耳同士をゴム管(オトスコープ)でつなぐと他の人にも音の聞こえるものがある。
これには@頭頚部の血管A耳に付属する筋肉から起こるものがあるが、他覚的
耳鳴の症例は少ない。
普通の耳鳴りは本人にだけ聞こえる自覚的耳鳴で、聴神経の異常刺激によって
起こり、1.外・中耳性 2.内耳性 3.後迷路性に分けられる。1.は例えば耳垢が鼓膜
に触れるとガサガサいうような、音の伝わる部分の障害なので伝音性耳鳴という。
2. 3.は音を感ずる部位の障害で起こるので、感音性耳鳴という。
伝音性耳鳴、たとえば耳垢によるものは、耳垢をとれば治る。「のどちんこ」 の
裏側を鼻咽腔というが、ここが弱いと中耳炎が治り難い。鼻咽腔の治療で中耳炎
の耳鳴が治ることも多い。難聴も耳鳴(ブーとかグーやウーなどが多い)も、音の
伝わる部分の障害によるものは治療で良くなる。しかし 突発性難聴と僅かな例
外を除き一般に感音性難聴は治らないし、その耳鳴(シーンやキーンが多い)を
治すことも大変難しい。まず原因と思われる騒音や薬物があれば、それを排除す
る。神経の腫瘍・出血や炎症、貧血、糖尿病、腎臓病、高・低血圧、ノイローゼな
どを内科・神経科的に精査して、これらを除外して、内耳性と考えられる耳鳴につ
いては、内耳の血行と代謝の改善、自律神経や精神の安定化に主眼をおいて治
療する。普通の注射の他に頸部の星状神経節に注射する治療もある。
また物理療法として低周波やジアテルミーの電気治療も行われ、マスカー療法
といって、耳鳴りを電気的雑音で2時間ほど遮蔽する治療もある。内服では漢方
薬も用いられる。悪性ではないが治らぬので、耳鳴りと共に生きる精神的な受容
が必要な場合も多い。耳鳴りが気になって眠れないので、一時間くらいで切れる
ようにタイマーをセットしたラジオを聞きながら眠ると楽だという工夫もある。