'99 World Grand Prix 〜Round 04 フランス〜

 コンチネンタルサーカスに突入したWGP。ヨーロッパラウンドの第2戦、round 4 の舞台は南フランスのポールリカールサーキット。全長 1.1 km のロングストレート「ミストラル」が名物となっています(FISCO のメインストレートのほうが長いですね)。

・GP125 〜日の丸が消えた日〜
 予選ではなかなか日本勢が上位に来ないものの、ここまで結果は東の3連勝。NHK-BS によると、GP125 で過去に開幕3連勝したライダーは皆、年間王座を獲得しているらしいですが、どうなるでしょうね。予想通りに行くことを期待しましょう。
 さて、予選結果は今期好調のイタリア勢の1人、チェッキネロ。東は2番手と日本勢の中では1人気を吐いてます。以下フロントローはロカテリ、スカルビーニとイタリア勢が占拠。日本勢では2番手の宇井が3列目9番手スタート。上田が11番手、となかなか調子が上がらない様子。特に坂田と上田のベテラン勢二人には頑張ってほしいのですが・・・。
 スタート直後、2コーナーで早くも宇井が転倒。途中トップを走っていたチェッキネロも転倒するなど、転倒の目立つ序盤でした。そうした中、東と上田がトップ集団の中につけ、周回を重ねて行きます。このまま集団でレースが進むかと思われましたが、ロカテリが5周目にトップに立つと、早くも逃げの体制を取りはじめました。周回を重ねるごとに後続を離すロカテリ。半分を過ぎて、完全に1台抜け出しました。
 こうなってくると、興味は2位争い以下に。4〜8台の集団から誰が抜け出すのか、こちらのほうが面白くなってきます。東とアルツァモラが引っ張りあう形で、125 らしいダンゴ状態でレース終盤へ。ファイナルラップ突入時に6台の集団は表彰台をかけて最後の争いを展開します。まず、ミストラル・エンドの高速コーナーで東がヴァンサンを抜いて2位に浮上。その直後のヴァンサンのアタックは抑え込みます。ところが、ヴァンサンが今度はインフィールドのS字でラインを変えて再びアタック。再逆転。東は後ろにつけていたアルツァモラにも抜かれ、結局4位でフィニッシュとなってしまいました。
 優勝は2位に6秒もの大差をつけたロカテリ。2位は地元フランスのヴァンサン。3位はアルツァモラと、久々に日の丸のない表彰台となりました。東は上記のように4位。同じく2位グループにいた上田は5位、坂田は9位に終っています。

・GP250 〜いつか勝てる〜
 そのとき、目の前で起きた出来事を、宇川はどのように捕らえていたのだろう。周囲から期待され、自分でも手が届くところに来ていることを理解していながら、それでも届かなかった1勝。それは突然目の前に転がりこんだ。あたかも夜明けが突然来るかのように。
 宇川の予選はいつも通りだった、フロントローは確保するものの、ポールは取れずに4番手。ポールに座ったのはチャンピオン候補最の1人ロッシ。そして今期大活躍のルーキー、中野真矢は5番手スタート。気の早い者は、日本人のチャンピオン争い1番手を宇川ではなくこの中野を推すものもいた。宇川としては心中穏やかではなかったはずだ。宇川にも過去5シーズンを闘ってきた経験と意地がある。1勝さえすれば、ここまでの3連続2位の成績も評価が違ってくるのだから・・・。
 レースは序盤からロッシが逃げ、それをカピロッシが追う展開に。宇川もいつものように3番手グループで中野らとポジション争いを繰り広げていた。周回が半ばを過ぎた段階でもこの状況は変わらず、ロッシ、カピロッシ、宇川の順。この段階で宇川はロッシから5秒以上後方で、このまま行けば3位、うまく行っても2位が限度という状況だった。しかし、ここからレースは動く。
 後半、宇川はまず前を行くカピロッシに勝負を仕掛ける。インフィールドの入口でカピロッシを抜き去り、ロッシを追いかける。しばらく後、抜かれたカピロッシがハイサイドで転倒。これで後ろからのプレッシャーが取れた宇川は、ロッシを追いかける。しかし、残り6周でタイム差は5秒弱。今日のロッシの調子から考えれば、逆転は非常に難しい状況だった。しかし、ファイナルラップにドラマは起こる。ロッシがマシントラブルでコース上に停止。これで宇川はトップに浮上。すでにファイナルラップのインフィールド。もうここでミスをするような宇川ではなかった。慎重に、しかし淡々とマシンを走らせ、そしてチェッカー。かくして、宇川徹の戦歴に、優勝の回数がついにカウントされた。ウィニングラップ、どこかしら控えめに喜ぶ宇川の姿が印象的だった。

 2位は中野がマクウィリアムスとの激戦を制して獲得。3位にはペルジーニ。日本勢ではジャックの代役で久々に参戦した本間利彦が10位。徳留が13位。眞子が17位に終っています。

・GP500 〜ディアボロ健在〜
 “aprilia GP500 から撤退か?”こんな噂がGPパドックを騒がした。あまり芳しくない成績に流れた噂だったが、それを打ち消すかのように、原田は予選1日目に目を疑うような結果を出す。予選トップタイム。メインストレートが長い高速サーキットのここ、ポールリカールではツイン勢は不利というのが常識的な見方だった。しかし、原田はあっさりとこの常識を覆してしまった。追い風とスリップを利用した、見事なタイムだった。流石に2日目はV4勢が力を発揮し、原田の予選順位は8番手まで落ちてしまったが、それでも、先の噂を払拭するには十分の結果であった。だが、“ディアボロ”の逆襲はこれでは終らなかった。
 レースは序盤から荒れ模様の展開。早々にビアッジがスリップダウンで転倒。スタートで4位にジャンプアップした原田は、一時3位に浮上するものの、阿部、岡田らのV4勢の先行を許す。しかし、これとて、彼の組み立てた作戦だったのかもしれない。先行するV4マシンのスリップを利用してストレートスピードを稼ぎ、インフィールドのテクニカルセクションで並んだり抜いたり。V2マシンの特性を生かした走りで上位に食らいつく。
 一方、トップ争いは中盤から HONDA と SUZUKI の熾烈な争いに。ロバーツ対クリビーレ、現時点での両陣営のエースがドッグファイトを展開する。このまま終盤に突入するかと思われた矢先、ロバーツが転倒。優勝の行方は、この時点で確定した。
 ロバーツの転倒で原田は3位に浮上する。チェカやノリックらV4勢を後ろにおいて、表彰台に向けて力走。これまでの3レースとは明らかに違う RSV500 は、力強くゴールへ向かっていた。ゴールまで、後ろとの安全距離を測りながら、原田らしい走りでチェッカーを受け3位表彰台獲得。ゴール後の彼のガッツポーズには、単に勝った事よりも、プラン通りにレースが進んだことへの満足感が感じられた。
 “ディアボロは健在なり”。次回はアプリリアの地元・イタリアGP。目標のルーキーオブ・ザ・イヤーに向けて、原田の逆襲が始まる。


 少し遅れましたが、フランスGPの様子を、いつもとは違うスタイルでお届けしました。GP250 は宇川に、 GP500 は原田にスポットを当てて見ましたが、うまく書けたがどうかは・・・。ご意見、ご感想お待ちしております。
 ところで、最近個人的に気に入っているのが SUZUKI のロバーツ選手。車載カメラからの映像に移る彼のライディングフォームですが、ほんと、オヤジさんにそっくりです。腰の落とし方といい、荷重しないイン側のステップといい、綺麗なもんです。昔ケニー(親父さん)ファンだった人は、必見ですよ。

それでは。

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