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『トラック野郎 度胸一番星』 '77 東映東京

監督:鈴木則文
脚本:野上龍雄・沢井信一郎
出演:菅原文太・愛川欽也・片平なぎさ・夏樹陽子・千葉真一・八代亜紀


 シリーズ10作中、最もオカルティックな第5作目。桃次郎の惚れる相手が幽霊(片平なぎさ)だっていうところからして、いきなりオカルト。幽霊に「佐渡で会いましょう、佐渡で、佐渡で…」と言われた桃次郎は三島由紀夫の『サド侯爵夫人』を読みながら佐渡へ向かい、そこで小学校の教師をしている水名子さん(もちろん片平なぎさ)に出逢い、そして、「私は辺地教育に興味があります!」と例によって大久保清ばりの虚言を吐く。という、お話。

 ライバルトラッカーは千葉ちゃん(タンクローリーに乗車)で、千葉ちゃんの相手役が夏樹陽子。桃次郎vs千葉ちゃんの間に入って、あれやこれや奔走するのが八代亜紀。という超豪華スター軍団揃い踏み。
 なのだけれども、脚本が物凄い勢いで分離されていて、3本くらいの映画を無理矢理1本に仕立て上げてしまったという感覚がいちばん近い。
 故郷が原発建設でなくなってしまい、それに対するいら立ちをトラッカーイジメで発散する千葉ちゃんのエピソード。桃次郎と片平なぎさの恋物語。そして、ラストを飾るトラックアクション。この3つが、ほぼ一切絡まずに、独立して展開される。時間軸的な前後関係もあんまり気にされていない感じで、整合性よりも矛盾を見付ける方が容易いくらいの四次元映画だ。この辺りがオカルト。
 つっても、『トラック野郎』に対して、そんな重箱の角をつつく様な事は野暮な話であって、面白ければそれで良い。で、これはその点ではもう充分すぎる程に面白いんだから、なんだって許せちゃう。大凧につかまって大空を舞う桃&ジョナサンだって、空中歩行を披露する桃さんだって、全部全部許せちゃう。いや、許せるというか、あれは全部必然だ、と確信出来る。だって、面白いんだもの。そして、女性陣が美しいのだもの。
 そう、美しいのだ。究極のベビーフェイス・片平なぎさ、産まれながらのファイナルビューティー・夏樹陽子、天下無敵のミステリアスボイス・八代亜紀。このセクシー美女3人が本当に美しくて、その姿を観ているだけでもお腹が一杯になるくらいだ。片平なぎさのはち切れんばかりの水着姿なんかは、ホリプロの底力を見せ付けんばかりのもので、恋をさせようとしてるとしか思えない。夏樹陽子と千葉ちゃんのシャワー室内での激しすぎるアニマルセックスなんかは、特にコレといってナニが見える訳でもないのに、十二分に勃起に値する。唐突に始まる歌謡ショーにおける八代さんの美声は、疲れた身体をそっと優しく包んでくれる母性そのものだ。
 とにもかくにも、3人の美女が物凄く効果的なパンチを加えてくる。『トラック野郎』シリーズで桃次郎は毎回毎回沢山の女性に惚れますが、正直申し上げまして、観ている僕には、その気持ちは理解出来ませんでした。つまり、惚れる事はなかった。でも、この作品だけは別物。余裕で片平なぎさに惚れました。それどころか、他の二人にも惚れました。桃次郎以上に恋をしちゃいました!
 脚本が滅茶苦茶でも、かなりのオカルトでも、千葉ちゃんの狂気が控えめでも、全然構わない。それを簡単に補うだけの美しさがあるのだから。

 全体的な脚本の整合性は取れていないかも知れないが、片平なぎさのエピソードだけに関して言えば、かなり綺麗にまとまっている。今回はなんとびっくり桃次郎の恋が成就するのだけど、片平なぎさの告白からの流れがとても気持ちよくて、ちょっと涙がこぼれる程だった。「(哀しいのだけど)やっぱりそうでなくちゃ」みたいな期待を裏切らない素晴らしさ。そして、片平なぎさが冒頭で幽霊だった理由に対する「なるほど!」という快感。
 千葉ちゃん&八代さんのエピソードにもそういう快感が欲しかった、ってのは確かだけど、まあでもそれ以外で充分に楽しめましたから、納得します。