◆01/09/03 アンダルシアの夏

 朝6時半ごろに起床。今日は朝8時の AVE に乗るので、早目に駅に向かわねばならない。マドリッドはまだ夜明け前といったところだが、窓を開けると車の通りは結構多くて意外だった。ホテルの前からタクシー(車種はセアト)を拾って Atocha 駅へ向かう。地下鉄は、まだ外が暗かった事と、1号線の工事が終了しているか不安だったので使わなかった。夜明け前のマドリッドの街角には労働者風の人達が大勢。偏見かもしれないが、旅行者がうろつく雰囲気では無いなぁと思った。

○RENFE AVE

 タクシーは10 分ちょっとで Atocha に到着(5 Euro ちょっと)。AVE の乗り口に行き、セキュリティチェックを通って出発待合室へ行く。旅行者風の人が多いが、ビジネスマンもそれなりに居るのは、今日からバカンス明けだからだろうか。
 キオスクに行って恒例の MARCA を購入。そこの1面には「モリエンテス移籍」の報が。当然、スペイン語なんて全部はわからないのだが、英語と似ている単語で大体解釈できる(レンタルとまでは判らなかったけど)。一抹の寂しさとともに、彼の Santiago Bernabe'u 最後の雄姿を見れたのは幸運だったと考えるべきなんだろう。それにしても、後に座るのがロナウドだってのはなぁ。ポルティージョが 11 になったのは歓迎だけど。

 発車 5 分ほど前になって改札が開始されたので、飛行機のようにチェックインゲートを通ってホームに下りる(モギリは人手)。列車は朝日を浴びながら定刻通りに出発。Tourista クラスだが席も広めだし、700 系のぞみよりも静かで快適。というのも、こちらの列車は先頭の車両にだけ動力系があるけれど、日本の新幹線は全部の車両に動力系があるから。双方にメリットはあるけれど、少なくとも乗り心地の面では AVE の勝ちだろう。

 車窓に広がる荒涼としたメセタを眺めつつ、車内の BAR で寛いだりしながら2時間半が経過し、列車は終点の Sevilla Santa Justa 駅に到着。定刻より10分程早かったのはご愛嬌かな。

アトーチャ駅 セキュリティチェック
飛行機みたい
これが AVE
これが車内
席が大きくて良い
「世界の車窓から」(違)

○Andalucia Express

 ここからはマラガ行きのアンダルシア急行に乗り換え。窓口に行ってメモを見せながら切符を買い、ホームを探す。ところが、切符を見せた係員がこう言った。

 係員「Salid(行っちまったよ)

切符をよく見ると、列車の時間は 10:00。自分が切符を買った時間は 10:34 と印刷されている。なんで過去の切符が発行できるんだよ? 即座に窓口に行って二つの時間を指しながら迫る。

 自分「出発はこの時間。で、発券はこの時間。なんでだよ!?

 窓口のおっさんは顔色一つ変えず(きっと慣れてるんだろうなぁ・・・)何事も無かったかのように訂正して来た。まぁ、結果オーライだし、即座に対応してくれたから、不問にしよう(随分とこの国に慣れて来たなー)。
・・・もっとも、座席指定も何も無いから、乗っちゃって構わなかったんだけどね(多分)。

 アンダルシア急行は、メセタよりも更に荒涼としたアンダルシアの大地の単線を走り抜け、約1時間で Jerez de la Frontera に到着。乾いた空気に、焼けるような陽射しが眩しい。遂に、ここまでやってきた・・・。

アンダルシア急行を待つ人々 あの、牛の看板

○Circuito de JEREZ

 若井伸之。
 彼の名を知っている日本人が、どれほど居るだろう。1993 年 5 月。スペイン GP の予選中に起きた事故により、彼はこの地で帰らぬ人になってしまった。それから1年後、彼と共に世界に出た上田昇・坂田和人らによって彼を偲ぶ碑がこの地に建てられた。だから、スペインに行ったら是非ともこの地を訪れたかったのだ。

