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『修羅のみち』 '01 東映・ナック

監督:小沢啓一
脚本:井上鉄勇
原作:鈴川鉄久
出演:哀川翔・夏八木勲・小西博之・渡辺裕之・力也・丹波哲郎・松方弘樹


 哀川翔&小沢啓一コンビが送る『修羅がゆく』シリーズに続く『修羅のみち』シリーズ。新たなサーガが始まるのかと思うと、期待に胸が膨らんでしまう。
 やはりこのシリーズの目玉は豪華な俳優陣であろう。なんとあの松方弘樹が哀川翔の敵役なのだ! 萩原流行には申し訳ないが、松方の方が断然期待出来る。ポスト『仁義なき戦い』ではいつも主役を張っていた松方弘樹が、完全なる悪として哀川翔と相対するのであるから、面白くない訳がない。ヒーローの悪役化はワクワクするものなのだ。

 サーガの第一作というものは、登場人物や背景の説明に終始し、物語そのものは大した事がない、というのが常なのだが、この作品に関しては違った。115分というこの手の作品では比較的長い尺が効を奏したのであろうか、一本の映画として十分に楽しめる作品になっている。まあ、確かにその分説明部分が今一つ物足りない気もしないでもないが、そこら辺は御愛嬌。『修羅がゆく』シリーズの続編、という感覚のまま撮ってしまったのであろうから、仕方のない事だ。

 物語はあいも変わらず浪花節の抗争劇である。安定感のあり過ぎる抗争劇だ。特筆すべき点が見付からない程に安定感のある抗争劇だ。その所為か、物凄く敷き居の高い様な気もするのだが、単に「ヤクザの抗争劇」を観たい人間にとっては、これ程有り難い作品はないであろう。また、何の葛藤もなく、バンバンと人を殺していく様は、スプラッターホラーの爽快感にも似た禁忌的な快楽に溢れていて、ヤクザに興味がなくても、その惨殺シーンだけを目的に据えても遜色ないくらいだ。
 ただ、解り易すぎる仁侠の世界を嫌悪する人間には、かなり辛い物語であろう事だけは間違いない。水戸黄門を毛嫌いするのであれば、この『修羅』シリーズは絶対に観る事が出来ない。パターンの踏襲に全精力を傾け、美学を追究しているのである。この作品の個性は、脚本や演出にはない、と断言しても構わないだろう。この作品の個性は、完全に役者に依存されている。間違いない。

 哀川翔の臭い演技や渡辺裕之の意地の悪さや実録時代を彷彿とさせる松方弘樹のオーバーな台詞回しだけを楽しめるのであれば、この作品は至高の域に達している。ヤクザ然としたヤクザを求めているのであれば、この作品を手に取るべきである。しかし、映画の中に新たな発見を求めているのであれば、この作品は単なるゴミになってしまうであろう。
 僕はこの作品が大好きだ。この作品は完璧な娯楽だと思う。