膀胱炎の症状は「排尿に時間が掛かる・出ない・減少する」ことです。その他にはマロンの場合、アンモニアの匂いが多少きつくなったような気がします。「最近、排尿に時間が掛かるようになった」とお思いになったら、膀胱炎を疑ってみて下さい。膀胱炎は癖になりやすく、悪化すると治療にも非常に時間が掛かります。できるだけ初期の段階で病院に連れて行きたいところです。
原因は、ストレスと非衛生的な環境だとお伺いしました。忙しくて十分に遊んでやれない、きちんと掃除が行き届かない等の劣環境に陥ると、動物は病気になってしまいます。人間と同じなんですね。
事情があって時にはきちんとケアが行き届かない時もあるかとと思いますが、飼い主が病気になりそうな時や精神的にストレスを感じている時は、動物も同じような状態にあるのだということを心に留めておいて頂ければと思います。動物を飼うということはその動物の一生に責任を負うということですから、忙しくても掃除と健康チェックだけは怠らないようにしたいものですね。
治療は、抗生剤の投与になります。注射か飲み薬になりますが、できればストレスの少ない飲み薬の方がよいかと思います。ただ、この薬が非常に苦いので嫌がってなかなか飲んでくれようとしません。
我が家ではすり下ろした人参に混ぜて飲ませていますが、嫌がって飲まなくなった場合のために、ふだんから動物の好物を把握しておかれるとよろしいかと思います。我が家の場合、すり下ろした人参で飲まなくなった場合は、りんごに挟んで与えたり、ヨーグルトに混ぜたりしています。(膀胱炎の体験談については、こちらをご覧下さい)
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膀胱炎の診断は素人では難しく、基本的には、動物病院で尿検査をして頂く必要があります。尿検査は「新鮮な尿を採取すること」が最低条件となりますので、次のいずれかの方法で尿を採取します。
1. 自宅で自然排尿されたものを採取して、動物病院に持ち込む
2. 動物病院で、何らかの方法により、採尿して頂く
何とか自力で排尿できているようであれば、できるだけ1の方法を取られることをお薦めします。1の方法は、個体への負担が全くないからです。自宅で、トイレが終わった後の尿を採取し、できるだけ早い段階で病院に持ち込みます。採尿してから時間が空く場合は、冷蔵庫で保存しておきます。
ただ、おしっこが出ない、あるいは、トイレの時間が決まっていない、飼い主さんが把握できていない等の理由により、自宅での採尿が難しい場合は、病院で強制的に採尿して頂くしかありません。個体への負担は大きくなりますが、
[病院での採尿方法]
・圧迫排尿---膀胱を手で圧迫して、強制的に尿を排出させる方法
・膀胱穿刺---膀胱に直接、針を刺して採尿する方法
のどちらかにより、尿を採取して頂くことが一般的です。犬・猫の場合でしたら、尿道にカテーテルを挿入するという方法もあるようですが、ジリス・ハタリスは体が小さいため、難しいかと思います。
尿検査は、「試験紙法」と「尿沈渣」で行われることが多いようです。試験紙法というのは、スティックでPHや潜血反応(肉眼では見えないレベルで赤血球が出ていること)などを調べるもので、スクリーニング的な意味合いが強いのに対し、尿沈渣(にょうちんさ)は顕微鏡で観察して、実際に赤血球が出ているかなど、最終的な鑑別を行うものです。
また、獣医さんによっては、尿検査は行なわず、長年の経験に基づいた触診により、膀胱炎かどうかを診断されることもあります。これは自宅採尿が望めない場合、小さい体の動物には圧迫排尿や膀胱穿刺は負担が大きいだろうと配慮されてのことです。触診の基準としては「膀胱に尿が溜まっているか」が鍵となりますが、膀胱がふだんより硬くなっている場合、膀胱炎の可能性が高くなります。
残念ながら、触診だけでは確定診断を行なうことができないため、膀胱炎の症状が見られ、触診により膀胱が堅くなっている場合、試しに抗生剤を投与してみるという、診断的治療が取られることになります。
誤診の可能性が全くないとは言い切れませんが、あえて個人的な考えを述べさせて頂くと、膀胱が癖になっている仔の場合は、熟練した獣医さんによる触診のみの診断でもよろしいのではという気がします。ただ、こればかりは、かかりつけの獣医さんのご判断にお任せすべきことかと思われますので、私たちの方からあまり強くお願いするのは避けられた方がよろしいかもしれません(飼い主としての考えを獣医さんにお伝えすることは、どのような診療においても、とても大切なことだとは思いますが・・・)。
