◆98/12/16 喧嘩ノススメ

 1勝2敗で二次リーグ敗退。トルシェ日本初の公式大会は、予想と目標を大きく下回る結果となった。トルシェ監督が掲げた目標はベスト4。大方の予想でも、悪くても決勝トーナメント進出だった。

 敗退が決定したUAE戦で、トルシェは「アジアを甘く見ていた」と語った。また、「他国がA代表で来るとは聞いていなかった」とも語ったと伝えられる。この発言が本当だとすると、心配なことが三つある。トルシェ自身の情報収集に関する姿勢、協会のバックアップ体制、そして選手と監督の関係である。

 今大会に望む前、トルシェには十分な強化時間が与えられなかった。このため、自分のチームをある程度作り上げる時間がなかったという事情もわかる。ならば、なおさら、相手の情報を集める時間はあったはずだ。まさか、チームが召集されるまで、六本木で遊んでいたわけではあるまい。日本協会には山のようなビデオがあるはずだし、不幸にも日本代表は近年までアジアの国際大会でしか公式大会を戦えなかったのだから、アジアの主要国に関する情報は十分すぎるほど集められるはずだ。それらを活用して、アジアのサッカーやアジアの主要強国に関する予備知識を仕入れることはできるのだ。もしそれをやっていたら、「UAE は攻めてくる」という的外れなアドバイスはしないはずだ。煮え湯を飲まされた我々なら、UAE はどんなときでもカウンターを仕掛けてくることを知っているのだから。「相手がどこであろうと、我々は我々のサッカーで勝つ」というのは理想ではあるが、敵をまったく知らずに戦えるほど、現代サッカーは甘くない。ましてや、自チームの強化ができないなら、なおさらである。基本戦術をベースに、相手に合わせたサッカーも少しは取り入れるべきだったと思うのだ。

 協会に関しても同様のことが言える。トルシェの経歴が主にアフリカで培われたものであることは、誰もが知っている。アジアに関して十分な知識があるとは思えなかったし、実際になかったのだ。結果を求めるならば、なぜ半ば強引にでもビデオを見せなかったのか。資料を元にしたスカウティングだって、十分役に立ったはずだ。トルシェが望まなかったからといっても、強引に見せるくらいの姿勢を出さねば、外国人監督を雇いこなすことはできないのではなかろうか。

 そして選手は大会後に監督への不信感や不満を表にもらし始めた。不安を覚えるのも当然だろう。外から見ていて、我々だって不思議な起用が多かったのだから。だが、君達は中にいる人間なのだ。外の観客を介して意志を表示しても、それが正確に内部に再び届くことはない。君達自身が、監督に不満や疑問をぶつけなければ、問題は解決しないのだ。監督と話すのが嫌ならば、山本さんがいる。とにかく、外に不満を漏らすのは止めて欲しい。マスコミを使うのはまだ後なのだ。

 選手は間違いなく優秀だ。監督も、それなりの経歴は持っている。協会も、本気で 2002 年は勝ちたいのだろう。ならば、なぜこの時期にお互いがぶつかることを恐れるのか? 自分の考えと要求を相手にぶつけ、相手の考えと要求を聞き、お互いを尊重して協力して行かないと、取り返しがつかないことになるのだから。

 今は、ケンカする時期なのだ。