◆98/06/06 スポーツライター考

 代表にはあまり関係ないことだが、きっかけが代表なので、ここに書いてみた。

 今日、出先の電車で雑誌「Number」のW杯プレビュー号を読んでいたら、とある記事に感に障る記述を見つけた。それは F1 の記事だった。先のモナコGPで完走した日本人選手二人に対する賛辞の記事だった。内容そのものは別にいい。私はモータースポーツも好きだし、F1もその一つだ。ドライバーだって、中野信治を応援している。感に障ったのは次の下りだ。

 「・・・F1 界では日本人ドライバーは着実に進化している。
  W杯の出場権を獲得しただけで大騒ぎしているサッカーよりは評価したい。」
 (text by 吉井妙子)

唖然とした。憎悪に似た嫌悪感が一瞬沸き、その直後、情けなくなった。仮にもスポーツライターともあろうものが、全く関係ないスポーツを引き合いに出して、自分の愛する競技をヨイショしていたのだ。全く、情けない!

 我々のような一般市民ならば、例えば酒の席で、

 「WGP の日本人ライダーは年間チャンプ争いをしているのに、F1はやれ完走だ、ポイント取っただ、レベルの低い争いをしている。なのにメディアの扱いは大きい。」

などと言ったところで、さしたる影響はない。こうしてホームページに書いたところで、素人の戯言と取られるか、ちょっと Deep な人に見つかったときに、メールで言われもない非難を浴びる程度だ(ちなみに「」内の前半は本当のことなので、知らない人、よく覚えておきましょう)。また、こんな発言を聞いたこともある。あれは今年の日本GP(二輪)の帰りだ。列車内で青木兄弟のファンと思しき女性は話していた。「こっちは世界を相手に1番目指して競っているのに、なんで世界大会に出る・出ない程度のサッカーがあんなに大騒ぎされるんだろう」。ごもっともである。興味のない人間にはそう見えるだろう。私だって、別に彼女に噛み付こうとはしない。

 しかし、である。彼らは違う。彼らの書いた原稿は、専門家の意見として、一般発売される雑誌に載るのだ。しかも彼らはそれで飯を食っている。いわばプロである。仮にもスポーツをネタに文章を書いて飯を食っている人間である。サッカーのW杯に出ることが、どのくらい大変で、価値のあることか評価できない。しかもこういう形で用いているとは! 失礼だが、吉井妙子氏はスポーツライターを名乗るのはおよしになったほうがいい。F1 雑誌で、F1 ファンに耳障りのいい記事でも書いておくほうが賢明だ。「Number」に書くのも辞めて欲しい。

 スポーツライター諸氏にお願いがある。専門馬鹿になるのは構わないと思う。が、少なくとも、比較する競技に関する記事を書くか、取材をしていなければ、比較は遠慮願いたい。ネガティブな比較をすることは特に、だ。あまりにも、情けないではないか。あなた方の大好きな競技が、情けなく見えるではないか。

 そういう点では、サッカーライターとして杉山茂樹氏は気に入っている。サッカー以外の競技もフォローしているからだ。「Number」の五輪記事は良かった。また、最近人気の金子達仁氏(私は発言内容はあまり好きではない点も多いが・・・)も、一時期テニス雑誌の編集部にいたこともあるのか、他のスポーツ取材でもなかなか良い記事を書くので、評価している。先日の里谷多英選手へのインタビュー記事など、非常にいい記事だった。

 とにかく、である。スポーツライター、仮にもスポーツを記事にしているのであれば、記事に出すスポーツの選手達が出している結果を、正当に評価してほしい。願いたいのは、それだけである。