◆02/11/13「Re-START 〜地域リーグからの再興〜」

2002 年 11 月 10 日 14:50。アルエット熊本の地域リーグ降格が決定した。
試合終了を告げるホイッスルは、自分達の2年間の旅が一旦終わることも同時に告げた。

二年前、熊本初の全国リーグ参加チームとなったNTT西日本熊本FC(以下、NTT熊本)は、世の中の企業スポーツ縮小の流れの中で、クラブチームへの脱皮とプロチームへの発展を模索しながらJFLを闘うことになった。

そしてその出来事は、我々熊本出身のサッカーファンをひきつけた。地元に暮らして他地域のクラブを応援していた者はもちろん、故郷を飛び出して各々が住む地域のクラブを応援する自分のような人間も大きな関心を寄せた。そして、ネットの掲示板をきっかけに、サポーター組織が誕生。チームは、内外で急速に形を整えて行った。

'01 年度は出色の出来だった。序盤こそ、運営システムが違う全国リーグに戸惑ったのか黒星が先行したが、NTT繋がりで大宮からレンタルした金川と田中がフィットしてからは順調に勝ち星を重ねて上位を確保。昇格初年度にしてはまずまずの成績を残した。

「来年は上位争いを」

当然ながら、周囲はそう期待する。しかし、事はそう上手く運ばなかった。明けた'02 年。チームを取り巻く環境は大きく変わった。チームは本格的にクラブチームへ移行した。市民クラブ、と言えば聞こえは良いが、JFLとJへの挑戦を続けるためにやむを得ずこの形態に移行したというのが本当だろう。

そんな大転換の中で挑戦した2シーズン目。補強などもやったが環境が大きく異なった上に、中心選手のパフォーマンスが下がってしまっては勝てるものも勝てなかった。最も近くで見てきたサポーターの分析は、当たらずとも、遠からずだろう。

根本的な原因は、やはりプロ化を意識した環境を十分に準備できなかったことだと思う。事務局スタッフの血を吐くような頑張りで、看板も増えたしマスコミもそこそこ取り上げてくれた。けども、クラブチーム化で用具の支給などは止まったり、プロ選手と契約できる資金も無かった。頑張ったスタッフを非難するつもりは全くないし、それどころか感謝こそしている。スタッフの頑張りが解っていたからこそ、昨年の8位という望外の成績でもって、地元の経済界や行政が手を貸すに至らなかったことが残念でならない。

来期のアルエット熊本は、今年のような「県内トップチーム」扱いではなくて、数多のクラブチームの one of them だ。地域リーグ参加クラブだけを見てもランザと県教員団が居る。そんな中でアルエットが独自性を発揮し、戦力を維持しつつ、再び昇格を目指すには、どんな方法があるのか?

やっぱり、競技環境を売り物にするしか無いと思う。

どこだって選手に十分な給料なんて払えないし、選手だって地域リーグレベルで「サッカーだけで飯を食おう」なんて考えてないだろう(思っている奴が居たら、相当の世間知らずだ)。当然、働きながらサッカーするのだから、少しでもレベルが高くて環境の良い(負担の少ない)ところでプレイしたいと思うのは当然だし、そういうところでアピールして、少しでも良い選手を集めておくしかない。

地域リーグは試合も興行ベースにはならないから、広告収入だって減る(主催試合という概念は無いんだろうし)。金銭の収入は志ある企業の僅かな出資と、今期よりも減る後援会費ぐらいのものだろう。今のご時世、金銭を拠出してくれるところを探すのは相当厳しい。だけど、例えばチームのユニフォームをクリーニングしてくれるお店、選手のマッサージなどで協力してくれる治療院、グラウンドや練習環境を提供してくれる工場(こういうところは得てしてグラウンドを持っている)、車両を提供してくれるタクシー会社、etc. そういう会社をいくつも見つけていけば、クラブの金銭的負担自体は少なくて済むし、スポンサーも物的支援だからリスクは少ない。さらに、こういった店を新聞やフリーペーパーなどが無料で紹介してくれれば(掲載料がスポンサー料)、それぞれのお店にも見返りになろう。こういう事はJ2でも甲府などが採用し、成果を上げている。地域リーグならそれほど負担をかけないレベルで協力を要請できないものだろうか?

もっとも、クラブだけがそういうことを指向しても難しいだろうし、一般市民のサポーターの力でも、なかなかできるわけじゃない(自営業サポーターの方は、是非お願いします)。例えば協会などがある程度意図的に動いてバックアップ体制を作るとか、クラブの後ろ盾になるような存在も必要じゃなかろうか。そういう後ろ盾があれば、協力するほうも安心できる。大抵の地方Jクラブの場合、地元優良企業(例:札幌の石屋製菓)とか自治体(例:大分の平松知事)とかがそういう存在になるんだけど、熊本にそういう企業はなかなか無いだろうし(鶴屋くらいか?)、県のほうも、呼びかけはするにしても、JFLに招待しても来なかった県知事じゃ現時点でそこまで期待するだけ無駄だろう。県協会もあんまり強いわけじゃなさそうなんだけど、本気でJを狙うなら、協会も強くならないとダメだと思うので、無茶言ってます。

降格に至った理由の分析はするとして、今は来年以降の体制を整えることが必要だ。少なくとも、競技環境と戦力維持に直結するグラウンドと諸施設の件はなんとしても年内に解決してほしいと思う。

頑張れ、俺の熊本。俺達の熊本。