| 「貝を食す」という習慣は、日本だけでなく世界中にあります。おそらく、わたしたちの祖先が山野を走り回って、自然の恵みを享受し始めたころから行われていたと推察されます。海鮮料理といえば、活きの良い魚とともに、貝類も食材としての大きなウエイトを占めています。海の貝に比べ陸の貝は食べる習慣がなかったものの、汽水や淡水にすむ貝は、古くから食用にされてきました。タンパク源を確保し摂取するには、恰好の食材だったのでしょう。 このように貝類は、食べ物としての役割があるほか、古くから薬用としても利用されてきました。科学的な根拠の有無は別にして、民間療法として各地で伝えられてきました。衛生意識の昂揚した現在では、「どうして?」という言葉が先に出てしまいます。 次にそのいくつかを紹介してみましょう。 |
| ◆利用した貝の種類と効用 |
| 貝の種類ベスト |
| @ナメクジ Aタニシ Bカタツムリ Cシジミ Dアワビ |
| 効用と処方 |
| 肺 炎 | タニシを石の上でつぶして呑む。 | 福島県、茨城県 |
| シジミやタニシの煮汁を飲む。 | 鹿児島県 | |
| タニシの殻をとってつぶしたものを搾り、ぶどう酒を混ぜて飲む。 | 和歌山県 |
| 結 核 | タニシとニンニクを練りつぶして飲む。 | 愛知県 |
| ナメクジを生のまま呑む。 | 香川県、福岡県 | |
| ナメクジに砂糖をつけて呑むか、焼いて醤油をつけて食べる。 | 徳島県 |
| 風 邪 | ナメクジを煎じて呑む。 | 奈良県 |
| 扁桃腺炎 | 生きたナメクジを呑む。 | 山口県 |
| 百日咳 | カタツムリを焼いて食べる。 | 石川県 |
| ナメクジを黒焼きにし、その粉を飲む。 | 群馬県 | |
| シジミの殻を黒焼きにし、粉末を少しずつ飲む。 | 山口県 |
| 喘 息 | カタツムリの殻は喘息に効く。 | 群馬県 |
| 喘息にはナメクジを生のまま呑む。 | 山形県、長野県 |
| 解 熱 | カタツムリをへそにはると熱さましになる。 | 広島県 |
| 黄 疸 | タニシの煮汁を飲む。 | 鹿児島県 |
| アサリは黄疸に効く。 | 埼玉県 | |
| 黄疸の場合、シジミを食べる。 | 岡山県 | |
| シジミの味噌汁は黄疸に効く。 | 秋田県、宮城県、新潟県、大阪府 |
| 腹 痛 | 盆の14日の提灯をともす時にカワニナを食べると効く。 | 山口県 |
※ 資料は、「日本貝類方言集−民俗・分布・由来−」、川名 興編、未来社(1988)を参考にさせていただきました。
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| 農薬や水田の整備、溜め池の埋め立てなどにより、姿を消したマルタニシ。今となっては、なつかしい。 | 本州・四国・九州の林内に生息し、長さ・太さともに大きくなり、15cmを越える場合もある。 |