デマ

 

 

 デマ。そのあらゆるパターンは筒井康隆『デマ』に全て含まれている。 だから情報操作を含めて、どのようにデマが流通していくかを知るためには、筒井康隆を読んだ方がいい。多分、大学の卒論程度なら、この作品に登場するデマの伝達パターンをカテゴライズして、常識的な意見に非常識な意見を味付け程度に混ぜれば、簡単に出来上がりだ。

 と思って調べていると、『デマ』の入った文庫本は存在しないらしい。なぜじゃ。実は、私は『デマ』だけのために全集の第13巻を買っている。『デマ』と『ホルモン』と『ビタミン』だけは何があっても読まなければならない。著者本人が単なる習作だと言っていようが、秀作だから仕方がない。

 筒井康隆と言えば、紀伊國屋書店から『筒井康隆パフォーマンス』と題されたビデオが出ている。面白い口上と、ポルノ『魚藍観音記』の一部の朗読、及び傑作『関節話法』の実演付き(と言っても関節を鳴らすわけではない)の朗読の様子がばっちり収められている。流石、役者やのう。実に素晴らしい。

 こう書くと私はまるで、筒井康隆のファンであるように思われる方がいるかもしれない。そう思った方はとんでもない勘違いをしている。私はただ、彼のほとんどの作品を雑誌で読んで単行本を買って文庫本を買うぐらいで、全集は買わなかった。だから違う。彼の影響でフロイトを全部読むはめになったり、精神分析学にどっぷりはまって未だに抜けられなかったりということはあるが、だからといって精神病院に入院したことはない。従ってツツイストではない。また、PKディックにどっぷりはまるきっかけになったのは確かに筒井康隆を読んでからだが、私は決してLSDには手を出さなかった。本当に私は筒井康隆なんぞなんとも思っていないのである。誰が何と言おうと、私は断固として筒井康隆のファンではないのだ。違うのでありますぞ。

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