| 『岸和田少年愚連隊 EPISODE FINAL STAND BY ME』 '02 吉本興業株式会社・セディックインターナショナル 監督:宮坂武志 脚本:NAKA 雅 MURA 原作:中場利一 出演:竹内力・千原浩史・田口トモロヲ・やべきょうすけ・大方斐沙子・奥野敦士・金山一彦 井筒和幸の手を離れ、大サーガとなってしまった岸和田少年愚連隊シリーズが遂に完結。第二作目からの集大成的雰囲気を持った作品。オールスターキャストも嬉しいところだけど、いさみちゃんがいないのはどうして? 物語の方は、カオルちゃん世代の筆おろしアイドル・ミツエの死を巡るエピソードを中心として描かれている。でも、事実上の主人公はミツエと大して繋がりのないリイチ。この作品で初めてリイチとミツエはコンタクトを取るのだけど、それもなんだか無理矢理感が否めない。つまり、主人公と物語の間には決定的な溝が存在しており、それを埋めようと物語は進んで行くのだけど、納得の行く形で埋める事が出来ず仕舞いにサーガが終了してしまうのだ。 スターウォーズサーガにおいて一貫するテーマである“フォース”の様に、この作品でも、リイチとミツエを繋ぐ媒介としての“岸和田”という概念が持ち出される。それで一応の説明はつくのではあるが、それもまた続いて行くサーガの中にこそ成立するものであって、それで決着をつける事は難しい。そもそも“岸和田”という概念は、今ここで問い直すべき様なものではなく、それが根底にあるという事は、既に観客の心に植え付けられているのだ。 もし、この作品でこのサーガに決着をつけたかったのであれば、リイチとミツエの接触によって“岸和田”という概念を何らかの形で破壊しなければならなかった。でも、結局はそういう決定的な問題解決が成されていないので、とても後日談的、或いは、日常の切り取り的な最終章になってしまった。まぁそれはそれでテレビドラマの最終回の様で、いつもは観られない豪華で遊び心のある登場人物達を観られるのだから、それなりに貴重で楽しめるものではあったのだけど、一本の作品として捉えるのであれば、やはり物足りなさは感じる。 また、「リイチとミツエ」という乖離的な構造ゆえに、ある特定のキャラクターが過剰に前に出てくる事もなかった。カオルちゃんもいつもより大人しいし、リイチは既にストーリーテラー的存在になってしまっている。かといって、群像劇と言える程にそれぞれのキャラクターを細かく、愛情を持って描いている訳でもなく、やはり注目すべき点が見付からず、全体を通して散漫な印象が強い。NAKA 雅 MURAお得意のノスタルジックワールドも少々空回り気味だ。泣くに泣けないのだ。 善くも悪くも竹内力のカオルちゃんという余りにも強力な存在が、このサーガの行く末を大きく狂わせてしまったのではないだろうか。歴史に残る程の絶対的な強さを産み出した代償として、物語はメルヘンになってしまった。誰もカオルちゃんに影響を与える事が出来ないのだから、そこに主観は一切なくなり、カオルちゃんの動きだけが描かれ続ける、究極の客観の作品になった。『カオルちゃん最強伝説 EPISODE1』はそれで良かった。それこそが描くべきものであったから、そうでなくてはならなかった。しかし、そこにその他のキャラクターの主観を導入すると、物語は狂ってしまう。カオルちゃんの絶対性は失われ、カオルちゃんは何かの影響下に降りる。それでは、カオルちゃんを竹内力で描く必然性は失われてしまう。 やっぱり、カオルちゃんの強さだけを描き続ければ良かったのだ。『岸和田少年愚連隊』という看板を捨ててまでも、ただそれだけを描けば良かったのだ。そこまで広げる為の竹内力じゃなかったの? と、思ったら、なんとこれでは終わらなかった! しかも、次はサッカーらしいぞ! |