'98 World Grand Prix 〜 Round 3 スペイン へレスサーキット

 開幕のパシフィックラウンドを終えて、いよいよヨーロッパラウンドの幕開けです。全ラウンド中、最も人を集め、最も熱狂的な応援が繰り広げられるスペインGPをお送りします。

・GP125 〜100回記念〜
 毎年、ヨーロッパ勢はヨーロッパラウンドに入ってから本気を出してくる感がありますが、今年もその通りになりました。予選1番手はロカッテリ、2番手にジャンサンティとヨーロッパ勢が続きます。日本勢は3番手に宇井、4番手に上田、6番手に坂田と、いずれも好位置につけます。なお、坂田選手は今回のレースが GP 通算 100 戦目になります。記念すべきレースをどんな展開に持って行くのでしょうか。
 その坂田、絶妙のスタートからホールショットを奪い、そのままペースを上げて独走体制を築きます。予選からセッティングに苦しんでいたのが嘘のような走りです。その後方では、上田、チェッキネロ、宇井、ロカッテリら8台前後による2位争いが展開されます。
 2位争いは転倒やペースダウン等によって一旦にバラけます。序盤こそ上田が坂田を追って一歩抜け出しますが、坂田にはなかなか届きません。そうこうするうちに後続が上田に追い付き、レース中盤には上田、スカルビーニ、後方から追い上げてきた眞子などが2位グループを形成します。この頃、東も後方から追い上げを見せ、次第に順位を上げてきていました。
 トップをひた走る坂田は序盤から中盤にかけて3秒以上のアドバンテージを築くことに成功、そのままトップをひた走ります。こうなると注目は2位争いに移ります。眞子がコーナー入り口で抜けば、上田がシト・ポンスからドライサックにかけてのバックストレートで抜き返す、その後ろでジャンサンティが様子を見ている展開で、順位を入れ替えながらレースは進みます。
 残り5周、2位グループに異変が起きます。上田のペースが落ち、集団から脱落してしまいました。眞子とのバトルでタイヤの消耗を促進させてしまったのでしょうか。さらに上田の後ろに、驚異的なペースで追い上げてきた東が付きます。残りの周回で表彰台圏内に届くか、こちらも注目を集めます。
 ファイナルラップ、坂田は独走を守り切り、周囲に勝利を確信したサインを振りまきます。そのままチェッカーを受け、自身の 100 戦目に花を添えました。一方の白熱した2位争いは、眞子とジャンサンティが最後まで競り合い、眞子が押さえ切って2位をゲットしました。ジャンサンティは3位。後ろから追い上げた東も、あと一歩のところまで来ましたが、惜しくも届かず4位でした。上田は5位、宇井は7位でフィニッシュ。その他日本人勢では、徳留が12位、加藤が22周リタイア(完走?)に終わっています。

・GP250 〜経験という名の力〜
へレスでオフテストをみっちりやったアプリリアが非常に好調。なんと予選1番手から5番手がすべてアプリリアです。その中でポールを獲ったのはカピロッシ。次第に調子が戻ってきたようです。以下、ルッキ、ロッシ、原田、フークスと続きます。NSR 勢ではジャックが6番手、宇川が8番手、治親が10番手とやや苦しい位置からスタート。やはり新型ゆえのデータ不足でしょうか。アプリリア勢にどこまで食らい付くか?
 原田が絶妙のスタートを見せてホールショット。これにジャック、カピ、ロッシなどお馴染みの面々が続きます。ところが、前評判通りにレースをリードするかと思われたその矢先、原田をトラブルが襲います。メインストレートでいきなりのスローダウン。一度ピットイン後、再スタートするものの、結局リタイアとなってしまいました。
 原田が脱落したレースをリードするのは、やはりアプリリア勢でした。まずはロッシがバックストレートでやや強引に前へ。そのままリードを築いていきます。2位にはカピロッシ。無理に追うわけでもなく、等距離を保ちながらロッシを追尾します。が、この2台のアプリリアと後続は次第に開いていきます。アプリリア、恐るべし。そして、後続に適当な距離が開いたところで、カピロッシはロッシに襲い掛かります。1コーナーの突っ込みで前に出ると、先行しはじめました。アプリリア同士の熾烈なトップ争いが展開されます。
 一方、後続でも同メーカーによる激しい3位争いが。宇川とジャック、ともに NSR を駆るライダー同士。違うチームとはいえ、HRC からのより手厚いサポートを受けるためには、負けるわけにはいきません。こうして、各2台がバトル状態のまま終盤へ突入します。
 まずスパートをかけたのはトップ争いのカピロッシ。残り5周でロッシを引き離しにかかります。2秒近い差を付たカピロッシはそのまま逃げ切ってチェッカー。今シーズン初優勝を飾りました。流石は全クラスで優勝を収めたライダー。ベテランらしい勝ち方でした(といってもそんなに歳とってるわけではないんですが)。2位はロッシでアプリリアの1・2フィニッシュです。注目の3位争いは、ファイナルラップのドライサック進入でジャックが宇川をかわし、3位。宇川はあと一歩のところで表彰台を逃してしまいました。次頑張れ、宇川! 日本勢では治親が6位、辻村が8位、宮崎が10位、沼田が14位、畠山が16位でフィニッシュしました。

