FLASH 5/20日号(2003/5/6発売)より

 

『衝撃スクープ4連発』と称した記事群の中の一つ、Part 3として田中氏の記事が掲載。


5・7初公判…“墜ちたカリスマ”のドス黒い報告書

K−1石井前館長の「カネ貸し<闇>ビジネス」告発

 

 まるで何ごともなかったかのように、5・2ラスベガス大会も大成功に終わったK−1。だが、その一方で今年2月3日、'00年までの2年間に約5億3千500万円の所得を隠し法人税約1億7千700万円を逃がれようとした疑いで逮捕された興行会社『(株)ケイ・ワン』の前社長で、空手道場『正道会館』の元館長・石井和義容疑者(49)の初公判がいよいよ7日に開かれ、その隠れた錬金術の全貌が明らかにされる…。

「検察庁は所得隠しの合計が、5億3千500万円どころではないと把握している。驚くべきことに、石井が周囲にプールしていた裏金の合計は、Tシャツとグッズ売上を(正道会館の運営する)『正道』に移し替えたりする手口で隠した総額よりはるかに大きいことがわかった。今、裏金捜査をしているのは、石井が闇金融まがいの商売をしていたことの証し」(国税庁関係者)

 '01年秋の強制捜査で滞在ホテルの貸金庫から1億数千万円の現金が押収された際、「選手が試合直前にゴネて、ギャラの上乗せを要求される場合もあるから」と言い訳していた同容疑者。が、それが一日の興行必要額を超えており、脱税結果の裏金なのは明らかだ。

 石井容疑者による闇金融まがいの金貸し業、そのカラクリを競合する興行団体関係者が次のように明かす。
 
「資金をつなぎで融資するビジネスですよ。石井が対象としたのは、いくら儲かっても大手銀行が相手にしない我々のような同業者、あるいは芸能界のイベント関係、さらには宗教関係団体までも含まれていた。たとえば、PRIDEにボブ・サップなどの所属選手を貸し出した場合、高額のギャラを当夜調達できないのを見越したうえで、高率の利息で金を貸すんです」

 斯界では、こうしたビジネス手法が「公然の秘密」という。今年1月に自殺した森下直人DSE(ドリームステージ・エンタテイメント=PRIDEの運営会社)社長の“多すぎた船頭”の一人が石井容疑者といわれ、PRIDE乗っ取り画策の裏で金貸しに走り、資金で個人をがんじがらめにしていたのも興行界では有名な話らしい。

 司直の手が身辺まで伸びてくると、「マイク・タイソンの招聘に失敗し、10億円の違約金を負ったため、所得がない」と姑息な言い訳をし、知人のバングラデシュ人との間に偽の契約書を捏造。その不自然さを隠すため、以前から親交のあった人材派遣業大手『パソナ・グループ』の南部靖之代表(51)に泣きつき、架空の資金調達話で口裏合わせの依頼をおこなった石井容疑者。

「これに応じた南部代表は昨年末の特捜部の調べに対してウソの供述をしたが、パソナを家宅捜索され、任意で事情聴取を受けました。そこで検察庁は偽装工作、口裏合わせの事実を突き止めていますから」(プロレス誌関係者)

 パソナ広報も事情聴取については、「それは事実です」と認めつつ、証拠隠滅の疑いに関しては「それはありません」とキッパリ否定した。かつては“ベンチャー企業三銃士”ともてはやされた南部代表だが、パソナの実状は「ボーナス時期がくるたび、資金が足りないとの噂が飛ぶ」(経済紙記者)状態。数億円の招聘資金を『ケイ・ワン』に貸す余裕はない…。

 また、通称「K坦」と呼ばれるマスコミ関係者を金でがんじがらめにし、メディア操作に長けていた同容疑者。

「今年2月に7年間で約1億円の申告漏れを指摘され、追徴課税を受けた元TBSの塩川和則メディア推進局副参事(当時、3月20日付で論旨解雇)も、ラスベガスへの接待旅行などを通じて石井と懇意になった。塩川はK−1への莫大な放送権料をいったん支払ったあと、キックバックを妻の会社を利用してプールしていた」(プロレス誌記者)

 興行界独特の現金商売でのし上がってきた石井容疑者。「財布には常時200万円は入っていたというし、銀座の超高級クラブを借り切ってのパーティーでは、王様ゲームで10万円をポ〜ンと出したりしてましたよ」(同記者)

 ゆえに金品を受け取ったK坦たちは戦々兢々、「マスコミからも逮捕者が出る」と囁かれている昨今だ。

 しかしまだこれは、広範囲な“暗黒リンク”解明の序章にすぎないのだ。

 

※欄外に「取材・田中正志 写真・長谷川 新、伊藤 修」
※写真キャプション1(ボブ・サップ対ミルコ・クロコップ戦)
「まずは“人気選手”を貸し出すことで金儲け。その金をさらに高率の利息をつけて同業者、そして宗教団体関連にまでをも対象につなぎ融資をしていた」
※写真キャプション2(石井元館長の大きな写真)
「金のばらまきで頂点へ その男の“底なしの闇”」


おまけの参考資料として、5/8の讀賣新聞朝刊の記事もここに残しておこう。

K−1初公判

石井被告ら脱税認める

4億3000万 裏マネーなどに流用

 人気格闘技イベント「K−1」の興行会社「ケイ・ワン」による脱税事件で、法人税法違反の罪に問われた同社と前社長・石井和義被告(49)ら三人の初公判が七日、東京地裁であった。証拠隠滅教唆の罪にも問われた石井被告は、罪状認否で「間違いありません」と起訴事実を全面的に認めた。検察側は脱税事件の冒頭陳述の中で、石井被告が隠し所得のうち約四億三千万円を、K−1選手への裏ファイトマネーの支払いのほか、高級車の購入や生活費などに流用していることを明らかにした。(K−1によく出る例のタレントのギャラについては触れられていない)

 同社の元顧問税理士・寺窪鑽史(さんし)(68)、企画会社役員・佐藤猛(43)の二被告も、脱税を巡る石井被告との共謀を認めた。

 検察側の冒頭陳述によると、石井被告は決算期に寺窪被告から同社の法人税額について報告を受けた際、「そんなに払えるわけないだろ。利益を抑えてもらいたい」などと指示。佐藤被告の経営する会社に外注費を払ったように仮装するなどして、ケイ・ワンの利益を圧縮させていた。

 紺色のスーツに白いワイシャツ姿で入廷した石井被告は、起訴事実を認めた後、小声で「深く反省しています」と述べた。冒頭陳述の間は、被告人席で固く口を結び、落ち着かない様子で傍聴席や検察官の方へ視線を動かしていた。

 証拠隠滅教唆罪に関する検察側冒頭陳述は、次回公判で行われる予定。

 起訴状によると、石井被告らは2000年までの四年間に、ケイ・ワンの所得約九億円を隠し、法人税約三億円を脱税した。

 また、石井被告は脱税事件での摘発を免れるため、2001年、元イトマン常務・伊藤寿永光(すえみつ)被告(58)(イトマン事件で上告中)に対し、海外有名選手の招へい失敗で多額の違約金が発生したように装う架空契約書を作成するよう依頼した。

(この項終わり)