エッセイ 17

ゆく秋を惜しむサンインマイマイ

 

  山々が紅葉し、落葉の舞いが秋から冬への移りかわりを感じさせます。北の地方から雪の
 たよりも伝わってきます。寒い冬季の野外での活動を停止するかたつむりたちは、とっくに冬
 の眠りについたはずです。
  11月中旬のある日、ドングリ拾いのために、近くの神社に足を運びました。折しも朝方の雨
 で、境内に敷き詰められた落葉は、うっすらと濡れて光っていました。ドングリを拾いながら、ふ
 と目の前に立つ樹幹を見上げて、一瞬自分の目を疑いました。根元近くから数メートル上の枝
 まで、7、8匹のかたつむりが列をなして活動しているではありませんか。隣の樹にも目をやり
 ました。やっぱりいます。
  白地に茶褐色の色帯をもつ、サンインマイマイです。わずか6本ほどの樹に、そのとき数えた
 だけで、成貝、幼貝も含めて54匹も見つけることができました。ゆく晩秋を惜しむかのように、
 樹皮上に生えたコケや菌類を、さかんに食餌しているのでした。中には、新しい命を生み出す
 ために、交尾中のペアの姿もみられました。
   これまで何度も訪れた境内でしたが、ここがサンインマイマイのパラダイスだったとは気がつ
 きませんでした。このときの気温と湿度は、次のようでした。
  気温:17℃  湿度:90%  2000年11月17日 午前10時15分
  場所 山口県吉敷郡小郡町岩屋 岩屋八幡宮