| 『天国から来た男たち』 '01 『天国から来た男たち』製作委員会/テレビ朝日・ハマーズ・日活・ケイエスイス 監督:三池崇史 脚本:橋本以蔵・江良至 原作:林洋司 音楽:吉川晃司 出演:吉川晃司・山崎努・遠藤憲一・翁華栄・水橋研二・金山一彦・及川麻衣・北見敏之・大塚寧々 まず、最初に。大塚寧々、要らないじゃん。 この物語は完全に男の物語だ。題名も『男たち』、舞台は刑務所。つまり、この作品は二十一世紀版『暴動 島根刑務所』、或いは『脱獄 広島殺人囚』なのだ。従って、溜まりに溜まった囚人達の性のはけ口としてしか、女達は機能しない筈なのである。囚人達の戦いに女は一切関与しないのだ。だから、大塚寧々は不必要である。“男たち”と共闘してはいけないのだ! なんて、どこかからお叱りを受けそうな事を書いてしまい、本当に申し訳ないのだが、実際、この作品において大塚寧々は必要無いのだから仕方がない。物語的にそれほど重要ではないし、登場シーンも少ない。それよりも何よりも、何というか監督が明らかに大塚寧々演じる三島奈美恵というキャラクターを軽視している。監督としては、三島奈美恵をごっそりカットしたかったのでは…。でも、原作やら脚本やらの兼ね合いというか、いろんな事情というか、そういうきな臭い何かで三島奈美恵を登場させただけなのでは…。なんて、思ってしまったのだ。大塚寧々の扱いに関しては、三池崇史の悪意を物凄く感じた。 また、クライマックスで主役が入れ替わってしまうのも三池監督の悪意だろう。最後の最後で吉川晃司に不満をぶつけた様な。やっぱり、遠藤憲一の方が使い易い俳優なんだなぁ、なんて思ったり。 三池崇史作品には珍しく、善人と悪人がはっきりと分かれており、意外と言ってはなんだが、スラップスティックな“典型的寓話”に仕上がっている。喜ばしい裏切りの連続で、観客を飽きさせる事はないのだが、その裏切りの全てが予測範囲内のものであり、些か物足りなさを感じるかも知れない。「やっぱりそういう展開か」と思わせる部分が多々ある。しかし、いつもはその裏を行く三池監督が、敢えて正攻法の裏切りを展開する事に、なんだか新鮮な感覚を覚えた。失礼な話だが、「なんだよ、普通の映画も撮れるんじゃん」的な。 しかし、物語が展開するに連れて、なんだか訳が解らなくなってくる、というか、いろんな要素が入り組んでくるのところは、やはり三池崇史独特のものなのかも知れない。まさか、『地獄の黙示録』まで入ってくるとは…。『ピンチランナー』での後藤真希キャリー以来の驚きだった。 やはり『ストレートな三池映画=とんでもない裏切り』という図式がどうしても念頭にあるので、この作品の様に解り易いものを観ると、「何か別の意図があるのでは」と邪推してしまう。だが、“それなりに”とんでもないラストシーンを観ていたら、何だか普通に感動というか、面白い、と感じてしまい(『やっべー』とか『すっげー』とかではなく)、「ああ、三池崇史も映画を撮りたいんだ」などと妙に納得した。やっぱり、「三池フィルター」はもう必要無いのだろう。三池崇史にとんでもないものを期待する必要はもう無いのだろう。『殺し屋1』もそう考えると傑作だったのでは…。 及川光博の『漂流街』セルフパロディーはどうでも良かったが、『漂流街』とは180度違う吉川晃司はとても可愛らしくて、まるで赤ちゃんを観ている様だった。困る表情とかなんかは最高に可愛かった。 |