| 『sWinGmaN』 '00 ビデオプランニング 監督:前田哲 脚本:森らいみ・前田哲 出演:木下ほうか・粟田麗・宮崎あおい・北村一輝・なにわゆうじ・田口浩正・加勢大周 自分の中に存在する闇の部分を何らかの形で具現化する事程、自分にとって恐ろしい事はない。自分の醜い姿を見たい人間など居るはずもなく、勿論、そんな姿を他人に見せたい人間も居ない。だから、誰しもが無意識的に記憶を操作し、経験に手を加え、現在の美しい自分を保つ。そして、美しく保たれた自分こそが他人の目に映るのだ。 しかし、何かの拍子で醜い自分が露呈される可能性を否定する術はなく、操作された記憶だって、結局は嘘っぱちで、事実は事実として揺るぎないものであるから、自分の力の及ばない部分で、歯車が狂う事だってある。日常としての美しさは、過去の醜さや、現実の厳しさによって打ち消されてしまうのだ。 こんな、小市民的な日常と暴力性を帯びた非日常の間に産まれる記憶の歪みを、木下ほうかという余りにも等身大な、余りにも身近さを持った俳優が演じるのであるから、観る者が感じ取る現実感は異常に膨れ上がってしまう。これが、もし、男前の大物俳優の主演映画であるのならば、ありがちなサイコ・サスペンスで終わっていたかも知れない。しかし、どこにでもいそうな男が主役であるからこそ、この映画は面白みを持つ事が出来たのだ。 木下ほうかという俳優は、Vシネマを語るにおいては欠かせない、名バイ・プレイヤーである。チンピラからインテリまで見事にこなし、その小さな身体からは想像出来ない程のバイタリティーをも放出する、残念ながら“過小評価”という言葉が似合ってしまう俳優だ。その木下ほうかが、ほぼ自らと同じ設定であるところの主人公・木田ほづみを演じている。また、同様に日本映画において、もっと評価されて然るべき俳優の一人である北村一輝も北岡一貴という俳優を演じている。これらの設定だけでも、映画・Vシネマファンが垂涎するに間違いない作品だ。 また、これらの出演者の他にも、井筒和幸、大河内奈々子、小島聖、役所広司といった面々がチョイ役で登場しており、それらの登場場面を探すだけでも十分楽しめる。しかし、小島聖がどこに出ていたかは、分からなかった。 |