Game Review

貴族の務め


<DATA>
名称:貴族の務め(Adel verpflichtet)
分類:ボードゲーム
メーカー:FX SCHMID
デザイナー:Kraus Teuber
プレイ可能人数:3〜5人
プレイ適正人数:5人
プレイ時間:60分強
値段:¥4800(参考価格)
ルールの難しさ:普通。ルール説明は10分強。
持ち運び:箱は普通サイズ
オススメ度:なかなかいいゲーム。事実上5人専用なのが玉にキズ。



<ルール>
「貴族の務め」は、お金持ちの貴族たちが自分の美術品を見せびらかすゲームです。

このゲームでは、まず場所カードを決定します。全プレイヤーは「オークションハウス」か「城」を選び、伏せて出します。
次に、それを一斉にオープンして全員の居場所を見た上で、行動カードを選択して伏せて出します。

オークションハウスでは、手持ちの「小切手」で美術品を買うか、「泥棒」を使ってレジの小切手を盗むことができます。
ここでは最高値の小切手を出したプレイヤーが美術品を買うことができます。一方、泥棒は1人だけならば小切手を盗めるのですが、2人以上現れるとお互いけん制しあって、何もできずに帰らなければなりません。

城では、自分の美術品コレクションを「展示」するか、「泥棒」で展示物を盗むか、「探偵」で泥棒を捕まえることができます。
このゲームでは他人よりも良い展示をすることにより、得点を得ることができます。得点を得たら、ボード上のマスを進めます。展示するためには、一定のルールに基づいて3枚以上の美術品の組み合わせをつくる必要があります。
泥棒は展示物を、美術品1組につき1つづつ盗むことができます。一方、探偵は泥棒がいれば捕まえて牢屋に送る事ができ、同時に得点を獲得します。

このようにして進めていき、ある一定の得点を獲得した(つまりゴールマスにコマを進めた)プレイヤーがゲームに勝利します。


<コメント>
すばらしいルールです。以前紹介した「ラッツィア」のルールをさらに数段階進化させたような感じですね。
まず場所カードを選び、それを見た上で許される範囲で行動カードを出す、この2段階の行動選択システムが出色のデキです。とても適切なジレンマを発生させてくれるゲームだと思います。
このゲームは一時、アバロンヒル社から出ており、私が買ったのはアバロンヒル版です。内容は同じだと思われます。
ちなみに、このゲームは「1990年ドイツ年間ゲーム大賞」に輝きます。

このゲームでの乱数要素は、最初に配られる美術品カードと、店に売られる美術品カードの順番だけです。それ以外は、みんなの行動の組み合わせによって結果が決まります。ですから、このゲームは相手の次の手の読み合いがメインになります。
絶対に有利な行動というものはなく、相手の出し方によって、有利不利ががらりと変わってしまいます。
例えば、一人だけ展示をして他の全員が泥棒の場合、よってたかって美術品が奪われてしまいます。また、誰も展示をせず、泥棒と探偵だけの場合は、泥棒は何も得られないまま牢屋に放り込まれることになります。
一つ言えるのは、このゲームでは他の人と同じ行動をしていたのではダメで、一人だけ違う行動で有利にならなければいけないのです。
こういう心理戦ゲームって、いいですよね。しまいには、「あのプレイヤーの性格だと、ここはこうするに違いない」などと相手の行動を読んだりするのですが、相手もそれを見越して行動を変えたりするので、一筋縄ではいかないんです。うまく他のプレイヤーの行動を読んで、出し抜けた時などは、最高に楽しいですし、逆に裏目に出た時はとても悔しいです。
ですから、進行が淡々とは進まず、常に喜怒哀楽が出ます。

ちなみに、前半はコレクションを集めるために美術品を買うことになりますが、やがて手持ちのお金がなくなって買うことができなくなり、その頃には展示が頻繁に行われるようになるため、泥棒をして盗む方が効率がよくなります。したがって、前半は店で買い物をするケースが多いのですが、後半は殆どのプレイヤーは城に行って、展示・泥棒・探偵の攻防になります。
このゲームの勝利のポイントの1つは泥棒にあると思います。
手元に泥棒が一人もいなくなってしまうと、選べるオプションが減ってしまい、他人に行動を読まれやすくなります。ですから、泥棒は最低1枚は手元になくてはならないのですが、逆に泥棒が手元に2人いる必要はありません。つまり、巧い人はまず一人の泥棒に仕事をさせて牢獄に送り、その一人が釈放される際に、残った一人に仕事をさせて交代するかのように牢獄に送り込むわけです。このように、泥棒をフル稼働させられる人は、勝利に1歩近づきます。

後ろにいるプレイヤーは、探偵を使うとデメリットなく効率よく得点を得ることができます、ところが、トップに近づくに従って、探偵では殆どすすめず、展示をしなければいけなくなります。この得点のシステムもうまくできています。
ただ、最終局面になると、出遅れすぎた人は追いつけない状況が発生することがあるのが残念です。

5人でプレイする時が一番バランスが取れており、最もエキサイティングな展開になると思います。4人以下だと、なるようにしかならない局面が生じます。このため、私はこのゲームを5人専用ゲームだと思っています。5人で遊ぶことがあらかじめ分かっている場合はこれを持って行く事が多いです。そのせいで残念ながらプレイする機会はそれほど多くありません。
カードゲーム等に比べると若干時間がかかるのが難点ではありますが、練られたゲームシステムは一見の価値があります。




  1999/08 no-be-