| 『麻雀飛龍伝 天牌』 '01 ケイエスエス 監督:服部光則 脚本:早瀬円 原作:来賀友志・嶺岸信明 闘牌監修:安藤満 出演:山下徹大・富家規政・笠原紳司・やべきょうすけ・川村亜紀・本宮泰風・加納竜・原田龍二 麻雀漫画には二種類ある。闘牌やテクニックを軸とする麻雀漫画と闘牌そのものよりも人間ドラマを軸とする麻雀漫画だ。前者の漫画は以前からあるものだが、後者のタイプは『哭きの竜』以降、大量に生産される事となる。今回の『天牌』は、この二種類のタイプのちょうど中間辺りに位置するものであり、人間ドラマと闘牌テクニックが絶妙なバランスで共存している。また、雀士ヒストリーもの(桜井章一の『雀鬼』や安藤満の『雀狼伝』など)に有りがちな浪花節的人情系になっておらず、成長し行く若者を比較的等身大に描いている。 勿論、ギャンブルものに付き物の些かオカルティックな強運を見せつける主人公ではあるが、それを否定してしまったら麻雀Vシネマ・麻雀漫画は成立しないっていう話であって、観る者が期待しているものは、解り易い男のロマンなのだから、それくらいの非現実を許容出来なくてどうする、って事だ。しかし、まあ、この作品の主人公は、天才的な運は持っているが、まだまだ未熟で勝ち続ける事が出来ない、という設定であり、「そんな、まさか!」という展開が少ないので、なんとなく感情移入はし易い。観終わった後に、ちょっとだけ麻雀が上手くなった様な錯覚に…。と思ったが、よーく考えてみると何一つ有効な手段を教わった訳でもなくって、やっぱり実戦の中で麻雀は上達するものだ、と確信した。 麻雀の技術の話はさておき、この作品での原田龍二が素晴らしい。吃音・片目・びっこ・顔面神経痛のチンピラ雀士兼雀荘オーナーという若山富三郎辺りに似合いそうな役柄を随分と滅茶苦茶に演じている。「もうこの世に未練なんかありゃしねぇよ」ってな感じで適当に生きているくせに、最後の最後で素人雀士をドスで追い掛け回して自爆してしまう。とんでもなく馬鹿馬鹿しい人生だ。それを原田龍二という男前が演じているのだから、少々の違和感やらムカつく空気やらがありそうなものなのだが、それが一切なかった。完全にドロップアウトしていて、ちょっと格好良かった。 一方、原田龍二の実弟本宮泰風は、エリート気取りの雀士でやっぱりムカついた。兄貴との役者としての器の違いを実感する。 あと、何故だか全然解らなかったのだが、原田龍二のシーンでカメラのレンズに赤青黄の色セロハンが張り付けられ撮影されている。原田龍二の非現実感というか、世を捨てた男の悲愴感というか、なんだか解らないが、そういった雰囲気を出そうとしているのだろうか。でも、あまりに陳腐で低予算Vシネマ的で、逆効果にしか思えない。「Vシネマはやっぱりショボいね」なんて思わせちゃっう様な演出は厳禁だ。せめて「Vシネマなのに!」って思わせないと。(まあ、それも本当は違うと思うのだが) |