| 『クリスマス・イヴ』 '00 GAGA・東映ビデオ 監督:雑賀俊郎 脚本:最合のぼる 原作:岡嶋ニ人 出演:黒坂真美・山村アキラ・佐伯俊・下絛アトム・佐井仁美・玉木宏・渡瀬美遊・小柴亮介 とんでもない作品だ。一見、単なる『13日の金曜日』の劣化コピーなのだが、その実、とんでもない発狂ムーヴィーだった! まず、この作品の中には明確な時間軸が設定されていない。どこが始点でどこが終点だか分からない。幾つもの断片がコラージュされている。それはまるで誰かの頭の中の記憶を一つ一つ検証しているかの様に。 しかし、それで、映画が終わる頃に、全ての断片が繋がり、物語が収束するのであれば、納得出来ようものなのだが、この作品では、それを一切放棄し、断片は断片のままで結局何一つ理解出来ないままなのだ! 物凄く悪い後味。爽快感は皆無。苛立ちだけが募って行く。犯人は誰だったの? なぜ人を殺したの? という疑問が湧かない程に滅茶苦茶に物語が切り刻まれている。はっきり言って、面白味を感じる事が出来なかった。ただただ、とんでもねえなぁ、と思うばかり。狂い過ぎだ。 この作品を観ていて、沢山の既視感の様なものを覚えた。デジタル・カメラの特性を活かした画面の振れ(意図しないものかも知れないが)は、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』的で、犯人主観視点は『ハロウィン』的で、後半のカオスは『新世紀エヴァンゲリオン』的だ。正直、どれもこれも中途半端な引用に終わってるのが残念。 いや、寧ろ、中途半端で良かったのかも知れない。この作品の基本軸となるものは全体的な破綻であり、部分的な破綻ではない。つまり、全てのシーンがぶっ壊れていて、何一つ理解出来るシーンがないのだ。だから、引用したシーンだけが完璧にされてしまっては、作品全体のバランスが崩れてしまう。狂人だけの世界では常人が狂人と扱われる様に、この作品の中にまともなものが入ってしまうと、そこだけが浮いてしまうのだ。全てが狂っているからこそ、中途半端な引用が活きてくる訳であり、全てが整合性を獲ていないからこそ、この作品が成立するのだ。 この作品はR−15指定になっている。内容の過激さ、つまり、残酷表現が原因となっていると言われているのだが、残酷とかどうとか、そういう問題ではなくて、単に「15歳未満には理解出来ないから観ない方が良いですよ」くらいの意味としか思えない。というか、15歳以上にも理解出来ない。やっぱり、「あまりに狂ってて、訳わかんないから、R−15指定にしとけば?」くらいかな。 |