千葉ちゃんであろう。冒頭のシーンでいきなり居酒屋を襲撃。手刀でビール瓶を割るわ、テーブル叩き割るわ、主人をタコ殴りにするわの大騒ぎ。しかも、その居酒屋が本土から来たチェーン店だ、ってのが理由なのだから恐ろしい。破天荒にも程がある。 更には、ほんのちょこっと縄張りを侵しただけの室田日出男にチンコもぎ取りの刑を処する千葉ちゃん。幾ら何でもやり過ぎ。ワイルドすぎる。そして、幹部会の席で、ウイスキーをラッパ飲みしながら「戦争だ〜いすき」の名台詞。キチガイだ。 物語中盤で、千葉ちゃんは殺されてしまう。しかし、その後、前半部分では落ち着いた役柄だった松方が破天荒キャラを引き継ぎ、かなりの好演をしている。やっぱり、松方にはキチガイがお似合いである。菅原文太には無い、若さに任せたキチガイを演じさせたら右に出るものはいない。ちなみに、千葉ちゃんは腕力に任せたキチガイである。また、渡瀬恒彦は無知に任せたキチガイだ。 一応、物語としては「本土の侵攻に抵抗する沖縄ヤクザと本土に取り入ろうとする沖縄ヤクザとの抗争劇」なのだが、そんな事を考える必要が無いくらいに、殺し合いを続けている。誰と誰が敵対しているのか、という問題なんか忘れて、松方がどんどん狂って行き、皆殺しにする姿だけを追ってしまった。千葉ちゃんと松方以外の登場人物は、二人の殺しを正当化する為にでてきたのでは無いか、などと思ってみたり。 まあ、これが深作欣二と中島貞夫の違いで、深作は人間ドラマの中にバイオレンスを描くのだが、中島はバイオレントなある一人の人間のバイオレンスを描く。中島&松方コンビの作品の殆どが、松方のワンマンショーになっているのはそういう事だと思う。しかし、この作品においては、千葉ちゃんと松方の二人がバイオレンスを担ったおかげで、かなりのお徳感と満足感を獲る事が出来る。バイオレンス以外の千葉ちゃんを観ているだけでも十分に楽しめてしまうのだが。ピアノの上で舞踏を披露したり、可愛く反省してみたり…。 破天荒キャラがどうしても際立ってしまうのは仕方ないのだが、それ以外の部分でも面白い演出が為されている。例えば、タイトルバックは、アメリカのスパイドラマを意識した様な感じだ(俳優の名前がなんと横書き!)。また、この頃の映画では珍しく、作品の最後にスタッフロールを持ってきている。沖縄という無国籍な雰囲気もかなり出ていて、日本映画ではない様な気すらする。 東映実録路線においては、比較的実験性に溢れているこの作品。ヤクザ映画として考えなくても十分に面白い筈だ。復讐もののアクション映画っていう感じかも。でも、やっぱり千葉ちゃん&松方のキチガイっぷりに尽きるのだが。 |