食用として移入されたスクミリンゴガイ(俗称:ジャンボタニシ、学名:Pomacea
canaliculata)
は、今年も田に水が張られ、稲苗が植えられると、おびただしい姿を現しました。植え終わっ
たばかりの水田は、周囲の畦、用水路の壁、苗の茎など、あらゆる場所に鮮やかなピンク色
の卵塊で覆われてしまいます。いったい、1個の卵塊からどのくらいの幼貝が孵化するのかを
観察しようと、おおぶりな雌を1個体、自宅に持ち帰り、水槽に入れて飼育を始めました。
数日後、交尾を終えていたであろう雌個体は、予想通り見事な卵塊を、水槽の蓋に産み付
けました。光沢をもつ鮮やかなピンクの卵は、次第に水分を失い、白くなり硬化したようでし
た。こんなに乾燥したら孵化は絶望的か、とあきらめかけたのが2週間後。観察も忘れかけ
ようとした頃、その卵塊の一つひとつの卵から、幼貝が次々に孵化を始めたのです。驚いたこ
とに、ほとんどの卵が孵化してしまったのです。孵化した幼貝たちは、水槽の中を元気に活動
しています。ある報告では、野外での孵化率はあまりよくないされています。たまたま、私が採
取してきた個体は、孵化が良かったのだと思います。
これなら、植え付けられた稲に被害がでるわけと、納得してしまいました。今年は、昨年まで
はスクミリンゴガイの姿は見ることのなかった近所の田にも、卵塊が見られました。農家の方
が、毎朝、産み付けられた卵塊をこさぎ落とした跡を、通勤途中に見かけます。生息域は確
実に拡大しているようです。
話は変わって、最近のペットショップの水槽を覗くと、かつてはほとんど見られなかったもの
が姿を見せてくれます。汽水に生息するイシマキガイは、モノアラガイやサカマキガイに代わ
って、水槽の掃除屋として売られているのは久しくなります。先日は、近所の用水路のドブガ
イかなと思いきや、商品名を見ると「カラスガイ」でした。産地を尋ねると、名古屋方面というこ
とでした。その時、となりの水槽がえらく黄金色に輝いている生き物が動いているのが目に入
りました。よく見ると貝です。スクミリンゴガイに殻の形が似ています。名札は「アップルスネイ
ル」(Apple snail)。あまりにも色が綺麗なので、元気のいい3個体を選んで買ってしまいまし
た。1個体、380円。
資料によると、スクミリンゴガイは南米のラプラタ川原産。リンゴガイ科(Ampullariidae)に属
する貝は、世界の熱帯・亜熱帯に広く分布。科には9つの属があり、そのほとんどが南米原
産だそうですが、一部の属はアジア・アフリカに分布しています。属の1つ、リンゴガイ属(Po-
macea)には、75〜150種が含まれ、そのほとんどが中南米原産で、数種類が北米産だそ
うです。ペットショップで買い求めた黄金色のアップルスネイルは、人為的に改良された観賞
用の品種なのでしょうか。青い殻の「ブルーアップルスネイル」もいるとか。
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