| 『新ヤンママトラッカー 涙街道・爆走かぐや姫!』 '03 ジーピー・ミュージアム 監督:光石富士朗 脚本:光石富士朗・木田紀成 出演:坂上香織・崎山凛・曽我英樹・菊池美游・堀田真三・つじしんめい・小松みゆき 坂上香織主演の『ヤンママトラッカー』シリーズ完結篇。ケイ(坂上)の娘が中学生になっていて、しかもグレまくっている、という設定。でもって、ケイはガンに冒されていて、余命がほとんどない、という中での親子の愛情物語。 デコトラムービーではあるが、例によってデコトラの登場シーンは少ない。レースがないのは勿論(多分、道交法の関係であんまり撮影が出来ないのだろう)、走行シーンも少ない。ケイは物語の途中でデコトラを下取りに出そうとする始末で、基本的にはデコトラなしでも成立する。ただ、やはり、デコトラという物凄くロマンチシズム溢れる題材を扱っている訳で、なんだかんだでその力には頼っているところもある。デコトラがあったからこそ、なんとかかんとかお話にオチを付ける事が出来た、っていう感じ。 そうなのだ。この作品は光石監督らしからぬ、くっきりとしたオチが付けられているのだ。どんな物語でも、投げっぱなしにして、決着を付けようとしない光石監督が、頑張って解り易いオチを付けた。確かに、そのオチは誰もを納得させられる様なものではないかも知れないし、特に意外なものでもなかったのだけど。 完結篇だからオチを付けなければならなかった、っていうくらいにとても違和感のあるオチだった。ラスト前に一度区切りを付けていて、その後に、後日談的なオチが付く、っていう展開は、おそらく光石監督のこだわりであり、足掻きであったのだろう、と推測する。 オチが付いた、という点においては、光石監督らしからぬ作品であるが、その他の演出においては、まるっきり光石監督らしい作品である。人物の顔が判別出来ないくらいの引きの画、全く動こうとしないカメラ、これまた動かない人物、そして荒々しい台詞だけが牧歌的な風景の中に虚しく響き渡る。なんとも日本映画っぽいものを連想させる演出。こういうのって、デコトラみたいな脂っこい題材には適さない様な印象があるのだけど、これはこれで結構しっくりときていて、とても心地よいものである。これこそが、この『ヤンママトラッカー』シリーズの最大の魅力であろう。特にこの作品では、娘のバイオレンス描写と、それ以外の日常とのコントラストが出ていて、この魅力は増大していると感じた。ちなみに、バイオレンス描写なのだが、これが結構気合いの入ったもので、観ているこちらに充分な嫌悪を与えるものだった。勿論、東映的ダイナミックバオレンスではなくて、淡々とボコボコにするような無機質的なものであるのだが、それがまたオートマチックな暴力という最も変態的な行為に見えて、とても気持ちが悪かった。 正直言って、オチそのものは全然良いものだとは思わなかったのだけど、このシリーズの完結篇としては完璧であると思う。これこそ最後だ、という説明は完璧に出来ている。光石監督がオチを付けると、餓鬼でも解るオチになるのだろう(良い意味で)。 |