| ◆早婚のまじないに使われたキセルガイ−山口県萩市見島− |
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神社境内にある、古木大木の幹にキセルガイの一種・シイボルトコギセルが、生息することが 知られています。この貝が、健康長寿や夜泣きのまじないに利用されてきたことは、別項で紹介 してきました。今回紹介するのは、早婚のまじないに利用されたという話です。 紹介する資料は2点あります。その一つは、「見島聞書」(瀬川清子、1938年、昭和13年)。 もう一つは、「乾島略誌」(新山政辰、1858年、安政5年)です。前者は、萩市の沖合45kmに浮 かぶ、見島の風俗習慣に関するものです。その中に、次のような記述があります。 「八幡様の後の松の木につく小さい貝を出征者がお守りに持って行くが、本人が丈夫であれば、 帰るまで貝が生きている。註、乾島略誌に『八幡祠の松樹の小螺を抱けば女子早婚す。霊とな す』とある」。 また、後者は最も古く見島について記述した文献で、江戸末期のものです。内容は、自然・地 理・風俗・海防・捕鯨等で、漢文体で書かれています。キセルガイについては、次のように記述 されています。 『八幡祠後有松樹数株、小螺粘其幹、予嘗遊長府、詣二宮祠、又有此輿今所見同、世俗称女 子懐之則得早婚、古来島人無知之、近年始認、相傳為霊』。 これら、特に後者の「乾島略誌」から、次の二点を読みとることができます。 (1)キセルガイにまつわる伝承として、女性の結婚が早くできるようになるためのまじないに使 用されたこと。 (2)この風習が、江戸末期以前からあったらしいということ。 できるだけ古い資料の発見や、確かな口述が必要とされる折、この二つの資料はたいへん 意味があると考えられます。資料は、樋口尚樹さん、清水満幸さんから紹介を受けました。 ※ この内容に関する報告は、「早婚の呪いに使われたキセルガイ−シイボルトコギセル− (萩市見島)」(『温故知新』、1992年、美東町文化研究会)として報告しました。 |
| 資料「乾島略誌」より |
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