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『ピンチランナー』 '00 アップフロントエージェンジー・東映・テレビ東京・テレビ東京ミュージック・電通・吉本興業
監督:那須博之
脚本:斎藤葉子 益川知実
出演:モーニング娘。・押尾学・北村総一朗・斉藤洋介・松坂慶子
ポール・トーマス・アンダーソンの群集劇が、ガイ・リッチーのスタイリッシュな台詞で展開されるのならば、面白くないはずがないでしょう。しかも、それをデビッド・リンチの偏執的映像世界とサム・ペキンパーの男臭い過剰演出でまとめあげたのならば、それはもうマスターピース完成の瞬間です。
誰もがこんな夢のような映画を考えはしますが、実際に作ってみると詰め込み過ぎで、単なる中途半端なコラージュになってしまう事がほとんどです。結局、コンセプトのはっきりした、監督のカラーが色濃く出ている映画の方が無難に面白かったりするのです。
しかし、あらゆる事象に例外はあるもので、そんな夢のような映画が完成してしまったのです。その映画とは『ピンチランナー』。天才那須博之監督と天才集団モーニング娘。の夢のコラボレーションはとんでもない仕事を成し遂げた!
まず、冒頭のシーン。安倍なつみ演じるたった1人の陸上部員あゆみが、地球の模様のボールを海に落とし、ニカッと笑うこのシーン。これは絶対に何か大きなテーマのメタファーであるに違いなく、サム・ペキンパー監督『ワイルド・バンチ』の冒頭での子供達がさそりを蟻の大群に放り込み、殺させて虐めるというシーンと同様の手法です。ただ、僕はそんなに感受性が豊かな方ではないので、その大きなテーマが何であるかは理解できませんでした。
陸上部の部室として使っていた体育倉庫が燃え盛るシーンは、『ロスト・ハイウェイ』でのモーテルが燃えるシーンにインスパイアされたはずです。その引火の原因が無理矢理な感じなのもなんだかリンチっぽいです。細かい事は解りませんが。加えて、エンディングで冒頭のシーンに戻る手法などは輪廻転生を象徴しているとしか表現できず、それは正に『ロスト・ハイウェイ』のテーマそのものです。難しい事は解りませんが。イメージで話しております。
あと、娘達が横一列になって商店街を闊歩するシーンなどは、『ワイルド・バンチ』の「死の行進」だし、少女達の素性が徐々に明らかになってくるところは、ポール・トーマス・アンダーソンがやりそうだし、駅伝スタート直前にみんなが同時に靴のひもを結ぶシーンは、『フルメタル・ジャケット』の訓練シーンみたいだし、走ってるシーンはフィルムじゃなくってデジカメだから、『LOVE
& POP』みたいだし、後藤真希が血糊をかぶるシーンは『キャリー』だったし、皆から爪弾きにされる紗耶香は『フランティック』のハリソン・フォードみたいだったし、なにより紗耶香は可愛かったし、陸上部のメンバーが1人ずつ増えていくのは、『すごいよ!!マサルさん』の影響だし、あと音楽はハープ・アルバートばりのイージー・リスニングだし、最後に出てくる新メンバーはまだ垢抜ける前だったし、なんとなくドキュメンタリータッチだし、なっちの体重もピークだったし、T&C
ボンバーに小湊はいなかったし、平家みちよは悲愴感たっぷりだし、あとあのシーンも、あと……。
2回泣いた。
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