'98 World Grand Prix 〜Round 5 フランス ポールリカール〜

 序盤4戦が終わり、各クラスの勢力図も見えてきました。坂田や上田らを筆頭に今年も日本勢の活躍が目立つ GP125 や、原田がアプリリアで快走を見せる GP250 に比べると、今年こそ日本人ライダーが主役になると思われていた GP500 は、今のところ、日本勢はカヤのソトとなっています。私が筆頭と位置づけた岡田が骨折で欠場なのは痛いですが、そろそろ巻き返しを期待したいところです。

・GP125 〜ミストラルの向こう側〜
 小雨がたまにぱらつく不安定な天気ですが、一応ドライコンディションでのレースこういうときは濡れた部分や、雨による路面の急変に注意してほしいものです。
 予選はポールから上田、坂田、眞子と、日本勢上位3名が並びます。4番手にチェッキネロ。虎視耽々とトップを狙っています。他、日本勢は7番手に宇井、9番手に東、18番手に徳留、23番手に加藤となっています。東はこれまでも後方のスタートからの追い上げに目を見張るものがありますから、注目です。
 スタートから程なくロングストレート“ミストラル”があるため、他のサーキットと比較すると、1周目から集団がバラけ気味になります。スリップストリームに付けなくなたマシンが脱落、2〜3周でトップ集団は10台程度に絞られます。
 5周目のミストラル。坂田がスリップストリームから一気に飛び出します。そのままペースを上げますが、それをさせじと眞子が付いてきます。これに上田らが絡んでくると思った7周目、映像に移ったのはグラベルに横たわる上田の姿でした。ウエットパッチに乗ったのか、巻き込まれたのか、定かではありませんが、ちょっとダメージが大きそうなのが気になります。
 レースは坂田と眞子が若干抜け出しトップ争い。その後ろで東、ジャンサンティ、メランドリの3位争いという子達でしばらく推移します。そして残り14周の段階で再び一つのグループに。特に、ジャンサンティが強烈にプッシュしますが、最終コーナーでジャンサンティまた転倒。前回に続いて悔しい結果に終わりました。また、ここまでトップを守り続けてきた眞子も、その1周後にミッションのトラブルでスローダウン。こうして、残り10周の状態で、優勝は坂田、東、メランドリの3台に絞られました。
 終盤、強烈な走りを見せたのは東でした。メランドリ、坂田を抜いてトップに立ち、初優勝に向かってひた走ります。一方、不気味なのは坂田の走り。東とメランドリをわざと先行させ、後方で様子を伺っているようでした。その坂田、多少は苦戦したものの、ファイナルラップのミストラルエンドでトップに立つと、そのまま抑えきってチェッカー。完全な横綱相撲で今期3勝目です。東も、最後まで坂田をプッシュし続けましたが、最終コーナーで逆にメランドリに抜かれて、結局また3位に終わりました。こちらのブリジストンタイヤの初勝利にはもう少し時間が必要なようです。
 この優勝で坂田はポイントランキングでもトップに。チャンピオンに向けて順調に歩んでいます。

