| 『太陽を盗んだ男』 '79 キティ・フィルム・コーポレーション 監督:長谷川和彦 脚本:レナード・シュレイダー・長谷川和彦 原作:レナード・シュレイダー 出演:沢田研二・菅原文太・池上季実子・北村和夫・神山繁・佐藤慶・西田敏行 ・水谷豊 伝説などと称される程に絶大なるカルト的支持を受けるこの作品。確かに予告編を観る限りでは、衝撃的なシーンの連続で、ハリウッドのアクション巨編にも劣らない、快作であるかのように思えた。しかし、いざ全編を見渡すと、147分という日本映画らしからぬその長さがマイナスの効果を出してしまったとしか思えない。 実際、衝撃的なアクションシーンは沢山詰め込まれている。ところが、余りにも詰め込まれ過ぎで、そして、それぞれのシーンに対する監督の思い入れが異常に強く感じられ、観客に過剰な集中を強制する結果となっている。その所為もあるのか、アクション以外のシーンにおけるテンションの低さが逆に浮き彫りになり、寧ろそれらのシーンに対する観客のテンションが上昇するかのようでもある。監督と観客の温度差が、作品に対する認識を百八十度変えてしまっているのであろうか。しかし、こちらはこちらで、監督の意志を勘ぐっているが為に、なんとなく違和感を感じざるを得なかったのも事実だ。 おそらく、『タクシードライバー』と同様のテーマを扱っていると考えて差し支えないであろうこの作品なのだが、『タクシードライバー』の方がすんなりと楽しめたというのは、どういう事なのであろう。前半部分に物語のバックグラウンドを説明し、後半部分、主人公がスラップスティックなまでに暴走する、という構成も正にそのままである。しかし、この『太陽を盗んだ男』を『タクシードライバー』のように楽しめる事は出来なかった。『タクシードライバー』なんかよりも、エクストリームな設定であり、その設定についてだけでも十分に楽しめそうなものなのに。 やはりその説明となるのは、編集であると感じている。147分は幾ら何でも長過ぎる。前半のバスジャックのシーンもだらだらしている感が否めないし、後半のアクションシーンの数々は急激に展開し過ぎて観客を置き去りにした。これらのバランスが狂ってしまっている上に、147分間も拘束されるとなると、十二分に納得のいくラストシーンが訪れない限り、この映画を許す事が出来ない。『タクシードライバー』のラストシーンは映画史上に残るほどに最低のものだった。あそこまでどうしようもないラストシーンであれば許す外なくなる。しかし、この『太陽を盗んだ男』のラストシーンにはそれ程のインパクトがあるものでも、逆にとんでもなく投げやりなものでもなく、どこかで観た事のあるようなものだった。その物足りなさは、作品全体に影響を与える。 ラストシーンを尊重するのであれば、もっと疾走感のある編集を施し、100分程度の作品にして欲しかった。そうすれば、普通に楽しめたはずである。 |