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『侠道』 '00 東映ビデオ

監督:福岡芳穂
脚本:福岡芳穂・加藤正人
出演:竹内力・坂上忍・遠藤憲一・長曽我部蓉子・宇梶剛士・菅田俊・成瀬正孝


 哀川翔の『修羅がゆく』シリーズと並ぶ本格派仁侠Vシネマシリーズであるこの『侠道』シリーズ(全六作)の第一弾。跡目を継ぐはずであった主人公が親殺しの汚名を着せられるという設定は『修羅がゆく』シリーズと全く同じであるのだが、その敵対する勢力との間にある種の信頼関係があるという点で、この『侠道』シリーズは異なり、それによって、物語は勧善懲悪的なヒーローものではなく、むしろ人間ドラマにスポットが当てられる事となる。
 また、法を無視して、自らの目的に向かって邁進する破天荒な刑事(菅田俊)の存在も重要であり、かつての東映実録路線がそうであったように、刑事の存在のおかげで、物語が敵味方の二元論に陥る事なく、多面的な要素を齎している。
 一見シンプルな仁侠映画に思えるこの作品だが、実はかなり幅のある佳作に仕上がっている。特に死人が量産される中盤からの展開には呑み込まれるばかりだ。

 監督の福岡芳穂は竹内力の代表作である『平成残侠伝』シリーズの監督でもある。竹内力という俳優の男臭さや強さを十二分に理解している監督だ。従って、この『侠道』の中での竹内力も妙に活き活きとしてる。決して、動き回るタイプの役柄でもドスを効かせて怒鳴り散らす役柄でもないのだが、静かな中に時折見せる鋭い眼光が精気に満ち溢れている。脂の乗り切った竹内力のダンディズムとでも言うべき、その睨みがとても魅力的であるという事を再認識した。
 陳腐な表現であるかも知れないが、竹内力の存在感だけで、作品が成立してしまっているような感覚にすら陥ってしまう。竹内の敵役である坂上忍の印象の薄さ(この第一作目では、最後になってやっと仁侠道に足を踏み入れるので、仕方ないのだが)と比較すれば、一目瞭然である。また、もう一人の敵役である遠藤憲一は、狡猾な演技で別の魅力を出しているのだが、竹内力程の圧倒感があるはずもなく、やはり、その器の大きさの違いを痛感せざるを得ない。

 確かに、この第一作目も十分に面白いのではあるが、シリーズ全体のバックグラウンド説明という役割を担っている為、残念ながら、シリーズ全体を通して繰り広げられる仁侠道の厳しい人間ドラマを十分に発揮できているとは思えない。やはり、この手のVシネマはシリーズを通して観るべきものだ。特にこの『侠道』シリーズは、竹内力作品の中では比較的短いシリーズであり、何より面白いので、もっと沢山の人が観れば良いのになぁ、と思って止まない。