◆30/08/03 聖地 Estadio Santiago Bernabe'u

 午前7時半に、自然に目が醒める。寝付きは良くなかったが、一応時差ぼけは解消できたらしい。カーテンを開けると、まだ夜が明けたばかり。ここで、端と気付く。欧州の日暮れが遅いのは、夜明けが遅いからなのだと。そりゃ地球上の一箇所なんだから当たり前っちゃあ当たり前なんだが。つまり普通に目が醒めても太陽が出ている時間を効率的に使えるし、そのための夏時間であり、日本で単に夏時間を導入しても意味が無くて時間の設定そのものを正午基準から夜明け基準に変えないと駄目なんだと、一人で納得してしまった(笑)。それにしても、涼しいというか肌寒くて気持ちいいなぁ。マドリッド万歳。

 TV で天気予報を見て(見ただけ。でも判るよね)、ホールに朝食を取りに行く。朝食はコンチネンタル・ブレックファーストと言われる奴で、パン数種類とコーヒー・紅茶・ジュース・牛乳などの飲み物数種。これにハムとチーズがつく程度の簡単なもの。普通の日本人だと全然足らないのだが、スペインの食生活に合わせてパンとカフェ・コン・レチェ(カフェオレね)、チーズ程度で済ませた。多分後で沢山食べる羽目になるだろうし。以後、このスタイルは滞在期間中続くことになる。

○Madrid(切符を求めて)

 朝食を済ませ、荷物を整理して(貴重品は金庫へ)、いざ街へ。今日は昼食までにチケット類を用意せねばならん。まずは月曜日のAVE の切符を買いに向かいの Principe Pio 駅へ。スペイン国鉄 RENFE の営業所があると確認して行ったのだが、この日は土曜日でお休みらしかった。仕方が無いので、AVE の発着駅になる Atocha 駅に行くことにして、地下鉄へ。初めてなので周囲に気を配って行ったのだが、乗っている人は普通の人が多く、特にスリ以外は警戒する必要は無さそうだ。Sol 駅まで来て1号線に乗り換えようとすると、なんかホームの向こうで工事をやっている。看板が出ていたので見たら、どうやら土日は工事をやって通行止めで、バスを出すからそっちを使え、みたいに書いてある(知ってる単語から類推)。同じく困っていたスペイン人のおばちゃんが居て駅員に聞いていたので横に立っていたら、おばちゃんが手招きをする。

 おばちゃん「アンタもおいで

 どうやら、黄色いステッカーを目印にバス亭に行けば乗り継げるらしい。おばちゃんに付いて行って、無事にバスの乗り場所に到着。しっかし、土曜日に工事するとは、さっすがスペイン。もうこれで何が起きても動じないぞ。

 アトーチャ駅でいろいろ聞きながら AVE の切符を手配。AVE の窓口は当日用と明日以降用(予約)の二つに別れていて、それぞれ違う整理券が必要なので注意すべし。120 ユーロくらいかと思っていたら、どうやら往復割引があったらしく 100 ユーロちょっとで収まった。こんな事も、日本で手配していたら判らなかったところだ。現地で手配するようにしておいて良かった。

 AVE の次は今日の試合の切符だ。再びバスに乗って Sol まで戻り、地下鉄で今度は Gran Via へ(後から判るのだが、Sol から Grand Via は歩いても行ける距離)。マドリッド三越が指定の場所だった。地図を片手に Gran Via を歩いていたら、見慣れた“○に越”のマークを発見。ホントにマドリッドに三越がー! でも、デパートというよりセレクトショップって感じで、小さい。係員にチケットの引換証を見せて、チケットと交換。中身を確認し、やっと手に入れる。これだけでも現地確保にしておいて良かった。ちなみに、このチケット手配にはささやかなお土産がつくのだが、今回はパエジャの鍋だった。まぁ、くれるってんなら頂きますけれども。

Sol の臨時バス亭 シャトルバスの中
スペイン広場にて マドリーの試合チケット ¥35,000
ダフ屋は 100Euro 程とか

○Estadio Vicente Caldero'n

 残すは Atletico の試合のチケット。たしか、Gran Via にある NIKE のショップの地下で買えると聞いていたので、行ってみることに。三越からはそんなに離れてないところに、確かに NIKE ショップはあった。が、店員に聞いてみると「スタジアムでしか買えないよ」ってことなので、スタジアムへ。地下鉄5号線の Piramides 駅に向かい、人に聞いたりしながらビセンテ・カルデロンに到着。Taquilla(券売り場)を探していくと、売っている気配も、売っている時間の説明も無い。スタジアムでは練習があったようで、出待ちのファンが列を作っていた(おっさんやおばさんも多く、ギャルは少ない)。とにかく販売の時間を調べねばならない。自分に向かって「ナカータ!」と声をかけてきた子供に「チケットはいつ発売だい?」と指差し会話帳を見せながら質問。一生懸命に「月曜日の1時からだよ」と説明してくれたので、持ち合わせていたマリノスケ人形やピンズをプレゼント。掌に載せて見せたら、あっという間に持って行きやがった。別に逃げる必要ないのにねぇ(苦笑)。最後まで残っていた子供にお礼を言って、とりあえずビセンテ・カルデロンを後に。月曜日はアンダルシアに小旅行なので、火曜日に来るとしよう。帰る途中にボカディージョ(スペイン版サンドイッチ)を食べて、ホテルへ。