・GP250 〜アプリリア・オン・ステージ〜
 ここまで4戦中3勝。その1敗もワイルドカード・ライダーによるものだけという、驚異的な強さを誇るアプリリア。今回も予選から速さを見せ付けます。予選トップ3を原田、カピロッシ、ロッシの順で独占しました。これに続くのが NSR を駆る青木治親。調子を戻してきているようで、楽しみです。一方、宇川は振るわず6番手。そろそろ1勝が欲しいのですが・・・。さらに後方14番手に YAMAHA TZM を駆る辻村。国内で好成績を挙げている YZR の投入までは辛いレースが続きそうです。
 序盤から原田、ロッシが飛び出し、2台が先行します。かなり離れた位置で NSR 勢による3位争い。そこにスタートを失敗したカピロッシが追いつき、あっという間に3位に躍り出ます。と、その直後にその集団にいた宇川が1コーナーでスリップダウン。気合だけが空回りしているようで、ちょっと心配です。
 こうしてアプリリア1・2・3のオーダーが完成。アプリリアの独演会が始まりました。中盤にかけてはロッシが原田をプッシュするトップ争いを展開。お互いがペースを落とさないような感じでラップを刻みます。その後方にカピロッシ単独走行。しかし、こちらも着々と先頭とのタイム差を縮めていきます。17周目の1コーナー、原田が突っ込みを失敗。これにロッシも合わせてペースダウン。これに乗じてカピロッシが追いつき、ついに文字どおり三つ巴の戦いとなり、レースは終盤に突入しました。
 先に動いたのはロッシ。スパートをかけて逃げ切りを図ります。これに原田だけが付いていき、カピロッシは再び3位単独走行に。ロッシは原田を押えてトップをひた走りますが、タイやの消耗が激しいようで、タイトコーナーでは車体を震わせて立ち上がります。一方の原田はまったく安定した挙動で、トップに立つのは時間の問題に見えました。ところが残り7周に入るとき、ロッシが不可思議な行動をとります。レース中にウィリーでメインストレートを駆け抜けました。もちろんこれで原田は易々とトップに。その後、ロッシは再びチャージしてくるものの、原田はそれを押さえ切ってフィニッシュ。今期2勝目を挙げて、ランキングトップに浮上です。2位にロッシ、3位にカピロッシと、アプリリアが表彰台を独占しました。アプリリア、本当に強いです。無鉛化の影響はどこに行ったんでしょう?
 日本勢は青木治親が6位、辻村が9位でフィニッシュ。宇川、畠山、沼田、宮崎はリタイアで終わりました。

・GP500 〜悪童対決〜
 ビアッジとドゥーハンの一騎打ちの雰囲気が漂う GP500 ですが、他のライダーもそろそろ黙ってはいないはず。特に日本勢には、奮起を期待したいところです。
 予選1番手は王者ドゥーハン。以下チェカ、クリビーレ、ビアッジと続きます。6番手に YAMAHA から復帰したカダローラ。浪人生活からの復帰第1戦ですが、YZR 勢トップタイムをマーク。さすがベテランです。岡田がいない日本勢のトップは8番手の青木宣篤。γの熟成にはもうしばらく時間が必要なようです。ノリックはその後ろ9番手。毎度の、スタートでのジャンプアップに期待したいところです。
 レース序盤はクリビーレとドゥーハンを中心に、あいかわらずの NSR 勢によるトップ争いが展開されます。その後ろに YZR 2台、γが続きます。マシン差がもろに出るこのコースは、各車のポテンシャルが如実に表れます。
 GP500 らしからぬ、10台近くのトップ集団が次第にバラけ、中盤には5+5の2集団に別れます。淡々とした展開にアクセントを加えたのはコシンスキーでした。最終コーナー立ち上がり、イン側からビアッジに押し出されそうになったコシンスキーは、ホームストレートで逆にビアッジにマシンをサイドからぶつけます。新旧問題児対決は、違った意味で激しいものになりました(放送のゲスト・宮城光がコシンスキーをかばっていましたが・・・ (^^;)。
 クリビーレ、チェカ、ドゥーハンがしばしば順位を入れ替えるものの、そのまま淡々とした展開で終盤に。後ろで様子をうかがってたビアッジも、コシンスキーとの競り合いに気を取られたのか、前を伺う走りができません。結局ビアッジはコシンスキーに抜かれ、集団から脱落。問題児対決は大人になった(らしい)コシンスキーに軍配が上がりました (^^; レースのほうはクリビーレ、ドゥーハン、チェカのオーダーでフィニッシュ。ドゥーハンは最後の最後でチェカをパスして2位に滑り込みました。これで、ランキングは1位クリビーレ、2位ドゥーハンで変わらず、3位にビアッジと、各2ポイント差でひしめく混戦状態となっています。これに日本勢が絡んでないのは残念なところです。
 その日本勢の結果は、阿部が7位、青木が8位。マシン差もそうですが、それよりもマシンとの相性やセットアップ能力によるものが大きいでしょう。NSR 勢を脅かすには、もう少し時間が必要なようです。

 次回は 6/14。Round 6 マドリード。サッカーW杯期間中のため、BS では1週後れでハイライトの放送のようです。今年は DORNA(WGP の興行主。スペインの会社)の意向か、スペインで3戦開かれますが、そのうちの2戦目です。再びスペイン勢が活躍するのか、注目です。

当コーナーで取り上げてほしいテーマなど、ご要望は下記までメールにてお寄せください。
e-mail : nakamu@qb3.so-net.or.jp


Index  Home