| 『激突!殺人拳』 '74 東映京都 監督:小沢茂弘 脚本:高田宏治・鳥居元宏 出演:千葉真一・山田吾一・中島ゆたか・遠藤太津朗・石橋雅史・志穂美悦子・渡辺文雄・風間千代子 ブルース・リーの大人気の後を追う様にして始まった東映の千葉ちゃん空手アクションシリーズ記念すべき第一作。まず、予告編で思いっきり「ブルース・リーに挑戦する!」と銘打っちゃってるところが凄い。パクリとかそういう次元の問題ではなく、あくまで千葉ちゃんはブルース・リーのライバルであるという事なのだ。それは、ちょうど中国拳法と空手の関係性に近い。「どちらがオリジナルであるか」という議論よりも、「どちらが強いのか」という問題の方が重要なのである。 でもって、作品の方なのだが、これが本当に何一つ理解出来ない。ストーリーも解らなければ、登場人物がどんな設定にあるのかもよく解らない。勿論、主役である千葉ちゃんが一体何者なのかも解らない。ただ、千葉ちゃんが異常に強いという事、そして、この作品に登場してくる殆どの人間が“強さ”にかなりの重きを置いている、という事だけは理解出来る。そして、その“強さ”は、例えば、兵器の持つ破壊力の様な強さではなく、根底にしっかりとした武道というものが存在する人間としての強さだ。悪人であろうが善人であろうが、そんな事はお構いなしの人間の強さ。敵に情けを掛けずに瞬殺出来る強さである。 そういう意味で、千葉ちゃんは物凄く強かった。いや、何と言うか、最早理解の範疇を超える強さであった。兎に角、殺す。素手で殴り殺す。首を撥ねる。刀を受ける。潰す。握り潰す。何が一体どうなって相手が殺されたのかも解らない程の強さを見せつける。遠藤太津朗は千葉ちゃんの妙な呼吸法だけで殺されてしまった。石橋雅史は喉仏を引きちぎられて殺された。そして、中島ゆたかを犯そうとしていたマフィアの黒人はペニスを握り潰されてしまった! ヤクザ映画における、拳銃やら日本刀やらが無力に思えてくる程に千葉ちゃんは強すぎる! 実のところ、物語を理解出来ずに、千葉ちゃんの強さだけが印象に残る理由は、はっきりしている。だって、この映画、ほぼ八割方がアクションシーンなのだから。まるで、千葉ちゃんのプロモーションビデオを観ているかの様に押し寄せてくる千葉ちゃんのバトルシーンだけで九十分が過ぎてしまうのだから、物語なんかを追っている暇は無い。物語なんかは必要無い。訳の解らない設定も全然心情の伝わってこない演出も全て必然なのだ。千葉ちゃんの強さを描く為には、それらの無理が必要なのだから仕方ない事なのだ。 この作品は「千葉ちゃんが強い」という事を表現する為の作品である。その真理を貫く為には、それ以外の部分で無理が生じても構いやしない。千葉ちゃんのヘンテコリンで過剰な演技も、それで千葉ちゃんの強さが際立つのであるから、必然。千葉ちゃんを堪能するしかないのだ。 |