・GP500 〜英雄健在〜
 ビアッジの衝撃デビューによって勢力図が一気に変わった感のあるGP500。ヨーロッパラウンドに入ってからはどのように展開するのでしょうか。日本勢の巻き返しに期待したいところです。
 予選1番手は地元のチェカ。クリビーレも3番手に位置し、地元スペイン勢の好調が目立ちます。その中で2番手を確保したのが岡田。前回はリタイアに終わっただけに、巻き返しを期待したいところです。フロントローの最後はビアッジ。こちらも相変わらず調子がいいようです。それから、今回ドゥーハンが久々にフロントローから脱落し5番手です。とはいえ、先頭11台は1秒以内の差。白熱したレースが期待できそうです。
 ホールショットを奪ったのは地元クリビーレ。しかしドゥーハンやバロスの先行を許し4位まで一旦順位を落とします。ドゥーハンは先頭に立つとペースを上げて早速引き離しにかかりますが、ビアッジとクリビーレが付いていきます。一方、4位以下には岡田、ノリックの日本勢が姿を見せますが、なかなかペースが上がってきません。
 レースが動いたのは中盤でした。逃げはじめたドゥーハンを追うべくクリビーレがビアッジをパス。そのままドゥーハンの後ろに付き、1コーナー進入でドゥーハンをもパスします。これがバトルの始まりでした。続く2コーナーではドゥーハンが再びパス。しかしクリビーレもプッシュをし続けます。地元の英雄の走りに観客席が沸き、爆竹が鳴る。流石エスパーニャ。
 クリビーレの先行を許したドゥーハン。逃げるクリビーレを必死に追いつつ、背後でチャンスを伺うビアッジもケアしなければならない、厳しい状況が続きます。しかし、そこは V4 チャンピオン、ビアッジを抑えつつ、クリビーレとの距離を詰めるという難儀をやってのけます。一時は2秒近く離れたのが、残り5周で再び 0.3 秒程度まで詰めてきました。また、出遅れたチェカも次第に追いつき、こうなるとトップの行方は再び混沌としてきました。
 3台ダンゴ+1台の状態で迎えたファイナルラップ、逃げるクリビーレ、追うドゥーハン。仕掛けるとしたらドライサックか最終コーナーでしたが、最後の踏ん張りをクリビーレが見せ、追撃を振り切って優勝。昨年に続き、地元の英雄が地元で勝利を収めました。喜ぶ20万の観客。鳴り響く爆竹。流石エスパーニャです。2位はドゥーハン。後続の難敵を抑えつつ2位をキープするあたりは流石です。そして3位はビアッジ。チェカは4位でした。
 日本勢では阿部が6位、岡田が7位、青木が8位、難波16位、加賀山が19位でした。今回も振るわなかった日本勢。次回こそ爆発を期待しましょう。

 次回は 5/17。Round 5 イタリア。コースはムジェロ・サーキットです。日本と並ぶ WGP の一大勢力イタリア勢のホーム GP。イタリア勢の活躍が予想されますが、日本勢、頑張ってほしいですね。鈴鹿でセンターポールを獲られた借りをぜひ返してもらいましょう。

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