snail5.gif (1130 バイト) 薬になったかたつむり

 「貝を食す」という習慣は、日本だけでなく世界中にあります。おそらく、わたしたちの祖先が山野を走り回って、自然の恵みを享受し始めたころから行われていたと推察されます。海鮮料理といえば、活きの良い魚とともに、貝類も食材としての大きなウエイトを占めています。海の貝に比べ陸の貝は食べる習慣がなかったものの、汽水や淡水にすむ貝は、古くから食用にされてきました。タンパク源を確保し摂取するには、恰好の食材だったのでしょう。
 このように貝類は、食べ物としての役割があるほか、古くから薬用としても利用されてきました。科学的な根拠の有無は別にして、民間療法として各地で伝えられてきました。衛生意識の昂揚した現在では、「どうして?」という言葉が先に出てしまいます。
 次にそのいくつかを紹介してみましょう。
 
◆利用した貝の種類と効用
 
貝の種類ベスト
@ナメクジ  Aタニシ  Bカタツムリ  Cシジミ  Dアワビ
 
効用と処方
肺 炎 タニシを石の上でつぶして呑む。 福島県、茨城県
シジミやタニシの煮汁を飲む。 鹿児島県
タニシの殻をとってつぶしたものを搾り、ぶどう酒を混ぜて飲む。 和歌山県
結 核 タニシとニンニクを練りつぶして飲む。 愛知県
ナメクジを生のまま呑む。 香川県、福岡県
ナメクジに砂糖をつけて呑むか、焼いて醤油をつけて食べる。 徳島県
風 邪 ナメクジを煎じて呑む。 奈良県
扁桃腺炎 生きたナメクジを呑む。 山口県
百日咳 カタツムリを焼いて食べる。 石川県
ナメクジを黒焼きにし、その粉を飲む。 群馬県
シジミの殻を黒焼きにし、粉末を少しずつ飲む。 山口県
喘 息 カタツムリの殻は喘息に効く。 群馬県
喘息にはナメクジを生のまま呑む。 山形県、長野県
解 熱 カタツムリをへそにはると熱さましになる。 広島県
黄 疸 タニシの煮汁を飲む。 鹿児島県
アサリは黄疸に効く。 埼玉県
黄疸の場合、シジミを食べる。 岡山県
シジミの味噌汁は黄疸に効く。 秋田県、宮城県、新潟県、大阪府
腹 痛 盆の14日の提灯をともす時にカワニナを食べると効く。 山口県

※ 資料は、「日本貝類方言集−民俗・分布・由来−」、川名 興編、未来社(1988)を参考にさせていただきました。

 
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農薬や水田の整備、溜め池の埋め立てなどにより、姿を消したマルタニシ。今となっては、なつかしい。 本州・四国・九州の林内に生息し、長さ・太さともに大きくなり、15cmを越える場合もある。

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