ゲイリー・カー(コントラバス)
2003年12月14日(日)17時30分開演
茅ヶ崎市民文化会館大ホール


コントラバスの名手、ゲイリー・カーが今年(2003年)12月、久しぶりに来日します。3年ぶりのリサイタルでは、カーの音楽を楽しむにはうってつけのすばらしいプログラムが用意されました。どうぞお聴き逃しありませんように!

ゲイリー・カー(コントラバス=右)とハーモン・ルイス(ピアノ=左)
PHOTO:(C)2003小島昭彦
2003年12月14日(日)17時30分開演・茅ヶ崎市民文化会館大ホール
WITH LOVE TO OUR FRIENDS

メンデルスゾーン
無言歌
−ト短調 Op.102-4「そよかぜ」
−イ長調 Op.102-5「こどものための小品」
−変ロ長調 Op.85-6「旅人の歌」
−ヘ長調 Op.85-1「夢」
−ハ長調 Op.102-3「タランテラ」

フランス後期印象派の作品
マスネ:エレジー
フォーレ:ヴォカリーズ練習曲
フォーレ:夢のあとに
サン=サーンス:白鳥(「動物の謝肉祭」より)
E.ナンニ:カプリース第3番

ボッテシーニ:エレジー ニ長調
ボッテシーニ:タランテラ イ短調

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日本のメロディ
八洲 秀章:さくら貝の歌 
山田 耕筰:赤とんぼ
多 忠亮:宵待草
飯田 三郎:ここに幸あり
服部 良一:山寺の和尚さん

ジャズのメロディ
B.ストレイホーン:A Flower is a Lovesome Thing
B.ストレイホーン:Lush Life
H.ジロー:Under Paris Skies(パリの空の下)

パガニーニ:モーゼ幻想曲


ゲイリー・カー(コントラバス)、ハーモン・ルイス(ピアノ)
■チケット A=\5,800 B=\4,000 C(学生席)=\1,000
■お申し込み・お問い合わせ=茅ヶ崎市楽友協会(電話予約:0467-82-3744)、または小島昭彦までメールにてご連絡下さい。


コントラバスからカーの声がきこえる
小島 昭彦

 1981年9月3日、上野の文化会館の楽屋口にぼくはいた。ミラノ・スカラ座の特別演奏会が終わり、指揮者クラウディオ・アバドのサインをもらおうと並んでいたのだった。そこへ出てきたのが、大きなコントラバスを抱えたゲイリー・カー。もちろん彼がスカラ座のステージに出ていたはずがなく、小ホールでのリサイタルを終えて出てきたのであった。
 「陽気で楽しそう!」という第一印象を受け、「ついでに!」と図々しくも、しかし、「実は今夜は別のコンサートに来たのですが・・・」といくぶんおそるおそる、たどたどしい英語でサインをねだった。カーは実に気さくで、つい「次は必ず伺いますから」と口約束してしまった。
 約束した以上はと、それを果たすべく、数日後の日曜日、横浜の県民ホールへ出かけた。すると、ちょうどそのとき、楽屋入りしようとしているカーが、ぼくに手を振っている。「リハーサルをするからおいでよ。」リハーサルなど立ち合ったことのなかったぼくは、嬉しくていそいそとついていった。
 初めてのコントラバス・リサイタル。旧ソ連のアザルヒンが弾く「ツィゴイネルワイゼン」のような、超絶技巧を誇示するかのような演奏とは趣が異なっていた。もちろんカーのテクニックは申し分のない、実に見事なものだった。
 しかし、カーの演奏にはそれ以上のものがあった。涙が出るほど美しく、人の心を揺さぶる「歌」がそこにあった。たしかクーセヴィツキーの「悲しみの歌」やブロッホの「祈り」だったと思う。一方、別の曲では、思い切り笑わせてくれる道化師をカーは演じてくれた。コントラバスのソロに関心のなかったぼくは、この日を境に、ゲイリー・カーの世界に「はまった」。
 それはおそらくぼくだけに限ったことではあるまい。カーの演奏会に来た人は、誰もがにこにこしながら帰っていき、また戻ってくる。
 ゲイリー・カーの音楽のすばらしさは、聴いてみて初めてわかるものである。知らない人にカーの弾くサン=サーンスの「白鳥」を「すてきなチェロね」などと言われると、ぼくはしばしば戸惑いつつ答えを明かすことになる。
 そのたびにぼくは彼のジョークを思い出す---「コントラバスとチェロの違いを知っているかい?---それは、焼いたときにコントラバスの方が時間がかかるってことさ。」
 カーの「歌」はまさに人間の「声」のような気がする。オペラ・アリアの名曲を録音することが、カーの長年にわたる夢だったにちがいない。「チョコレートが音を出せるとしたら」と、カーは自分の奏でるコントラバスの音を「チョコレート・サウンド」と呼んでいる。しかし、楽器を通してきこえてくるあの音は、ゲイリー・カー自身の声ではないのだろうか。

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