膀胱炎が癖になっている場合は、飼い主さんが、(動物の)ストレスにならない範囲で、時々、膀胱の堅さをチェックしてあげることも、病気の早期発見に繋がるのではと思います。膀胱は、リチャードソン・ジリスの場合、後肢の付け根の5mm〜1cmくらい上のところから、1cmくらい前面寄りにあります。膀胱がどれくらいの堅さであれば膀胱炎であるかというのは、文章で説明させて頂くのは難しいのですが、時々チェックして頂く中で、膀胱炎である時の堅さと、そうでない時の堅さを手の感覚で覚えるようにして頂ければと思います。
圧迫排尿は、経験のない素人が行なうと非常に危険ですが(やり方がまずければ、膀胱が破裂して、死に至る可能性もあります)、そんなに難しいものではありません。まずは、かかりつけの獣医さんに詳しいお話をお伺いして頂ければと思いますが、後肢の付け根の5mm〜1cmくらい上のところから、1cmくらい前面寄り付近を両側から押し、さらに前面に押し出してやると、じわじわと尿が出てきて、次第にポタポタと流れ出るようになります。何回か押してやると、15〜20mlくらいの尿が出てくるかと思います。
その他の簡単な方法としては、尿検査に掛けられる程の量は出ませんが、手を綺麗に洗った上で、仰向けにしておちんちんを軽くつまんだり、押したりすると尿が少し出てきますので、色だけでもご確認になれるかと思います。また、市販の尿検査用の試験紙(スティック)は、一般に動物病院で検査に使われているものと比べると、あまり精度は高くないようですので、それだけで診断されるのは危険ですし、そこまでしなくても・・・とは思いますが、動物病院に連れて行く前のチェックとしては一つの方法かと思います。
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血尿とよく間違われ易いのですが、茶褐色のどろっとした有色尿は正常の範囲です。これは過剰に摂取されたカルシウム等の成分(炭酸カルシウムとマグネシウム)が尿中に排泄されるためで、げっ歯類の泌尿器の特徴に因ります。通常、過剰摂取された成分は、犬猫では胆汁から排泄されますが、げっ歯類では尿中に排泄されるため、場合によっては茶褐色のどろっとした尿が出ることになります。
ただ、こういった状態が続けば結石になる可能性も大きいので、好ましくはありません。飲水や水分の多い野菜を与えるようになさって下さい。ハムスターやハタリス・ジリス飼いのご家庭では、野菜から水分を摂らせていらっしゃるところも多いかと思いますが、有色尿が出ていたら、飲水を与えるようになさった方がよろしいかと思います。
また、水分の多い野菜としては、レタス等が適当かと思います。レタスには硝酸塩という成分が含まれており、体力が低下していたり、ストレスがあったりすると亜硝酸中毒の原因ともなりますが、含有量はわずかですので、他の食餌とバランスよく与えるようになされば、特にご心配になる必要もないかと思います。(「22.泌尿器疾患」については、こちらをご覧下さい。)
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膀胱炎の薬は、エンロフロキサシンを有効成分とした「バイトリル」という薬が一般的です。バイトリルはキノロン系抗菌剤の一種で、DNAジャイレースを阻害してDNA複製を阻害します。有効菌種は、ブドウ球菌属、レンサ球菌属、腸球菌属、大腸菌、クレブシェラ属、エンテロバクター属、プロテウス属、シュードモナス属、キサントモナス・マルトフィリア、アシネトバクター・カルコアセティクスで、耐性(長く服薬し続けると効かなくなってくる状態)が低く、安全性も高いので、感染症一般に最も広く使われています。
諸説分かれますが、抗菌剤は必要な腸内細菌まで殺してしまう恐れがあるため、ヨーグルト等と併用、あるいは投与後に別途与える方がよいと言われています。マロンの場合もヨーグルトと併用した方が下痢が少なくなりました。
ちなみに抗菌剤と抗生物質の違いですが、抗生物質が「微生物が産出するもの」であるのに対し、抗菌剤は「化学的に合成されたもの」を指し、厳密には同じ物ではありませんが、「微生物の増殖を抑える機能を持つ薬剤すべて」(抗菌剤、抗生物質、サルファ剤等)を一般に「抗生物質」と表現することが多いようです。
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置き餌をすると、少しお腹が空いただけでも餌を食べるようになります。常に胃が動くことになるので胃腸内がアルカリ性で保たれるようになり、膀胱炎になりやすくなります。ただ、ジリスは草食性ですので、常に腸を動かしておく必要もあり(「7. 消化器官」についてはこちら)、ネコのように次の食餌時間までお預けというわけにはいきません。
どちらも事実ですので判断が非常に難しいのですが、膀胱炎にかかってしまった場合は置き餌をやめ、また食餌量を減らされてみてはいかがかと思います。決められた時間以外はできるだけ牧草を食べさせるようにし、1回の食餌は10分程度で食べ尽くす量にするというのが一つの目安になるかと思います。