| 『とっかえっ娘。』 '02 つんくタウン FILMS 製作総指揮:つんく♂ 脚本・監督:河谷英夫 出演:石川梨華・吉澤ひとみ・安倍なつみ・保田圭・加護亜依・高橋愛・紺野あさ美・小川麻琴・新垣里沙・2丁拳銃・オナペッツ・遠藤憲一・カントリー娘。・ブラザートム カントリー娘。に石川梨華(モーニング娘。)の『恋人は心の応援団』やプッチモニの『ぴったりしたい X'mas』等のPVを監督した河谷英夫のスクリーンデビュー作ではあるが、例のつんくタウン11丁目企画(マイタウンデジタル映画プロジェクト)の第二弾であるからして、正確には所謂“映画”というものとして考えてはならないと思われる。ただ、この企画の前作『ナマタマゴ』が意外と言ってはなんだが、映画的な楽しみを持っていた作品であったので、この『とっかえっ娘。』もそれなりに楽しめるものではないだろうか…、などと期待はしてみたが、蓋を開けてみたらやっぱり“映画”ではなかった。 PVという物が映像作品として優れている理由として挙げられるのは、「短い時間の中で一つの物語を作り上げる」という点と「監督の意志によって書き換える事の出来ない脚本(つまり、楽曲)の上に映像を作る」という点であろう。かなり自由度の低い中で作られるPVというものは決して映画と同じフィールドにあるものではない。PVをそのまま映画にして魅力が出るものでもないし、勿論その逆でもない。全く別物なのだ。 そう考えると、この『とっかえっ娘。』はほぼ完全にPVであると言っても良いのかも知れない。幾つものPVを連続して見せられている様な感覚に近い。いや、近いというか、正にそれだ。モーニング娘。やその周辺のユニットの楽曲のPVをコラージュして二時間の作品にしたものである。 だから、映画として考えたら、この作品に面白味を感じる事は出来ない。正直、脚本は稚拙すぎる。というか、物語だけならば三分で方がつく。メッセージ性も皆無だ。この作品が世に出なければならなかった理由も見付からない。監督の意志はここにない。 しかし、監督の作家性だけは強く全面に出されている。映像そのものは監督の個性そのものなのだ。ただそれは単なる見た目だけの問題であって、そこには監督の意志はない。 これがもし映画であるのならば、監督の意志は必須であり、その意志と映像の二つを考慮しながら作品を観る事になったのであろうが、この作品はどこからどう観てもPVであるので、監督の意志なんてものは全く気にもならなかった。こりゃ最低の映画だ、などという発想すらなかったのだ。 でも、まぁ、時間的な制限がPVの醍醐味でもあり、二時間もの上映時間ははっきり言って長過ぎ。それこそ一切の台詞を排除して、三十分くらいのモー娘。メドレーのPVに仕立て上げても良かったかも知れない。 意志を感じるPVを目にした時には、それはそれは物凄い衝撃を受ける。映画というものがもしかしたら時代遅れなのかも知れない…、などと思ってしまう。もしこの『とっかえっ娘。』にその監督の意志が込められていたのであれば、映画界に衝撃が走ったのかも知れない。 最後に。この作品にモーニング娘。を起用しなくてはならない理由などない。 |