| 『パチスロ水滸伝 勝負師の絶縁状』 '00 大映・徳間ジャパンコミュニケーションズ 監督:金澤克次 脚本:長塚幸治 出演:小沢仁志・清水健太郎・史城三貴・坂本朗・鶴岡修 パチンコやパチスロというものは、麻雀の様にテクニックや哲学で語られるものではなく、基本的に機械に支配されるものであるから、その中にドラマ性を見い出す事が難しい。従って、パチンコ・パチスロ物のVシネマの多くが、所謂ゴト(機械そのものに手を加えるイカサマ)を扱うか、天才パチプロ・スロッターの人間ドラマを扱うか、の二種類になってしまう。麻雀Vシネマの様に卓を囲んだシーンだけで成立するものではないのだ。 これらの作品の存在意義として「攻略法のレクチャー」というものが相当な位置を占めている、という事を考えれば、物語そのものが単調であったり、ワンパターンであったりしても、需要が著しく減少するという事もないだろうから、仕方ない話でもあるのだ。ただ、はっきり言って、どの作品も同様に面白くない。 そんなパチンコ・パチスロ物Vシネマに風穴を開けるのが、この『パチスロ水滸伝 勝負師の絶縁状』 である。別に題名も珍しい訳でもないし、前半部分も例によって、街のトップスロッターと流れ者のゴト師との対決で、特筆すべきものでもない。まあ、小沢仁志の明らかに趣味に走り過ぎている衣装が、多少の違和感を齎してはいるが。 しかし、そのゴト師(小沢仁志)の所属する組織“九龍”が登場する辺りから、何かがおかしくなってくる。 まず、その九龍、なんと秘密結社であるのだ。しかも、全国に五百人とも千人とも言われる構成員を抱える、一大組織なのである。その目的は不明。まさか、ゴトで世界制覇!? そ、そんなバカな! そして、その九龍という名前なのだが、オリジナルメンバー九人全員の名前に“龍”という文字が入っていたから“九龍”なのだ。そ、そんなバカな! 龍という文字の入った名前の人間がそんな都合よく九人も集まって、しかも、全員がゴト師だなんていうスキマ産業の中のスキマ産業に身を置いている筈がない。 更に、その九龍のアジトは、どこだか分からない様な場所の地下に存在し、ショッカーのアジトみたいな格好良い作りになっている。そして、ボスの席に鎮座する清水健太郎。少年ジャンプも真っ青な展開だ。 などと、有り得ない部分に不様な突っ込みを入れたくなる程にとんでもない作品だ。この様なパターンはそれまでのパチンコ・パチスロ物Vシネマではほとんど見る事がなかったので、かなりの衝撃を受けた。この作品を観るまで、正直パチンコ・パチスロ物を軽視していた僕なのだが、今後は積極的に観て行こうと思う。 「一定の割合でカラミを挿入すれば良い」という緩い縛りの中で、好き勝手な表現を繰り返していた一時期のピンク映画の様に、「攻略法レクチャーを挿入すれば良い」という縛りの中で、とんでもなく好き勝手な表現が為されて行きそうな気配を感じた。パチンコ・パチスロ物は侮れない。 |