'98 World Grand Prix 〜Round 10 チェコ ブルノサーキット〜

 長い長い夏休み、1ヶ月のインターバルを経て、グランプリサーカスが再開しました。残り6戦、タイトル奪取に向けて、熱い戦いが繰り広げられます。
 今回は第10戦、チェコGPです。古くから東欧唯一のGPとして親しまれたラウンドです。コースはブルノサーキット。ワイドなコース幅と高低差のある、1周が5km 以上あるロングコースです。

・GP125 〜遠い1勝〜
 ポールを獲ったのは、坂田。以下、眞子、チェッキネロ、東とフロントローに並びますが、今回はトップの坂田から9位のロカテッリまでが1秒以内の収まるという僅差の予選。最後まで気の抜けないレースになること必至です。
 その読みどおり、序盤は10台前後の長い集団でレースが進んでいきます。所々で順位を入れ替えるものの、125cc らしい長い集団がなかなかバラけません。
 こうした状況が後半まで続いたところで、まず飛び出したのは宇井でした。スパートをかけて集団から一つ抜け出します。このまま行けば YAMAHA 久々の勝利かと思われました。ところが、残り5周となった15周目、なんと宇井が痛恨のハイサイド転倒。リタイアとなってしまいました。これでレースの行方は益々解らなくなります。
 宇井の転倒後、今度は東、そしてメランドリが飛び出します。その後ろに坂田も飛び出し、遂に集団がばらけ始めました。東はメランドリを寄せ付けない走りトップを快走、このまま行けばGP初優勝なるかと思われました。ところが、勝利の女神はもう一つのドラマを用意していました。ファイナルラップ、なんと東が転倒! GP初勝利はまたしても成りませんでした。
 結局、後ろで坂田と2位争いをしていたメランドリが優勝、2位は坂田、3位にはチェッキネロが入りました。
 宇井、東にはあまりにも遠い1勝でしたが、優勝する日は遠くないでしょう。次に期待したいと思います。

・GP250 〜両雄再び〜
 9戦を終わって、ランキングトップの原田哲也。しかし、意外にもこのチェコでは勝利がありません。ジンクスを打ち破って、チャンピオンに向けてもう一歩踏み出すことができるのか、注目です。
 フロントローは1位から順にカピロッシ、ロッシ、ルッキ、原田と今期5度目のアプリリア独占です。NSR は今回、大幅にマシン変更をかけてきましたが、先の全日本同様、いまひとつ結果が伴いません。
 スタート直後、ロッシがルッキに前を塞がれるような形で転倒。アプリリア軍団の一角がはやくも崩れます。とはいえ、残りの3台も早くも抜け出し、トップグループを形成しました。さらにその中で原田は集団をリード。ときおりカピロッシを前に出すものの、すべてを掌中に収めたかのようにレースを進めます。
 8周目。約半分を消化したところで、ついに原田が動きます。後続のカピロッシとルッキを置いて逃げ始めました。カピロッシも付いて行こうと試むものの、じりじりと逃げていきます。一時は2秒ほど差が開き、このまま原田が逃げ切るかと思われました。しかし、カピロッシもタイトルがかかっているので、負けられません。再び追いつき、追い越す。意地を見せます。原田対カピロッシ、5年前にタイトルを争った二人が再び、火花を散らします。
 ところが、勝負は意外な形で決着します。なんと、カピロッシが一瞬スローダウン。なんらかのマシントラブルを抱えてしまったようで、原田の先行を許します。原田はそのまま差を広げて逃げ切り、チェコGP初優勝を飾りました。2位にはカピロッシ。しかし、マシントラブルを抱えなければ、勝負はどうなったか解りません。そして3位にはルッキと、またしてもアプリリア 1-2-3 となりました。4位には NSR を抑えて TS-HONDA のマクウィリアムズが入り、最後まで4位争いを展開した宇川、青木が5位、6位となっています。ワークスがコンストラクターに負けるとは、NSR の症状は相当酷そうです・・・。
 ポイントランキングは原田が 178 と、2位のカピロッシに 24 の差をつけてトップ堅守。5年ぶりのタイトルに向けて、着実に前進しています。

・GP500 〜混迷極まる〜
 ここ数年、ドゥーハンの独走が続いた GP500 ですが、今年は少し異変が起きています。ポイントランキング、トップこそドゥーハンが座っていますが、2位以下にそれほど差がありません。しかも、2位にいるのはルーキーのマックス・ビアッジですから、これも驚きです。
 ポールを獲ったのはドゥーハン、2番手にビアッジと、ランキング1、2がそのまま並びます。ドゥーハンは一人1秒台に入れるなど、好調なようです。今レースから復帰の岡田は7位、青木が9位、ノリックが12位と続きます。
 スタートからビアッジが飛び出しホールショット。ドゥーハンも2番手に付けており、程なくビアッジを抜いて独走に移るかと思われました。ところが、そのドゥーハンが1周目でまさかの転倒! フロントからスリップしたようでした。ドゥーハンはかろうじて再スタートしたものの、結局は途中リタイヤし、ノーポイントに終わりました。
 さぁ、これでレースも先がわからなくなりました。1周を終わった段階でビアッジ、バロス、ノリック、クリビーレのオーダー。ノリックは毎度のロケットスタートでのジャンプアップです。その後、周回が進むにつれノリックは遅れ始め、毎度の NSR 勢同士のトップ争いに移ります。しかし、オーダーは変わらず、それぞれ仕掛けるでもなく、淡々とレースは進んでいきました。
 レースが動いたのは終盤でした。追い上げていた岡田がクリビーレをパスし3位に浮上。バロスも強烈にプッシュしはじめます。しかし、日本人ライダーにとって天敵とも言えるバロス、鋭い突っ込みで岡田を前に出しません。攻めあぐねているうちに、ファイナルラップでクリビーレが再び岡田をパス、3位に返り咲くと、一気にバロスをも抜き去り、2位に浮上。さらにビアッジを抜こうと追い上げますが、ここはビアッジが逃げ切って優勝。以下クリビーレ、バロス、岡田の順にフィニッシュになりました。ノリックは5位、青木宣篤は10位に終わっています。
 これでビアッジは今シーズン2勝目。ランキングでもドゥーハンを抜いてトップに立ちました。恐るべしルーキーです。残り5戦、はたしてドゥーハンの巻き返しは成るのか。今年は GP500 から目が離せません。

 次回は 9/6 イモラ GP です。

余談:
 サッカーの中田英寿選手がイタリア・セリエAに行ったのは皆さんご存知のとおりですが、これに随行して多くのスポーツ記者が現地に行ってます。イタリアくんだりまで行って、サッカー選手一人取材していればいいなんて、結構なお仕事ですよね。イタリアといえば、サッカーもそうですが、モータースポーツの本場でもあるわけで、こちら関係の取材などもしてもらうと、我々モータースポーツファンにはありがたいのですが・・・。

当コーナーで取り上げてほしいテーマなど、ご要望は下記までメールにてお寄せください。
e-mail : nakamu@qb3.so-net.or.jp


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