| 『RED SHADOW 赤影』 '01 東映・角川書店・h.m.p・TUBE ENTERTAINMENT・電通・東映ビデオ 監督:中野裕之 脚本:斉藤ひろし・木村雅俊 原作:横山光輝 出演:安藤政信・奥菜恵・麻生久美子・村上淳・竹中直人・藤井フミヤ・舞の海秀平・篠原涼子・津川雅彦・根津甚八・陣内孝則 善くも悪くもPV的。脚本のつまらなさを映像のスピード感で補った感じ。 と言っても、蜂が布袋さんのおでこを刺す冒頭のシーンで、スローモーションが使われている時点で、かなり萎えてしまった。「ああ、こりゃあ期待出来ないなぁ」と。 “リズミカルな映像”という表現が成立するのかどうかは知らないが、それで飯を喰っている筈のPV監督なのだから、素直にリズミカル、或いは、スピーディーな映像を作るべきである。得意分野を活かさないで、何を活かすというのだ。後半に展開される数々の戦闘シーンも色褪せてしまう、ってな話だ。掴みの時点で奇を衒っちゃあ、どうしようもない。 まあ、PV出身云々は別として、この作品が明らかに今一つの印象しかない理由は、ヒーロー物であるのにも関わらず、そのヒロイズムが明確化されていない点にあるだろう。赤影が全く格好良くない。個性も無い。闘いに悲愴感が無い。かと言って、オプティズムも感じられない。スケールが小さい。などなど。 また、この作品は事実上、二部構成になっているのだが、その前半後半通して出ずっぱりである赤影が、真の主人公ではない。前半部分は女忍者・飛鳥(麻生久美子)が主人公であり、後半部分は琴姫(奥菜恵)が主人公である。こんな脚本で、明確なヒロイズムを表現出来る訳がない。物語の進行上、そうなってしまうのは仕方ないかも知れないが、それならそれで、ヒロイズムを完全に放棄するなり、『幕末純情伝』にしちゃうなり、恋愛こそに重点を置くなりして、なんとか誤魔化せば良かったのに。ヒーローっぽい事は何一つ表現していないのに、無駄に切れだけはある赤影の動きが、虚しく映り出される。もっと絶対的な格好良さが欲しい。 麻生久美子の忍者姿はとても良かった。確かに、あまりに作為のある現代的な台詞回しは鼻に付く部分もあるのだが、それ以上に“女性的”な麻生久美子の容姿はかなり魅力的である。また、無邪気さと強さと適度なお色気で、典型的なヒロイン像(スーパーガールのような)を作り出した。いっその事、麻生久美子を主役にしてしまえば良かったのに。奥菜恵に主導権が移行した後半は明らかに作品のテンションが落ちていた。監督の愛情も、琴姫より飛鳥に対しての方が大きく思える。 ちなみに、麻生久美子演じる飛鳥という役は原作にもテレビ版にも登場していない。ただでさえ、原作やテレビ版を解体してしまっている映画化だったので、流石に飛鳥を主人公にする事までは出来なかったのだろうか。 しかし、飛鳥を登場させた所為で、小山ゆうの『あずみ』がフラッシュバックされてしまい、『あずみ』との比較を無意識的にしていたのかも、という側面もある。あずみのヒロイズムは異常すぎる。あれと比べちゃあ仕方ない。 |