snail5.gif (1130 バイト)  食用にされるかたつむり

ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)
 
 フランス料理で、エスカルゴ(カタツムリ)が、時々話題にでます。貝に関心をもっている者として、一度は味を確かめねばと、愛知県に住んでいた時、友人と食事に出かけたことがあります。テーブルに運ばれたエスカルゴ料理は、バターで炒めてあり、第一印象としては「おいしい」と感じました。

 もう十年以上も前になりますが、日本の各地でジャンボタニシの騒ぎが聞かれるようになりました。フランスのエスカルゴ料理の評判にあやかろうと、一部の業者が輸入し養殖したジャンボタニシが養殖場の外で繁殖し、被害が出ているということでした。もともと、日本では海産の貝類は食用にする習慣がありましたが、陸の貝を食べるという習慣はありませんでした。

 日本の業者が養殖を始めたジャンボタニシは、南米産のスクミリンゴガイという淡水性(正確には水陸両生)の大形の巻き貝です。「安いエスカルゴ料理を」という意図でしたが、味が淡泊で人気が出ないまま。私も試食しましたが、泥臭さが抜けていない感じでおいしいというものではありませんでした。売れ行き不振で養殖を断念した業者が、野外に投棄したり放置したりし、農業用水路や田んぼで繁殖を始めたのです。植えたばかりの稲を食い荒らすなどの被害が問題になったのです。山口県でも小郡町・山口市・田布施町などで、大繁殖し少なからず被害が出ています。

 ジャンボタニシは、昔から田んぼで見かけるマルタニシオオタニシとは別格です。ジャンボタニシの繁殖力は驚異的です。6月から8月頃にかけて、直径2mmほどの鮮やかな紅色の卵を1個体の雌が、一度に2、300個産むのです。乾燥にも強く、冬季は土の中に潜り込んで冬を越します。今のところ、ほかの生物に影響を及ぼさないで、この貝だけを退治できる特効薬はないとのことです。

 外来のジャンボタニシが大暴れしている反面、子どもの頃、田んぼでよく見かけたタニシは、影が薄くなっています。農薬の影響や土地改良事業で田んぼの排水がよくなり、すみずらくなったらしいのです。こちらは、味噌煮などの料理がおいしいと聞くのですが、まだ食べたことはありません。
 
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産卵中のジャンボタニシ

植え付け後食害を受けた水田

 
マシジミ
 味噌汁の味を引き立たせるうまみがあり、庶民の味覚の代表と個人的に思っています。1週間に2度は、コンビニの店頭に並ぶインスタントの「シジミ汁」を味わうのが習慣です。以前、山口県美祢市の鍾乳洞にある貝塚が発掘された結果、動物の骨に混じってシジミなどの貝殻が出土した記録があります。遠い昔から食用にされたいたことが伺えます。

 日本国内にすむシジミを大きく分けると、マシジミヤマトシジミセタシジミの3種類で、いずれも食用にされます。マシジミは、河川の中流から上流にかけての水がきれいな砂地で見られます。殻長約3.5cmで殻は黒褐色です。本州から九州にかけて分布します。ヤマトシジミは、海水と川の水が混ざり合う河口の汽水域の砂地にすんでいます。マシジミに比べると、やや小振りで光沢のある黒褐色をしています。分布は全国です。セタシジミは、ヤマトシジミが淡水に適応したもので琵琶湖にすむ特産種です。殻長は約2.5cmとヤマトシジミより小さくなっています。

 かつては町中をふれ歩いて売られたシジミも、今ではスーパーマーケートや魚屋に行けば、パック入りのが買えます。季節感や風情もありませんが、俳句の歳時記の本をめくると、シジミは春の季語に並べてあります。

 古来、シジミは健康管理にもよいとされ、さまざまな言い伝えがあります。例えば、「土用シジミは腹薬」。古い文献には「黄疸を治し利尿効果がある」と記述してあります。数年前、県内のある小学校では毎月1回、給食の献立にシジミを加えていました。

 アサリガイと比べると、食卓に上りません。家庭排水や農薬、河川改修などでシジミの生息環境が悪化したのも一因でしょうか。いつでしたかラジオから、琵琶湖周辺の自治体では、環境浄化の関心を高めるために、4月23日をゴロ合わせで「シジミの日」にしたというトピックが流れてきました。今も続いているのでしょうか。

 マシジミではありませんが、5、6年前に長登銅山で有名な山口県美東町の銅の精錬遺跡跡の地層から、アワビやひょうたんなどと共に、大量のカワニナの殻皮(殻の成分である石灰質が溶失し周囲にある有機質の部分)が発掘されました。どうもたい積の状態から、当時働いていた人たちのゴミ捨て場と推察されました。このことからしても、シジミやカワニナなどを食用にしていたことが伺われます。

 こうしてみると、淡水性の貝類は食用にされたようです。調査をする中で、戦争に行ったとき外地で食べた、ということは聞きましたが、食用にしたという話は聞くことができませんでした。10年近く前に、ある新聞の投書におもしろい話が掲載されていました。資料として別ページに載せておきます。
 
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ときどき見かけるシジミ取り

ほそぼそと生きる用水路のマシジミ

銅精錬遺跡から発掘されたカワニナ

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