◆98/06/02 勝つために・・・

 フランスのピッチに立つ日本代表 22 名が発表された。
 そこに彼の名はなかった。三浦知良。間違いなく、90 年代の日本サッカーを引っ張ってきた KING KAZU は、結局、フランスワールドカップの舞台に立てなかった。
 落ちたのは、北澤豪、三浦カズのベテラン二人と、若干17歳の最年少、市川大祐。選考に関しては、文句は言うまい。言える立場にもない。落ちたメンバーのプレイスタイルと、監督のインタビューを聞けば、納得もいくものだ。

 市川。代表発表の場で監督が言った落選理由は、「思ったより伸びなかった。」だった。たしかに大化けする可能性はある。だから、期待も込めて選んでいたのであろう。個人的には、伸びしろを期待するのであれば、試合に出して、伸びるのに必要な“経験”という栄養を与えてほしかったと思う。が、代表自体にその時間もなかったのだから、致し方あるまい(この点を考えても、協会の無策、いや、失策は責められるべきだろう)。2002 年で君が右サイドを疾走する姿を期待したい。

 北澤。間違いなく、日本の最終予選突破の立役者である。が、今大会での日本の戦い方を予想すると、残念だが北澤のポジションはなくなると思う。今大会、日本は間違いなく堅守からカウンターというサッカーを強いられるだろう。少なくとも2戦はそうだ。その場合、守りを固めた相手を崩してスペースを作る北澤よりは、相手がスペースを埋める前に飛び出せる森島や、スペースにダイレクトパスを出せる小野のほうが徴用されたのだと思う。選手としてのポテンシャルは今でも十分だし、ツボを押えた動きも通好みだが、今回は戦術にフィットしなかったという不運になった。

 そしてカズ。'90 年台の日本サッカーを引っ張ってきたエース。その功績は誰もが認めるところだ。しかし、昨年の最終予選以来、めっきり調子を落とし、調子を戻さぬまま、本大会直前を迎えてしまった。「FWはどんぐりの背比べ」と言ったのは当の岡田監督だった。が、城、中山が順調に調子を上げ、呂比須が復調し、岡野はスーパーサブという絶対的地位を確保した。各人が己の牙を磨く中、一人だけ牙を研げなかった者は、厳しいようだが、脱落しても仕方ないだろう。例えそれが功労者だったとしても・・・。

 「日本代表はみんなのもの。私情を挟んではいけない」

サッカー漫画「Jドリーム」(塀内夏子:少年マガジン連載)で出てきた台詞だ。まさにその通りだと思う。ただ純粋に、勝つための戦術に適合する、勝つ戦術を遂行できる日本のサッカー選手だけが入れるチーム。日本のサッカー選手、関係者、ファン、国民の期待を一身に背負うチーム。それが日本代表なのだ。漏れた3人は、その力がなかった。ただそれだけの事だ。

 岡田監督が取ったプロセスには、批判も多かろう。しかし、その結果導かれた「カズ、北澤の落選」という答えは、勝利のためには間違っていないと、信じるしかない。その答え合わせは、6月14日のアルゼンチン戦から始まる。振り返るのはすべてが終わってからでいいではないか。それまでは、信じようではないか。そう、あの最終予選のように・・・。