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『捜査四課対広域暴力団』 '00 東映

監督:早川喜貴
脚本:羽賀大介・五十嵐善信
出演:原田龍二・遠藤憲一・大杉漣・本宮泰風・石橋保・倉田保昭・哀川翔


 ヤクザ映画の醍醐味とは、やはり沢山の登場人物が織り成す血腥い駆け引きであろう。金と義理の狭間で揺れ動く仁侠達の心は観る者を魅了する。全員が男らしい必要も、全員が狡猾である必要もさらさらなく、ひとりひとりの人間が分かり易い形で伝わってくる方が望ましい。その上、ヤクザだけに留まらず、警察や一般市民が出てくると更に好ましい。警察サイドの人間が幾らかの異常性を帯びていると、もう最高だ。
 このようなヤクザ映画の雛形は東映実録路線、つまり『仁義なき戦い』であろう事は自明である。実話に基づいた人間ドラマに全てが集約されるのだ。
 しかし、『仁義なき戦い』では警察がかなり軽視されている。ヤクザの生き様を必要以上に追う事により、警察はヤクザを邪魔する単なる“敵”として扱われてしまったのだ。もちろん『修羅がゆく』シリーズ程に無視されてはいないが(『仁義〜』では登場人物が逮捕されるが、『修羅〜』では警察が登場しない)、決して強いものとして描かれていない。
 警察の強さを加味した点において、東映実録路線の最高傑作とも言える作品は『県警対組織暴力』であろう。ヤクザを凌駕する程に破天荒な刑事には無条件の憧憬を抱いてしまう。また、警察・ヤクザ・一般市民を巻き込む人間ドラマはその疾走感、完成度、どれをとっても傑作としか表現出来ない。

 この『捜査四課対広域暴力団』は正に、Vシネマにおける『県警対組織暴力』である。そのタイトルの相似性も勿論の事、ドキュメンタリータッチの演出や、登場人物のキャラクターの立ち方、そして、豪華なキャストなど、全ての点において、ヤクザ映画の頂点に立つべき作品となっている。この作品が劇場公開されなかったという事実が信じ難い程だ。

 この作品について、多くを語りたい衝動にも駆られるのではあるが、なぜだかそれを許さない力が働いているのも事実だ。とにかく、沢山の人に観て頂きたい作品である。ヤクザ映画の面白さが詰まっている。

(どうしようもない禁じ手レビュー)