 さしあたって駅前通りで花を購入。ついでに、流石にこのアンダルシアの強い太陽にヤラレ気味だったので、偶然見つけた眼鏡屋でサングラスを購入する。眼鏡屋さんが「アリガトウ」と言ってくれたのが、GP 開催都市を少し感じさせる(違うか?)。続いてタクシー(SEAT)を拾って、いよいよ Circuto de Jerez へ。
 タクシーは15 分ほどでサーキットに到着(12 Euro)。ゲートに警備員は居るが、基本的にスルーのようで入場料も取られないし、もちろん、鈴鹿のように遊園地も無い。コースサイドに行くと、そこにはブラウン管の中で見た風景が広がっていた。感動を覚えながらも、あまりのんびりもしていられないので、早速モニュメントを探しにパドック方面へ向かう。コースマーシャルの人を捕まえて、英語スペイン語チャンポンで訪ねる。

 自分   「日本人・若井のモニュメントはどこですか?」  マーシャル「
 自分   「ハポネス・ワカイ
 マーシャル「ああ・・・。あっちだよ。

指された方向に行くと、それは確かに、ピット裏の隅に佇んでいた。設置から10年近く経った金属製のモニュメントは、一部は溶接が取れ、表面も荒れていたけれど、アンダルシアの太陽を受けて輝いていた。花を添えて、祈りを捧げる。

 自分『若井さん、やっと来れたよ。大治郎とは、そっちで元気にやってるかい?

もう二度と、こんな悲しい事故は起きないようにしてほしい・・・。

献花を済ませた後にパドックを適当に覗くと、なにやらテストをやっている様子。ミシュランのトレーラーに ENKEI のホイールの山・・・。隣のトレーラーを見ると、なんとマクラーレン! ピット裏から覗き込むと、メルセデス・エンジンはベンチに載ってたり、マシンのカウルが外されていたり、覗き放題。ピットまで入れそうな勢いだったけど、流石にそれは遠慮しておいた。ピット裏を去る頃にはエンジンのレーシング音が聞こえてきたが、時間も無いのでピットを後にした。

ヘレス・サーキット 若井さん、やっと来たよ マクラーレンのカウル

○Jeres de la frontera

 サーキットの守衛さんにタクシー(Mercedes)を呼んでもらい、再び Jerez の街中へ到着。が、Sevilla に戻るアンダルシア急行までは1時間弱なので、駅周辺しか見るところがない。シエスタの時間だったし、駅前の BAR に寄って時間を潰すことにした(なお、アンダルシア地方ではシエスタの時間になると本当に人っ気が無くなります。実際、暑くてやってられませんから、屋内や木陰で食事して涼む人が多いです)。

 自分「ワインお願いします。
 主人「ワインかい? それともシェリーにするかい?
 自分「ん〜・・・シェリーお願いします。(笑)

という感じで、思いがけずシェリー酒を堪能。出されたシェリー酒はちょっと辛口だったが、出されたtapas と一緒に味わうと、これが物凄ーく合う! やはりどんな酒でもその土地に行って土地の食べ物を肴にして、初めて美味しさが判るんだと改めて認識できた。
 再びアンダルシア急行に乗って Sevilla へ向かう。Costa del Sol からのバカンス帰りなのか、列車は結構賑わっていた。

アンダルシアの青空 駅舎にも風情がある

○Sevilla

Sevilla を知らずして maravilla を知らず
日本風に言えば「日光を見ずして結構と言うなかれ」ってな言葉らしいんだが、そうまで言われると見ない訳には行かないし、それに、そのまま帰るのも勿体無い。ということで、観光へ。

 駅からは、とりあえずバスに乗って旧市街まで出るが、そのバスの中で物乞いにたかられて困ってしまった。渡す金も無いので水を恵んであげたが、しかめっ面をしていたなぁ。10 分くらいで旧市街の終点に到着し、そこからは大聖堂を目指してひたすら歩く。Sevilla の商店街は熊本の上通りっぽい雰囲気で、なんとなく懐かしい。

 10 分ちょっと歩いて大聖堂前に到着。建設当時、「後世の人々が驚くほどの建物を」ってのがコンセプトだったそうだが、少なくとも自分はびっくりしたぞ。閉館時間まで1時間強だったので、とりあえず入って足早に見学。後日知るのだが、イスラム支配などの影響もあって、スペインの教会の装飾はイスラム文化の影響が色濃いのだそうな。確かに、日本とか他の地域で見る教会様式とはちょっと違うような気もする。

 コロンブスの墓って奴もあった。コロンブスの墓ってのは諸説あって、中米のほうにもあるらしいし(実際、遺体は一度中米に行ったんだそうな)、最後に移されたのが sevilla って話もあり。まぁ、それはともかく、これも一見の価値がある。

