1)高周波電気治療器と電気外科用機器の相違点

  高周波電気治療を総称する用語として「ジアテルミー」が用いられる。電気外科が外科

的ジアテルミー、超短波治療とマイクロ波照射が内科的ジアテルミーである。

  耳鼻咽喉科の電気外科では、外来手術に電気凝固を応用することが多い。いろいろな電

気凝固器が作られているが、電気切開には電気手術器(電気メス)が必要である。両者は

ともに高周波電流を通電する装置で、通常、活用電極と対極(不関電極、アース)を用いる

モノポーラー法または双極摂子のように同じ形の両極を活用するバイポーラー法で応用す

る。

  内科的ジアテルミーは電波の作用で治療す方法で、電気外科のように通電はしない。

短波療法は絶縁した電極間に生ずる蓄電器電界で治療する。マイクロ波治療は同軸ケーブ

ルでアンテナに導いた電波を照射する。高周波の熱作用という点でみると、外科的ジアテ

ルミーは、身体が電気的に抵抗となる導電加熱(Joule 熱)−いわば電熱器的な応用であ

る。内科的ジアテルミーは身体が抵抗と容量になる誘電加熱−いわば電子レンジ的な応用

である。そして超短波の透熱は温和であるが深達性であり、マイクロ波の加熱は強力であ

るが浅在性な点が特長である。

2)電気外科用機器の種類と特長

  電気切開には強い出力が必要であるが、電気凝固は切開の約1/10の電力で済む。高周

波電流の波形と作用には関連性がある。電気外科装置はこれらの点を考慮して製作されて

いる。

  高周波の発振には、火花間隙(スパーク・ギャップ)、真空管、トランジスター応用の3方式

がある。旧い方式のスパーク・ギャップは簡単な構造であるが、凝固性能の優秀な 断続減衰

波が得られる。真空管やトランジスター方式の非減衰連続波は切開に適している。

  発振波形を修飾することにより、最近の電気メスではモノポーラーによる切開、凝固、混合

およびバイポーラーの凝固が可能で、凝固用に別回路のスパーク・ギャップを組み込んだ装

置が作られている。このようなソリッドステート式装置の一例をあげると、最大出力 は切開が

200 W、混合 200〜150W、凝固 120W 、双極凝固が 20 W である。

  電気凝固器も同様に3方式の装置があるが、真空管式はトランジスターを用いたソリッド

ステート式に移行している。電流波形の修飾如何で凝固効率が左右されるのと、凝固に必

要な電力が小出力で済む点から、構造が簡単で凝固に適した波形のスパーク・ギャップ式

の装置が多く利用されている。鼻腔粘膜凝固には 5〜10ワット程度の電力を用いるが、出

力は余裕のある装置、たとえばスパーク・ギャップなら大型のものが、応用範囲も広く長

期使用に耐える。小出力で双極摂子専用の装置もあるし、対極と活用電極を用い、プラグ

を差し替えて双極も使える中型の装置もある。

  二次コイルを用いる単極性応用は、あまり用いない方法であるが、対極が不要である。

これに類似した変則的応用−対極を省略したモノポーラー法−の小出力装置もある。しか

し事故防止のためには、対極の省略は避けるのが常識である。

  電気外科装置には中波の 300KHz から短波の 3〜5MHzまでの範囲が利用される。中波と

短波では、外科的作用に相違があるか否かは未だ解明されていない点である。