ビセンテ・カルデロン Taquilla はお休み 練習の出待ちをする人

 マドリーの試合開始は 19:30 から。荷物か到着したら、できれば着替えて行きたい。日本から持参したマフラー等の観戦セットも荷物の中だし、試合までは出歩かずにギリギリまで荷物を待つことにした。ロビーで荷物を待っていたが、荷物が届くような気配も無い。業を煮やしてイベリア航空に電話する(交渉は英語)。

 自分「昨日、アンタんとこのカウンターは『午後には着きます』って言ったんだけど?」
 IB「そうは申しましたが、ひょっとしたら夜になるかもしれません。」
 自分「ホントに今日受け取れるの?」
 IB「荷物は到着して配送業者に渡しましたので、今日中には受け取れますよ、セニョール。」
 自分「わかりました。ありがとう。」

この国のことだから、夜だと思ったほうが良さそうだな(苦笑)。

見切りをつけて、チケットだけ握り締めて、いざサンチアゴ・ベルナベウへ。

○Estadio Santiago Bernabe'u(外側)

 宿泊先からサンチアゴ・ベルナベウへは地下鉄 10 で一本。その名も「Santiago Bernabe'u」駅で降りる。既に試合開始1時間ほど前になっていて、降りていく人も多い。地下鉄を出ると、目の前にスタジアムの姿が。横浜国際に慣れてるのででかさはそれほど感じなかったが、それが街中にデンと立ってる状況にはさすがに驚くばかりである。

 とにかく何も応援グッズが無いので、とりあえずマフラー屋で物色。マドリーのマフラーはいろいろあったが、とりあえず目に付いたマドリーのマフラーと、これまた目に付いたアンチバルサのマフラーを購入した。3本買うから安くしろ、と言ったが不可だった。スペイン語が通じてないからかもしれない。

遂にやって来ました 色取り取りのスカーフ

 せっかくなので、とりあえずスタジアムを1周。LATERAL(バックスタンド)側は拡張工事をしていて、周りには騎馬警官も居た。BETIS ファンも見かけるが、圧倒的に多いのはやはりマドリーファン。マフラーを付けてる人は多いけど、シャツは少なめ。23 BECKHAM を着ているのは殆どイギリス人ぽかった。

工事中の LATERAL 騎馬警官も出動中

○Estadio Santiago Bernabe'u(入場)

 そんな感じで周辺の雰囲気を楽しみ、ピパス(ひまわりの種)と水を購入していよいよスタジアムへ。LATERAL(バックスタンド)側が改修工事中のために、入口がなかなか見つけられなかったが、なんとか入場。チケットはバーコードを読み取る方式。半年前に来たMさんの話では手荷物チェックがあるようだったが、それも一切なくスルー。まずは座席の位置を確認しに行く。位置はラテラルの通路よりも前側、コーナーポストからちょっとセンターよりになったあたりで、フィールド全体を見るのは難しそうだ。できれば2F席が良かったんだが、仕方ないので眼前の妙技を楽しむとしよう。無料で配っているマッチデイは、今回は開幕戦だからかA3版の豪華(?)版。表紙はロナウドで、中綴じには見開きでベッカムのポスター付きだった。多くの人(自分も含む)が大量に持っていってたが、後から続々出てきてたので問題無いだろう。

 開始5分くらい前になって選手紹介で、程なく選手入場と、こちらの進行は本当に早い。座席も10分前くらいまでは本当に埋まらないし(30分前なんてガラガラ)、ある意味効率的。入場はベティス側からで、もちろん指笛のお出迎え。続いてマドリーの入場、もちろん立って拍手でお出迎え。このあたりでやっとスタンドが埋まる。空席はベティスファンの居るアウェー側3階席の隅っこくらいに目立つが、他にもちょこちょこと空席が。開幕戦といえどもこのカードではこの程度のようだ。自分の周りはというと、日本人始め外国人と、日頃来慣れてなさそうなスペイン人。ソシオやペーニャの人は通路より上あたりのようだ。よく見ると座席の形も違うし、やっぱり会員が支えているクラブなんだと実感。

