S R S解析の応用


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  1. 衝撃試験機の性能評価
  2. SRS規格試験への対応



衝撃試験機の性能評価(Go to Index)


衝撃試験機を使って製品や部品の衝撃試験を行う際、試験品や治具を取り付ける衝撃テーブルの特性を調べておく必要があります。衝撃試験機の衝撃テーブルは,その材質、構造、サイズに応じてそれぞれ独自の特性を持っています。プラスチックプログラマやガスプログラマ上にテーブルを落下させたときに発生する衝撃パルスを調べると、ほとんどの場合,何らかのリンギングが含まれています。この振幅が大きくなると、衝撃パルスの原型が認識できないこともあります。このような場合、計測波形にフィルタ処理を行うと、台形波やハーフサインパルスとして認識できるようにはなりますが、試験された製品に対するリンギングの影響を取り除くことはできません。

SRSを使ってはこのような衝撃試験機の問題点を顕在化することができます。実際、この点がSRSソフトウエアの大きなセールスポイントになっています。これを行うには、衝撃テーブル上で計測された波形をフィルタ処理せずにそのままSRS解析を行い、次にこの波形にフィルタ処理をしてSRS解析を行ないます。これらの両SRSを比較することにより、目的とされる衝撃試験の適/不適を判定できます。次の図は、台形波衝撃パルスのフィルタ処理の有無をSRSで解析した例です。



フィルタ処理されていない波形は800Hzと2000Hz付近に大きな応答が見られますが、これらの振動数を除くと両プロットは、実質的に同じものとなります。このプロットから、ノイズ(リンギング)の原因が2つあり、それは800Hzと2000Hzにあることがわかります。このSRSプロットの比較は,このテーブル上に試験品を取り付けて衝撃試験を行うと,製品に何らかのトラブルを発生させる可能性があるということを潜在的に物語っています。特にレコーダの記録/再生ヘッドやハードディスクドライブなどの小型電子部品やときには加速度センサーまでもがこの影響を受けることがあります。これらの部品は落下衝撃によってというよりも、テーブルの特性によるリンギング(テーブルノイズ)の影響を受けて壊れる可能性が有ります。もしそうであれば、試験品はある意味で誤った衝撃応答を示す結果となります。

上の図に示したような両SRSプロットの解析比較は全ての衝撃試験機に推奨できます。これは故意でなくとも、潜在する製品と衝撃試験機の間の重大な相互干渉が起こっていることが明確に示されるからです。もし製品にテーブルのリンギングが見られる付近の固有振動数(フィルタ処理されていないSRSプロットに示されいる)をもつコンポーネントが含まれていなければ、衝撃試験機による試験は問題なく行えます。含まれている場合には、これらのコンポーネントにダメージが発生したとしても、これが衝撃よるものかテーブルのリンギングによるものかが不明確であり、試験結果に疑問を残すことになります。


SRS規格試験への対応(Go to Index)

[衝撃試験で次のような規格試験に対応する場合]

500Hz-5000Hz

1000G

500Hz以下

6dB/oct


注意:数値は架空のものです

この試験条件を両対数グラフにプロットすると,右(上側)の図のようになります。

[衝撃試験機で発生させなければならないパルスは]


?パルスの作用時間を考える。
折れ点(1次ピーク)が500Hzであることから、fcDe=1/2の式を使ってDe=1/(2fc)の作用時間を持つ矩形波がこの規格試験に理論上適合すると考えられます。具体的にfc=500を代入すると,De=1(ms)ということになります。

?パルスのGレベルを考える。
矩形波のSRSが1次ピーク以降は、入力衝撃の2倍になることから,加えるパルスのGレベルは500Gということになります。

?衝撃試験機で対応ができるかどうかを考える。
矩形波パルスで500Gの試験には対応不可能であることから、正弦半波を使った衝撃試験を考えます。

?正弦半波パルスでGレベルを考える。
正弦半波パルスのSRSは,入力パルスの振動数の約10倍でその応答が入力と同じ大きさに収束することから、この試験の場合1000Gの入力パルスを加える必要があります。正弦半波のSRSの1次ピークは,500Hzよりも高域になりますが、fcDe=1/6のポイントでは、SRSが入力衝撃のピークGレベルとほぼ同じになり、fcDe<1/6の領域では、その応答が入力衝撃パルスの速度変化に比例することから、De=1/(6fc)の式でパルスの作用時間を求めることができます。右(下側)の図は規格に対し1000G-0.6msの正弦半波のSRS(不減衰)をプロットしてあります。

?実際に発生させるパルスを検討する。
正弦半波パルスのSRSは右のようになっていますが、実際に発生させることのできるパルスは幾何学的な正弦半波パルスではなく、バーサインパルス形状となります。つまり、速度変化が正弦半波よりも小さくなり、そのSRSプロットは右側にシフトします。さらに、実際のSRS解析では減衰(ダンピング)も考慮しなければならないため、SRSのプロットは下側にシフトします。また、1000Gレベルの衝撃を発生させる試験機の特性や使用する治具の影響がノイズとなって現れてくる場合があります。これらの諸点を考慮した上で、発生させるパルスを決める必要があります。



注意:数値は架空のものです