| 『PAIN/ペイン』 '00 ゴールド・ビュー 脚本・監督:石岡正人 出演:松本未来・中泉英雄・藤本由佳・吉家明仁・小室友里・下元史朗 田舎(どれくらいの田舎か全然解らない)から出てきた無職の若いカップルが東京(池袋)で、成長していくお話。といっても大した夢があって上京した訳ではない。だから、男はなんとなくAVのスカウトになり、女はなんとなくパー券をさばく。 基本的にはこれだけで説明出来る作品だ。暴力こそないが、イリーガルなものへの傾倒を描く「青春イライラ系」そのもの。若い女の子のセックスシーンも惜しみなく展開されるので、顧客のニーズには完全に応えている。 とにかく、無意味な会話が作品全体を覆っていて、その煮え切らなさにはかなり苛々してくるのだけど、決して世の中に悲観的になる訳でも、将又説教臭くなる訳でもなく、淡々と“自分の出来る事”だけをこなしていく若者達が、妙に心地よく思えてくる。この手の映画だと、若者は暴走するものとして描かれる事が多くて、大抵は無駄な殺生が伴うのだが、そういう嘘っぽさを全く描いておらず、等身大の若者(嫌味っぽい言葉だけど、そうではない)が上手に描かれている様な気がする。主人公の二人もかなり良い感じだけど、ギャル役の藤本由佳の完全に心の入っていないローテンション演技がいちばん光っていた。すげえそこら辺にいそうな感じがした。言葉遣いの減り張りも良い。 主人公の真里(松本未来)は基本的には可愛らしい良い子で、徐々にギャルに侵されて行く。でも、ギャル化する前から、時々ギャルっぽい汚い言葉遣いをしていて、そこがかなり気持ちよかった。ギャルをギャルギャルしく過剰に描くっていうのは、良くある事だけど、そうじゃなくて、普通の子も実はギャルとそんなに違わないっていうリアリティーを感じた。ギャル文化に触れた事もない様などっかの大学の助教授の言葉が虚しく聞こえるくらいのリアリティーがあった。ちなみに主人公の松本未来はしっかり乳首を晒している。偉い。お菓子系出身は偉い。 一方、男の方はAVのスカウトマン。これがまた全然スカウトマンに見えない。最終的にはそれっぽい感じにまで成長するのだけど、そもそもがギャル男ではないので、まずその門を叩くという事が有り得ない、っていう矛盾が気になって仕方ない。そこのリアリティーが足りない。あと、スカウト事務所の社長役で下元史朗が出てるのだけど、そこだけやけに芝居っ気があり過ぎて、ちょっと浮いていたのも否めない。 何の設定説明もなく淡々と物語が進んで行くところは、Vシネ慣れし過ぎている僕にとって、正直困惑ものだったけど、時間が進むに連れて設定とか何とか、そういうものと関係なく観られる作品である、という事に気付いた。なんだか、公園のど真ん中に座って、道行く人々の生活を覗き見している様な感覚。その人間がどこでどう産まれてどう育ったかなんて事は、別にどうでもよくって、その人が今何をしているかっていう事だけが目の前で説明される、みたいな。 別段難しくもなく、特別なメッセージがあるとも思えない映画。普通の生活を観ているだけの映画。でも、だからこそ青春映画としてのクオリティーは高い。エンターテインメントという意味では物足りないのかも知れないけど、これこそがエンターテインメントだ! と開き直られたとしても納得出来そうだ。つまり、面白い。 |