アップが始まってもガラガラ ウルトラはこのくらいでも盛り上がる ベティス・サポーターはこのくらい

○Real Madrid vs. Betis

 試合開始。マケレレが抜けたボランチは結局カンビアッソが勤めることになったようだ。懸念のCBはエルゲラとラウル・ブラボのコンビ。パボンじゃないのかー。と、守備をチェックしてたら途端に分殺ゴールが決まる。自分の席からは遠くてよく見えなかったが、髪形からするとベッカム。これで日本の新聞の1面は決まったな。ベッカムはゲーム中終始、攻守に渡って走り回り、中央での繋ぎや右サイドの守備にも顔を出すなど張り切っていた。なんか、今年ウチに移籍してきた佐藤由紀彦の姿が被った。多分クリスマス前には一度バテると見た・・・。

 ベティスは結構ハードなタックルをするなど、ガツガツ当たりにきていた印象。審判のカードも結構出ていた。前半中ごろにはベティス押し気味になって、チャンスも作り出す。マドリーの守備は今ひとつ安定感が無い。特にCBは、あの二人だったらマリノスの松田・中澤のほうが迫力あるよなぁ(ただし完調時に限る)とか思ってしまう。そしたら、ベティスがCKから同点に追いついた。今年のマドリーはセットプレイで苦労しそうかな。

 スタンドの反応は凄く判りやすい。攻勢のときはG裏のウルトラにあわせて拍手。相手の反則には指笛でブーイング。リーガを見に行くときは指笛ができると数段楽しい! と思った。もちろん、自チームが簡単なミスをしたときにも指笛。そしてチャンスを外したりピンチを凌ぐと“ウィー”の溜息。これがスタジアム全体で起こる、しかも反響するので凄い迫力だ。前半は1−1で終了したが、特に大きな指笛も無く、拍手が出ていた。これでいいということなのだろう。

 後半開始。んが、その前にストリーキングが乱入して一瞬場が興ざめした(目の前に走ってきたのだが、咄嗟のことで写真を取るのを忘れてしまった)。選手も大変だろう。後半はマドリーが押す時間が多い。ベティスは防戦一方で、これならゴールも割れそうだなと思っていたら、ゴール! ベッカムが中央から左外に開いたジダンにロングフィードを通し、これをジダンが完璧なクロス、中央にいたロナウドがお手本のようなボレー、ほぼ個人能力だけでゴールを叩き込んでしまった。ジダンのクロスからロナウドのシュートまでは眼前で繰り広げられたので、グランドレベル席の楽しさを十分に堪能することができた。抱き合うジダンとロナウドに集まってくる選手達。こいつらの年俸合わせると一体いくらなんだろう?(笑)

 その後、今日は動きが冴えないラウルがソラリに交替し、終盤にもジダンとロナウドがモリエンテスとポルティージョに交替。2−1の状態なのに交替してくる選手が全部攻撃系の選手ってのは、どういう采配なんだ?(笑 それしかできないんだけど) なんにせよ、大好きなモリエンテスの生出場を一瞬でも見れて大満足(これがマドリー最後になろうとは・・・)。危ないシーンもあったが、カシージャスの好セーブのおかげで失点せずに、なんとかマドリーが勝利。ちなみに、翌日のマルカでは守備陣はカシージャスだけ満点の3、4バックとカンビアッソは全員1点だった。

ジズーのコーナーキック 2点目の後 歓喜の輪 後ろで応援していた家族

○Estadio Santiago Bernabe'u(試合後)

 試合が終わって記念撮影をしていたら、あっという間に人が履けてしまった。引きが早いとは聞いていたが、これほどとは・・・。バックスタンド側に回っていくと、だんだん照明も落ちていって、最後には真っ暗になりそうだったので早々に退散。周囲は人も溢れていたけれど、だらだらと居るわけでもなく家路についていた。帰りも地下鉄1本でホテルへ。時間が午後9時半と早かったからだろう、特に危ないこともなく、そのままホテルに帰ることができた。

レカロなベンチ 30 分も経たずにこうなる

 ホテルで荷物の事をフロントに聞くと、届いているとのことで、早速ラゲッジルームから受け取る。もうちょっと早く届いていれば良かったんだが、届いただけでも良しとせねばならんのがスペイン流だ。ファスナーをロックする鍵が壊されていたのが気になったが、一見して荷物は盗まれてないようだった。部屋に荷物を持っていき、中身を展開して何はともあれシャワーを浴びて着替える。あーすっきりした!

 着替えてサッパリしたところで、夕食に。遠出する気にもならなかったので今日も近くの BAR で。それでも飲み物と Tapas というのは勘弁したかったので、定食が用意してあるところを探す。ちなみに、スペインでは“メニュー”(Menu)と言ったら定食のことを指すので、お品書きが欲しかったら“カルタ”(Calta)と言おう。Menu のあるところを見つけて、本日の夕食は魚のソテーとサラダ・パン・ワイン。スペインに来て初めて食事らしい食事を食べた気がした。