大聖堂と塔 これぞ Maravilla?! コロンブスの墓

 カテドラルに併設されたヒラルダの塔も必見。市街が一望できる。大聖堂とセットで見れるので、是非とも登るべし。

中庭を望む インディアス古文書館など 遠くには闘牛場も望める

 カテドラルの見学後、いいかげんお腹が空いて来たので、昼飯なんだが夕飯なんだかよくわからない時間に食事。アンダルシア地方に来たということでガスパチョに拘ってお店を探す。ユダヤ人街を彷徨った末に見つけたレストランに menu があったので、それを頂くことに。本場のガスパチョは酸味の利いたサッパリ味で、それでいて濃厚で、とても美味であった。ちなみにメインは仔牛のソテー。分量も適当で、今旅で質・量ともに最もバランスの取れた食事だった気がする。

○Plaza de Espan~a

 昔の博覧会の会場となったところで、マドリッドにあるそれとは何も関係ない。日本で言えば万博記念公園というところだろうか。歩いて行けない距離でも無かったので、川縁の道を歩いて行くことにした。歩くこと10分で公園に到着し、緑の中を抜けていくと素晴らしい広場が現れた(それにしても、欧州の人は広場が好きだねぇ)。  この広場の名物はスペイン全県の名前が入ってるベンチらしいので、とりあえず Madrid のベンチを探そうと広場の奥に進む。すると、水路は干上がってるし工事フェンスも設置されていて、見物に適した状態ではない(閉鎖はされていない)。看板を見ると、全面的に修復工事中らしい(日本語でも注意書き有り)。  ベンチを探す前に、どうにもアンダルシアの陽射しに負けて日陰で休んでいたら、わらわらと日本人が湧いて来た。どうやらツアー客のバスが立ち寄ったらしい。適当に声をかけて写真を撮ったり撮られたりしながら話を聞くと、この御一行は今朝 Madrid をバスで出てきたんだとか。ツアーとはいえ、Sevilla 来るまでくらい AVE 使えばいいのになぁ。

 ツアー客「退屈で死にそうでした(苦笑)

お気の毒です。このツアー、この後はコルドバ・グラナダ・バレンシアと定番コースでバルセロナに行くそうで。大変そうだけど、むしろツアーの皆さんが普通で、1週間も Madrid に滞在する自分みたいなのが例外なんだろう(この日は除く)。


スペイン広場 Madrid のベンチで

 他にどうしても観たい場所も無かったので、タクシーを拾って Sevilla FC のスタジアムを観に行くことにした。

○Ramon Sanches pisfan

 スペイン広場からタクシーで 10 分弱(3Euroくらい)でスタジアム前に到着。スペインのスタジアムはどこもそうだけど、通りからそれほど離れていないから訪ねるのが楽だ。表通りからは一見するとショッピングモールしか見えないが、その奥にセヴィージャの紋章が入ったスタジアムが構えていた。こういう作り、理想だよなぁ。とりあえずオフィシャルショップを探してスタジアムを覗いてみると、ショーケースがちょっと並んでいるだけで結構小さいが、すぐ隣に新しいショップブースの開店準備が進んでいた。開幕に間に合わないところがいかにもスペインっぽい。次に行く人はもっと綺麗なショップで買い物できるだろう。狭い店の中はファンクラブの更新か何かで結構賑わっているし、隣の Taquilla にも人が5〜6人並んでいた(自分を見て少しざわついてたな)。ここでピンズを購入し、スタジアムの外周を1周してみる。敷地のすぐ隣は住宅街になっていたり、なんとなく等々力競技場に雰囲気が似ていた。

 1周りした後、ダリオ・シルバ(マラガから移籍)の立て看板の前で写真を撮っていたら警備員が寄ってきた。何かと思ったら、なんと、中を見せてくれた。素晴らしいスタジアムと素晴らしい対応に感動。ここも専用スタジアムで、どこから見ても見易そうだった。

スタジアム正面 メインスタンドから ダリオ・シルバ看板

 見物を終えて、今後の人のためにバスで駅に向かうことにした。停留所の人に聞いて、駅は環状路線C3に乗って三つくらいで行けることが判明(0.9 Euro)。乗ってみたが、意外と短時間で行けるので行く人は利用したほうがいい(歩くと15分くらいと予想)。

 駅に到着したら時間は 19:40 。一本早い AVE に乗れそうだったので、時間を変更してもらって早めに Madrid に戻ることにした。夕暮れのアンダルシアの大地を抜けて列車は Madrid へ。